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ささやかな仕返し

作者: ゆさら

「あたしは生涯かけてヒトミちゃんに報復することをここに宣言します」


あたしの言葉に、クラスのみんなが一斉にこっちを見たのがわかった。


今日は高校の卒業式。先生が一人ずつお別れの挨拶を言わせてた。特に何も言いたくなかったあたしは、折角なので最後の置き土産をすることにした。




ヒトミちゃんとは小学校からの同級生だった。といっても同じクラスになったのは小学校3年4年の時と、高校2年3年のときだけだ。にも関わらず、同じクラスになった当初からヒトミちゃんは何が気に入らなかったのか、あたしに何かとちょっかいをかけてきた。

例えば、給食のお味噌汁を頭の上にぶちまけられた。

例えば、わざわざ電話をかけてきて、仲良くしていた男の子のことを「もらってもいいよね」って言ってきた。

例えば、修学旅行で同じ部屋になったら、あたしが寝ていると思ってひたすら悪口を他の子に言っていた。

例えば、あたしが友達と一緒に集まっていると、ミステリーサークルができてるって言って嗤ってた。


うん、挙げるときりがないね。

あたしも最初は特に何とも思わなかったのだけれども、あたしの友達を巻き込みだしたあたりから嫌になってきた。

物理的な被害はほとんどなかったけれど、陰口が毎日続くとさすがに辟易してくるし、やっぱりあたしと仲良くしている子の陰口を言われるのは腹が立った。あたしが所属しているというだけで部活自体を悪く言われることもあった。「演劇部ってキモくなーい」なんて聞こえる声で言っているあたり、かなり度胸のある子だよね。ちょっと関心しちゃったこともあったな。

体育で一緒に組むことになったときも、あたしに触れたところを後で気持ち悪いっていってパタパタと払っていたりしたけれど、あれ、見られていないとでも思っていたのかな?


そんな感じで、ヒトミちゃんと同じクラスでいる間はある意味常に飽きることのない日常だった。

だからそのお礼に、卒業してもう2度と会わない彼女に最後に置き土産をしてみることにしたの。


そして冒頭に至る。

もちろんそんなことする気は更々ない。そんなことしたって時間の無駄だしね。

なぜそんなことを言おうと思ったかなんて、単に周りの反応が面白いからに決まってる。

今までこっちがヒトミちゃんの陰口を叩いたことなんてほとんどないんだから、ちょっとくらいいいじゃない。


ほら、みんなヒトミちゃんとあたしの関係を知ってるからなんとも言えない顔をしているよ。

卒業式をぶち壊すって感じの発言だったかもしれないけど、そんなの知ったことじゃないもの。

ああでも、後で友達には怒られるかも。それはそれで面白いかな。

そんなことを考えて、あたしは笑うのを必死に堪えた。ここで笑ったらぶち壊しだからね。


「ミズキ、何を言ってるんだ。そういうことを言う場ではないだろう」


あ、先生に怒られた。

でも先生のその言い方もちょっとおかしいよね、戸惑ってるのかな? まぁ知ったことじゃないけれど。


「ごめんなさい先生。でも、あたし絶対にヒトミちゃんを許さないって決めたんです」

「…後で職員室に来なさい」


にっこり笑って着席したあたしに、先生はそれだけ言ってお別れの挨拶の続きを促した。教室は微妙な空気のまま挨拶が進む。

勿論職員室に行くつもりなんて毛頭ない。この先この場にいるみんなとは、友達を含めて、一生関わる気がないからどうでもいい。この場を遠く離れるから、誰と会うこともない。


そう、ヒトミちゃんがこの先どうなろうとも知ったことではない。


もし何かあってあたしのせいだと思われたとしても、そこにあたしはいない。



何もしない、あたしは。



夜のテンションで思い付きで書いてみたので、かなり行き当たりばったりでところどころおかしいところがあるかもしれません。

だが後悔はしていない!

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