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なんか、静かみたい。

 久しぶりの拷問。

  なんか、気のせいかな。

 最近この町が静かになった気がするよ。


 そういえば、蓮華ちゃんからちょっとしばらく留守にしますねーって電話あったっけ。

それになにか関係あるのかもね。


 桜ももう散り始めてる。

 出勤途中にも何本かあるから、いつも通る度見てるけど。

 明日はまた花弁が少なくなるんだろうな。そう思うと少し寂しいね。

 次は一年後か。一体、僕はなにをしてるだろうね。

 


 まだ朝は寒い。熱いコーヒーを流し込む。

 そして書類を確認、いつもの日課。


「今日の罪人はっと・・・・・・」


 ほう、なるほどね。


 犯行はグループで、主犯は三人か。グループは強盗目的で被害者Aを襲いさらに拉致。監禁して暴行を繰り返し、最後は首をしめて絞殺。その遺体は山中に破棄。毛布に包まったその遺体には凄まじいほどの暴行の後があった。

 この時点で凄いけど、さらに先があるからびっくりだ。

 同グループの被害者Bと女性関係でトラブルになり、仲間と共に鉄パイプなどで暴行し、9時間後に瀕死のBにシンナーをかけて火をつけ殺害。遺体は隠さずその場で見つかったけど非道い火傷の痕だった。

 そしてまだ終わらない。

 深夜にたまたま主犯格の男達と鉢合わせた22歳の男性2人、18歳の男性1人を襲って金品を奪った上に拉致する、河川敷で執拗な暴行を加えた後殺害。二人の遺体は頭蓋骨や腕など全身骨折の上、身体の血管の大部分が損傷を受けて大量出血しているという無惨なものだった、と。

 主犯格三人は強盗殺人・殺人・死体遺棄・強盗致傷・恐喝・逮捕監禁の罪でレベル5。

 

5だって。レベルが低いよね。だってこの主犯格三人は未成年だったんだ。

 

 裁判時も酷かったみたい。反省の色はなし。遺族に笑ってみせたり、ずいぶん態度が悪かったみたい。この時は余裕があったんだろうね。


 自分は未成年だから死刑にはならない、そう豪語してた。

 何発殴られればいいの? とか聞いてたみたいだけど。


 世の中そんなに甘くないんだよ。

 あまりに残虐な行為、そして反省もない。

 裁判では主犯格全員にレベル5、つまり死刑が言い渡された。

それにより事実上の更生はなしと、実名報道もされたね。


 良かったよ。こんなのがレベル4止まりでまた元の世界に戻されなくて。

 見てよ、この罪状内容。人間じゃないよね。鬼や悪魔、こんなのがもし近くにいたらと思うと身震いするよ。


 三人とも、僕の同時執行だ。

 最近体が鈍っていたからね。久しぶりに特級の腕を振るえる。同時はなかなか難しい。


「入れて、そして全員吊して」


 同時執行は時間が命。もたもたしてたらすぐに日が暮れる。

 僕の精神も持たない。一気にいくよ。


 三人は手足以外は自由。

 これから死を迎える三人の表情は、諦めや後悔、怯え、様々な感情を表している。


「ど、どうせ殺すなら人思いにさくっとやってくれ」

「頼みますよ・・・・・・そうだ、電気とか、毒とか、そういうので・・・・・・」


 僕は無視してキャスターのついたテーブルを男の前に引っ張る。

 上には、メス、ペンチ、電動ドリル、ガス管、そしてリョナ子棒が置かれている。


「は? 冗談でしょ? 自分達がなにしたかよく思い出しなよ」


 手に馴染む、やはりリョナ子棒は僕に一番しっくりくるね。


「おい、ふ、ふざけんなっ! どうせ殺すんだろっ! じゃあお前も楽なほうがいいだろっ」

「そ、そうだ、頼むって、お願いしますっ」


 道具を見て青ざめたね。心配しなくてもちゃんと全部使うよ。


「レベル5かぁ。本当なら7でもいいくらいだ。それでもまだ解放されるよかましか」


 レベルの限界、そのラインをきちんと見極める。


「おいっ! きいてんのかぁああぁ、このクソアマぁぁあ!」


 僕が全然耳を貸さないと、男の態度は豹変した。

 やだやだ、こういうのはすぐきれる。自分の置かれた状況を理解できない。


「この手の輩は本当によく吠えるね。ちょっと・・・・・・・」


 リョナ子棒を振り上げる。


「黙って」


 口元を狙ってリョナ子棒を叩き付けた。


「はがああはあがぁぁ」


 あら、もっと五月蝿くなっちゃった。


「そうそう、この前久しぶりに(ピーー)。缶詰のやつ。あれにね、開けるための金具がついてたんだよ。こう回転させるやつ。あれ見て思いついたんだよね」


 黒ずんだ白衣のポッケからそれを取り出す。


「これで爪剥がせないかなって」


 流石に自分では試せないからね。ペンチで剥がしてもいいんだけど、こっちのほうがうまくいけば途中で止めたり調整ができるよね。


 男達の後ろに回って縛られていた手を見る。良い感じに爪が伸びてる。


「痛かったら言ってね。僕も嬉しいから」


〈お仕置き中〉


「いっでっいでえええええぇえででえ」


 指先って痛覚がよく通る。だからかなり効果的。


「これ、三十回か。ちゃっちゃとやりましょうかね」


 クルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクル。


 クルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクル。


 〈お仕置き中〉


「あぁ。本来はもっとだよ。ホントは目を抉りたい、ホントは耳を削ぎたい、ドリルで体中穴ボコにしたい。でも君らのレベルは5。それじゃあ被害者の受けた仕打ちの何分の一だろうか」


 悔しいけどこれもこの国の決まりだからしょうがないね。

 僕は特級としてきっちり仕事をこなそう。


「さすがにここじゃ火はつけられないから、(フッフ~)こうかな」


 できるだけ同じ痛みを与えなくては。

 被害者は生きたまま焼かれた。僕もこいつらを生きたまま(夜行)。

 トリガーとひくと、青い炎が放たれる。


「ちょっと熱いけど大丈夫だよ。すぐに痛みなのかなんなのかわからなくなる」


 その炎を男の顔に近づける。


「じゃあ、いくね」


 


 数時間後、無事同時執行を終えた。

 

 近くには(お仕置きの後)。

 ここ換気扇ないからしばらく残るんだよなぁ。


「さて、少し遅くなったけど昼ご飯食べてこようかな。なにがいいかなぁ」


 職員さんが片付けている最中にささっと済ませよう。

 

 職場を出ると、朝みた桜がまた少し散っている、なんだか寂しいね。


 やっぱり、この町が最近穏やかな気がするよ。

 蓮華ちゃんの番外編投稿したので、もしよろしければ。

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