「unknown」
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「それはまさか……手作り(ハンドメイド)弁当……なのか……!?」
屋上の風に吹かれる中、優也は意味深な顔で驚きをあらわにした。
アンノウンボックスって何だ。せめてランチボックスにしろよ。
無理矢理「unknown」とかそそられる……ではなく、中二病全開な単語をねじ込んできやがって。
ハンドメイドももう少し捻れよ!
クリエイテッドとかメイドオブとか……うん……?
ハンドメイドでいいかもしれない。
僕の中二語単語帳にも手作り、の類義語は見当たらない。
『創造されし』とか日本語であればもう少し言いようがあったかも知れないけれど。
「うっせぇな中二病。黙ってろ。」
僕は素っ気なく突っ撥ねる。
ちなみに普段仮初めの姿の優也だが屋上人の目がないときは真の姿を顕現させているのだ。
『一般人』→『中二病』へのフォルムチェンジ。
つまり変態する変態だ。
『一般人』なんて括り方をする時点で僕の中二心も刺激されているらしい。
気をつけなければ。
「まっ、待て……。落ち着くんだ……!よせ……!不用意にそれに触れるんじゃない!!」
クール系中二を基調とする優也の中二病モードにしては様子がおかしい。
これはそんな大変なものなのか……!
なんて。
こいつにとって『手作り弁当』なんて青春らしい物は余程重要かつ免疫のない突拍子も無い出来事、なのだろう。
いや、これは僕のであってこいつは一切関係がないのだが。
「まずお前が落ち着けよ。───あっ、鈴音さん?」
「何言ってるんだ? 俺はいつだって落ち着いてるよ。」
途端に『一般人』モードに戻る優也。
「いるわけねぇだろ。」
「……!? 貴様! 謀ったな!!」
バッ、と優也は後ろに飛ぶと、僕を睨む。
普通に考えて僕が二重恐怖少女を「鈴音さん」だなんて呼ぶわけがないだろう。
僕は面倒な奴を無視してお弁当の袋を開いた。
中には予想通りの黒色のお弁当箱が入っていた。
蓋にお箸が付いている系統の奴だ。
「貴様俺を無視するとどうなるかわk%tえl*0k……」
無視した。
弁当箱についているタイプのお箸にありがちな小さめの箸を手に取ると、遂に蓋に手を掛ける。
ここで僕は留まった。留まってしまった。
デジャブだ。
僕はここでふと浮かんでしまった。
『未来予知』───ならぬ、想像。
今まで手作り弁当と言うプレミア感に囚われ、それに付随する可能性について考慮しなかった。
だが一瞬、一瞬僕の思考がクリアになったことによって考える隙が生まれた。
『手作り弁当』。それに付随するものは多岐にわたる。
だが一番有力かつ実現し得る物がある。
それは───
「物凄くマズイ」可能性だ。
璃子先生が過去に不良であったことは母との友人関係が物語っている。
それにあの容姿だ。どうやって台所に立つというのか。
「フライパンの中がみえないよー!」なんて事があるに違いない。
真っ黒になってしまった……それこそ未知の(アンノウン)存在がこの中に詰められているかもしれないのだ。
僕は息を呑んだ。
なるほど、優也が「迂闊に触れるな」なんて言った理由が伝わってきた。
だが優也はまだ甘い。
劇薬が入っているわけでもないのに不味い程度では僕に何の問題もない。
塩と砂糖?醤油とソース?クリームと歯磨き粉?
はっ、上等だ。掛かって来いよ。
『手作り弁当』というプレミアで白米を平らげてみせよう。
……訂正、歯磨き粉は無理だ。
とにかく、流石にそんな事はあり得ないだろう。
僕の覚悟を察した優也が肩に手を置く。
「……何も言うまい。やってみせろ。」
「あぁ……!」
僕はゆっくりと、だが確実に。
お弁当の蓋を開けた。
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毎回毎回優也パートはしんどいです。




