掟に従うまで
現実は厳しい
天井から落ちてきたドラゴンに対してフレイたちは逃走しようとした。普通、ドラゴン相手には即逃げなければいけない。なぜなら、ワイバーンやオオトカゲならまだランクが低い冒険者でもカウで攻めれば何とか勝てる。しかし、ドラゴン相手はさすがにそうはいかない。世界各地にいる龍帝の眷属である彼らは立った一体だけでも国一つ滅ぼせる可能性があるからである。
フレイは炎龍帝と何度も対峙していて、それだけで目の前にいるドラゴンはそこまで強いとは思わない。が、他のメンバーにとって彼らはまだ冒険者育成学校の新入生であり、それだけでもそのドラゴンは脅威である。
何とかして逃げようとしたときにあることが分かってしまった。
「大変だ!通路がふさがっちまった!」
そう、このいまフレイたちがいたのは安全地帯とされるフロア。そこは前後一本ずつしか通路がなく、天井が崩れたことにより後ろの通路がふさがり、前の通路はドラゴンの体によってふさがれてしまったのである。
本当なら「転移石」などのアイテムがあれば即そこから出られるのだが、生憎持っていなかった。
(しょうがない、全力で倒すか)
油断はできないが、それでもいまのメンバーたちは自分に優しくしてくれた人たち。
フレイはみんなの前に立ち戦闘態勢をとった。
と、そこでフレイは気が付いた。
(あれ?あのドラゴンどっかでみたような・・・あっ!)
そう、今目の前にいるドラゴン、その色はやや紫色。そしてそれは邪龍帝に連なるもの。しかも、体のサイズとその見た目からあることが分かった。
『ジャキガン』となずけられてしまったやつである。
あの場にいたドラゴンだと分かったが、それでも倒すのにためらいは生まれなかった。
『殺されたらそれだけである』
龍の掟に従うだけであった。
そしてフレイは迷うことなくそいつに突っ込んでいったのであった・・
なかなか更新しにくいな