爆弾を落としたのだった
めっちゃラブラブだった夫の転生体。
めっちゃラブラブだった夫の転生体。
大事な事なので二回言いました。
正確には考えた、であったわけですが……。
「ミフィ、今私は絶望的な言葉を聞いた気がするけれど」
「? だって前世のミシェルは、『次に生まれ変わってもあなたと一緒に居たいわ~』『俺もだよ~』何て言っている仲でしたが」
「……」
「いや~、でも会えて良かったですね。まさか婚約破棄をしてこの別荘に来たら出会えるなんて、運命ですね~……ぐえっ」
そこで私は、はやる気持ちを抑えつつ妖精のミフィを掴んだ。
変な声を妖精のミフィはあげたが、私にはそれが精いっぱいの譲歩だった。
何しろ先ほど怪しげな事を言いながら私をとらえようとしたイケメンであるグレン。
彼と現在対峙している最中、つまり敵として遭遇していたというのに、ミフィの発言では……。
「絶対にこんな男、嫌だわ。いきなり捕らえようとしやがって」
「……普通にちょっと驚かせて、お茶会に連れて行こうと思っていただけだ。なのに抵抗したミシェルが悪い」
そっぽを向いたグレンに私はムカッとして、
「そもそも貴族の令嬢がこんな所に一人で~、とかわざわざ私を怖がらせなくたっていいでしょ? それなら普通にお茶会に誘うとか、良識、そう、貴方には良識が無いわ!」
言い切った私にグレンがむっとした顔をしている。
そもそも何で私に対してそう、“意地悪”なのか。
そんな言い返した私にさらにグレンが口を開こうとした所で、フィズが私達の間に割って入った。
「申し訳ありません、ミシェル嬢。グレンさ……グレンは、昔貴方とお会いした時からあなたが忘れられなかったようで、今回再会、しかも婚約破棄後という事でその……まあ、ちょっと頭がおかしくなっているだけなんです!」
「おい、フィズ、それはあんまりじゃないか?」
「……では先ほどの言動について、真面目に考えてみましょう。自分の胸に手を当てて」
「……何でこの俺が躱されないといけないんだ!」
「すみません、なんかもう昨日はもしミシェル嬢が化粧を薄くして現れたら招待するんだと張り切っていて、グレンさ……は眠っていなかったんです。おかげで徹夜明けの妙な高揚感に包まれていて、しかも朝から少し酒を嗜んだ状態で言動と思考がおかしくなっていますが、ゆっくり眠って明日になればもう少し大人しくなるのではと思いますので、お許しいただけないでしょうか?」
フィズ、なんだそれはもがっ、というようにフィズが黙れというかのようにグレンの口を手で押さえてから私に言ってくる。
どうやらいつもはこうではないんですよと言っているようだが、
「不愉快だわ」
一言端的に告げると、グレンが凍り付いたように動かなくなる。
それを見てフィズが、深々とため息をついて、
「そうですか申し訳ありません。明日、改めてお詫びにうかがわせていただきます。グレンと一緒に」
そう告げて固まったグレンをフィズは連れていく。
本当に何だったんだアレ、と私が思っていると妖精のミフィが、
「あのグレンて人、ミシェルに気があるみたいですね」
そう爆弾を落としたのだった。
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