3.Dear mother
※かなり気の狂っている人が出てきます。すっきりしない話が苦手な人はこの回をとばすことをお勧めします…。
『親愛なるお母さんへ
久しぶり。元気にしてる?お母さんに会えなくなって半年が経ちました。寂しい?まあ、私の最強なお母さんの事だからきっと大丈夫だよね(笑)私もこっちで楽しくやってるよ!おじいちゃんとおばあちゃんもいるから毎日楽しいです!そっちは今秋だよね?これから寒くなってくるから、体には気を付けてね。
私は、すごく後悔しています。お母さんを一人にしてしまって…。本当にごめんなさい。でもこうするしかなかったんだよ。だって…あのまま生きてたら…みんな死んでいたから…。私一人の死と大勢の人の死だったら私一人死んだ方が良いはずでしょ?私がもう一人の“私”を生み出してしまったあの日から、私は死ぬ事だけを考えてきた。もう一人の“私”は血を欲し、暴走を続けた。私と“私”は“光”と“影”。すなわち共存するもの。私の死が意味する事は“私”の消滅。でも世の中そううまくはいかないよね。すっかりそう信じ込んでいたアノコは“私”の消滅に失敗した。なんてバカなんだろうねぇ〜、光の無い世界には暗闇が残るっていうのにさぁ。光が無ければ影の存在そのものが無くなるなんてありえないのに。笑えてくるよ、心の底から。きっとお母さんはこの手紙を読んで、私が書いてると思ってたんでしょ??残念なことに私の方は既に消滅しています(笑)大丈夫、安心してよ。然るべき時が来たら私のとこに連れてってあげるからね。
お母さんに会える日を楽しみにしているよ♪
大好きだよ、お母さん!
遠い空から“私”より…
ごめんね、お母さん…』
母は手紙を読んで娘のいなくなった悲しみともう一つの存在に対する恐怖で震えていたが、手紙の一番最後に現れた娘に、涙した…。
〜Fin.