「朝の教室」
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「おはよー。」
そんなあたりまえでどこか心地よい声が聞こえる朝の教室。
窓の外を眺めると4階にあるこの教室からは中々の景色が見える。
いや、格別良い景色というわけでもないのだが高い所から見ると何故か何となく良い景色に見えるものだ。
屋上の景色と比べるとやはり見劣りするが。
高さが一階分違うだけ、たった二メートル位の差でも相当景色は違って見える。
───あれ、そう言えばここの窓から見えるこの景色やけに山しか見えないと思ったらこの間の屋上の景色とは反対方向の景色……。
「ふぅ。」
良い景色だ。
うん、本当に。本当に良い景色だ。
何故僕がここまで狂ったように景色の事を考えているのかと説明すると、話は10分前程に遡る。
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『早く来過ぎたな……。』
さてどうしたもんか。
今日は優也の奴も遅いみたいだし。
教室は僕一人だ。
ふむ。
普通ラノベとかだとこういう場合は何か人に言えないようなことをしてそして見つかってしまい、その女の子との秘密の共有によって不思議な関係だったりなんだったりそんなことになるのが定番ではあるとおもうのだが。
もう既にリコ先生との一件で僕の知名度自体は相当な物になってしまっているであろうこの状況でそんな面白いことになるのだろうか。
「うわっ……。み、見てないから……。」
とかそこら辺が関の山な気がする。
大人しく春休みに買い溜めしてあったラノベの新刊でも読むとするか。
ところで外国の人からすると日本人が本を汚したくないがために付けるカバーを変に感じるらしい。
カバーを付ける=人に見せたくない(見せられない)物、公共の場で大っぴらにできない本、というイメージなんだって。
エロい人が言ってた。
などとくだらないことを考えながらラノベに目を通していると、教室の戸が開く音がした。
僕はそれになるべく動じないようにして読み続ける。
特にこれといった理由があるわけでもないが、入って来た時に先に来ていた人に見られるのは何となく良い気持ちではない。
それにしてもこのラノベ良いなぁ。
最近デビューした新人らしいけども文体が実に僕好みだ。
俯瞰、とかそういう読めるけど書けない漢字を使って意図的に難しくしているようなそんな印象。
そのくせ重要な部分であったり「語り部」の変化に際してそこにあった書き方、表現の仕方をしてくれる。
僕も自作小説を書くことがあるが自分の目指す書き方を体現してくれているようなそんな気さえしてくる。
うん、なんとなくそんな感じ。
どうせ僕は書き始めても続かないですぐに止めてしまうんだろうけれども。
なんとなく自分の作品じゃない様な気がしたというか、そのキャラクターたちが自分の中から消えてしまった様な、そんな感覚に陥ってしまうのだ。
簡単に言うと飽きっぽい性格なんだろう。
身も蓋もない話だ。
ふむ、それにしても本当に面白い。
新人だからって一冊だけしか買わなかったのは間違いだったな。
次の土曜日辺りにでも買ってこよう。
僕はあとがきまで読み終えると、ふぅと満足気に息を吐く。
溜息といえば溜息だがイメージとしてはお腹が張った時にゲップをする感じだ。
下品だからゲップはしないけれども。
本を閉じ、顔を上げてやっと気がついた。
『な、なんか見られてる……。』
視界の端で俺の隣の席の……あの怖い人がじっとこちらを見ているのに気付く。
な、何だろう。見てる。
こっちを見てる。
い、いや違うんだ。僕を見てるわけじゃない。
僕を見てるはずがない。
見ないでください。
……怖い。
\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/
アハッ。




