「確かにおじさんなら何か悪いことをしてお金に困りそうなイメージがありますね」と少女に納得された。
リアルが忙しすぎて久々の投稿(汗)
そして久々のヒカリちゃん登場
公園で缶コーヒーを飲んでいると、予想通りヒカリがやって来た。ベンチに座る俺を見つけるなり、真っ直ぐ駆け寄る。
「おじさん、昨日と一昨日はどうしたのですか?ここに2日も来ないなんて珍しいです!」
皆勤賞の生徒が学校を休んだ時のような心配のされ方に少し複雑な気持ちになる。俺が本来通うべきは公園じゃなくてハローワークなんだがな。
「ん。ちょっとな。」
真面目な雰囲気を感じ取り、ヒカリは俺の隣にちょこんと座った。
「…お前はオレオレ詐欺って知ってるか?」
「当たり前だのクッキーです!常識じゃないですか。」
古い言葉を知っていると思ったら、若干違うお菓子になっていた。
「あ、お母さん?オレオレ。お金を寄越せ!ってやつです。」
それは詐欺じゃなくてただの金の無心だろ。でもまぁ、多分分かってはいそうだ。
「一昨日、それにお袋が引っ掛かりそうになってな。」
「あー、確かにおじさんなら何か悪いことをしてお金に困りそうなイメージがありますね。引っ掛かっちゃうのも当然です。」
「………。それで、」
ものすごく納得して頂いているようだが、話を無理矢理進めさせてもらう。
「妻と一緒に犯人を捕まえようとしたら、妻がナイフで刺された。」
「え!?スズさんが!?大丈夫!?」
「あぁ。ピンピンしてる。『おまじない』が効いてな。」
ヒカリは目を丸くした。赤い手の事、怪我が犯人に移ったことを、ガキが聞いてショックが大きくないよう適度にオブラートに包んで話した。それでも顔が青くなっている。
「…守護霊さんは、アタシたちを守ってくれるんじゃないんですね。」
「そうだ。やられた事をそっくりそのままやり返す。そういう復讐をするための『おまじない』なんだよ。」
誰が言い始めたのか知らないが、守護霊という言葉に騙されてガキたちは『おまじない』を広めてしまった。一度は生命を脅かされる恐怖や絶望を味わわなくてはならないなんて、思いもしなかっただろう。今は連続児童誘拐死亡事件の被害児童たちも妻も被害当時の記憶を失っているが、いつその記憶が戻るとも分からない。
それに、復讐なんて間違っている。ここは法治国家日本だ。私刑の横行が許されるわけがない。
さらには、『おまじない』の効果を知った上で陥れたい人物に自分を襲わせたり、『おまじない』がかかっているから大丈夫とわざと危険に身をさらす者が現れないとも限らない。
どれをとっても、あの『おまじない』は危険だ。こういった俺の危惧を詳しく話してもヒカリにはまだ分からないだろう。でも、十分恐ろしさは伝わったようだ。すっかり怯えてしまったヒカリに炭酸のジュースを買ってやり、落ち着いたところで俺がヒカリに会いに来たもう一つの用事を切り出す。
「俺は、『おまじない』を最初に作った奴を探し、止めさせるつもりでいる。だから、お前に『おまじない』を教えた子を紹介してくれ。」
「辿っていくんですか?そんなの、大変ですよ?ものすごい時間がかかります!」
半分ほど無くなった手元の缶コーヒーをちゃぽちゃぽと振る。どうせ俺は無職の暇人だ。
「時間は売るほどあるんでね。」
「それ、全然かっこよくないですよ。」
そんな事は重々承知です…。
「分かりました。アタシも守護霊さんの正体が気になりますし。」
そう言って、ヒカリはいつもの笑顔を取り戻した。




