最悪の目覚め
とりあえず冒険者になるとこまではこれを優先かな
・・・・目が覚めると俺は人間の赤ん坊のようだった。少なくともまだ成長すれば人と会話ができるやつでよかった。エルフとかならまだしも、オークやゴブリンだったら絶対最悪だろ。
が、場所が最悪だった。
(なんでドラゴンが大勢いる中にいるんだよ!)
そう、俺は今まさにドラゴンが大勢いる中にいた。
たぶんバスケットか何かかごに入れられている状態であろう。産着を着せられているところを見るとちゃんと人のとこらで生まれたに違いない。
(でも何の解決にもなっていねぇ!!)
転生したのにもう早速死ぬのかよ。絶望を赤ん坊である今早速味わっていた。死んだら絶対またあの女神に会うだろうからそのときもう訴えてやると覚悟を決めたときだった。
1頭のドラゴンが近くに来た。見る限り一番強そうで体の表面にある鱗がきれいな輝きを放っていた。おそらくこのドラゴンたちのリーダーであろう。最後になんかすごいものが見れたと思っていたらそのドラゴンは見る見るうちに人間の姿になって、俺を抱いた。
「・・・まだ赤子ではないか。しかも、この魔力・・・人間はいったい何を思ってこの赤子を捨てたのであろう」
まるで人間に対して何か複雑な感情を持ってその人間の姿となったドラゴンはおもおもしく言った。
「しかもどうやら、転生者のようだ・・・。皆の者!この赤子を育てられるものがいたらわしの前に来い!」
どうやら食われることはなくなったようである。少しほっとした。
ドラゴンのリーダーのような人が言い放つと、また一頭のドラゴンが俺の近くに来た。
「ほう、炎龍帝か。まさかおぬしが来るとは思わなかったわ」
炎龍帝と呼ばれたそのドラゴンは確かにその名にふさわしいほど美しい紅い輝きを放つ見た目をしていて、、人間の姿になっても来ている服が燃え上がるような色をした着物を着ていた。
「私としてはてっきりあなた様がその人間の赤子を食うものだと思っていましたが、その予測とは違っていて、そのように判断をかけられたその赤子に興味を持っただけですよ」
「まあ、言われてみるとそうじゃな。とりあえずお前がこの赤子を育てるという子ということで良いのか?」
「はい、ある程度まで育ったらそこで適当に人間どもの街にでもやって冒険者にでもさせますがね」
「ほお、冒険者にか。この赤子が強くなったらわしらを借りに来る立場にさせるのか」
「そうなったときはそうでしょう。それに私たちを倒せるぐらいに強くなって私たちを倒したらそれはそれで面白そうですからね」
「まあいいじゃろ。では、おぬしがこの赤子をどうやって育てるつもりかわからぬが、そこまで言うのであればおぬしが育てよ!」
「御意!」
とりあえず俺はドラゴンに育てられるようであった。