うん、仲間が欲しいよね。
シスト視点です。こっちも葵ちゃんや円に負けないよう頑張ります。
満開の桜も散り始め。
ハラハラと。
儚く。
それは、まるで人の死のごとく。
「花は散り際が一番綺麗だね」
「うんうん、私もそう思うよ、おにねー様っ!」
「んじゃ、アタシもー」
今、僕とタシイは春休み。
目黒さんも、なんか急遽バイト先の店長が横になるとか言い出したらしくお店は臨時休業。暇ができたみたいだ。
「不思議だよね、落ちる最中が最も輝くのに、地面についた瞬間、それは塵になる。地についた花弁をわざわざ拾う人はいないだろう」
「私も、断末魔を聞くの好きだよ」
「それはアタシも同意ー」
桜が舞い散る道を僕達は歩く。
時間は出来た。
まずは前哨戦を始めよう。
僕の名はシスト。一応殺人鬼連合のリーダーをやってます。
殺人鬼、眼球アルバムの目黒さん。
九相図の殺人鬼と呼ばれる妹のタシイ。
大体、いつもこの三人で行動してるんですね。
僕達は今ある人達と敵対関係にあります。
深緑深層のマーダーマーダー、蓮華さん。国家機関の情報屋、そして国家認定の犯罪者キラー。
次にドールコレクターと呼ばれるレベルブレイカー。葵さん。
同じくレベルブレイカーの切り裂き円。この二人は狂いに狂った殺人鬼。
蓮華さん率いるこの三人。+蓮華さんが雇った特級の殺し屋、蛇苺。深緑深層とドールコレクターは特に知能が高く、裏をかこうとしてもいつもかわされてしまいます。なので、もう真っ正面からぶつかることにしました。
そこで。
僕達が今必要なのは強力な仲間。
この前、僕達殺人鬼連合が深緑深層達に遅れをとったのは、あの時の仲間が無能だったからです。
勿論、僕にも責任はある。
しかしながらナイトウォーカーと殺人カップル。この三人が僕の指示にも従わず好き勝手に行動した事が大きな要因。
折角、取引材料としても申し分なかった特級拷問士を捕らえたのに。
あいつらは、勝手に犯し、壊し、殺した。
それで、手段は取引から見せしめに変わった。
あの拷問士には利用価値はいくらでもあったというのに。
「・・・・・・はあ。さらに、標的以外の拷問士に手を出して敗北。つくづく使えない人達だったなぁ」
深い溜息をつく。楠葉さんだっけ。あのカードが手元にあれば間違いなく僕らが有利だったはずなのに。
「え、なになに、もしかしてあの三馬鹿の事? おにねー様の言う事聞いてればやられなかったのにね~。ホント馬鹿」
「まぁまぁ、そのお陰でアタシは死体から目玉貰ったけどねぇ。あれは良い物だ。首切りや吸血もおこぼれに預かったんじゃないかな」
その結果、予定外だった他の拷問士達まで敵に回しちゃったけどね。
「次は、こんな事がないように慎重に選ぼうと思う」
「見つけるのは大変だよ、どうせなら募集して面接でもしようか?」
「あはは、殺人鬼募集って? アタシならまずいかないよー」
現在、仲間はこの冗談を言い合ってる二人以外に、四人。
先日、施設兼病院に送られた叶夜。これをそこから連れ出した。彼はまだ幼く不安要素も多いけど、今の所僕の言う事は聞いてくれる。
そして、目黒さんがスカウトしてきた元拷問士。名は沙凶ちゃんだったか。腕前だけ見れば特級クラス。タシイが飼ってる人間を何人か使ってその技術は確認ずみ。この子はちょっと好戦的すぎる感もあるけど、暴走はしないだろう。
後は一番厄介な殺し屋蛇苺の対抗馬。彼女がどこで絡んでくるかは分からないけど、海外から名うてのある姉妹を雇った。まだ合流はしてないけどね。
蛇苺対策はできた。ドールコレクターと切り裂き円は、タシイと目黒ちゃんが抑えるとして。
深緑深層をどうするか。彼女は頭も切れるが、腕も立つ。僕のお相手では彼女にとって役不足。僕は殺し屋でも殺人鬼でもないただの一般学生。
「てわけで、今からスカウトしに行くよ」
犯罪者クラブや他の情報機関からピックアップしていく。
とはいえ、表だって行動してるわけもないので、行き当たりばったりになるけどね。
「ちょっと遠いけどA市まで足を伸ばす。あそこは最近やたら少女が失踪してる。もしかして化け物が潜んでるかもしれない」
「ふふ、おにねー様とならどこにでも」
「さてさて、鬼が出るか、蛇が出るか、当たりならいいよね~」
こうして、僕達のちょっとした小旅行が始まるのでした。
電車とバスを乗り継ぎ、A市に着いたのは、もう夕刻だった。
じょじょに辺りに帳が落ち始める。
「マッピングは済んでいる。タシイ、悪いけど囮になってもらうよ」
「は~い、任せてっ」
ツインテールを揺らし笑顔を見せる。我が妹ながら容姿は端麗。さらにここらでは見かけない制服を着ているから目立つだろう。逆にそれが警戒心に繋がるかもしれないけどね。
「多分、この犯人はつねに獲物を物色して回っている。人目も外灯も乏しい場所を歩いててくれ。僕らは離れて見守るよ」
もし相手が本物の化け物なら、慎重に行動するだろう。それこそ何日も獲物の行動を監視し絶妙なタイミングを狙ってくるはず。
こんな罠に引っかかるとも思えないけど、これも踏まえて情報を得ていこう。
それなりに長期戦を覚悟していたんだけど。
夜道を歩くタシイは、後ろから近づいてきたワンボックスの車、その中から出てきた数人の男達に車に押し込まれすぐに拉致されてしまった。
「うわっ、こんなに早く引っかかるなんて」
「う~ん、これは期待できないね。でも、行くんでしょ?」
このままほっといてもタシイなら自分でどうにかするだろうけど、一応確認はしておこう。
「ナンバーは記憶した。Nシステムに照合。タシイのGPSも同時に。タクシーで近くまで追いかけようか」
後を追う。目的地を目指すと、どんどん山の方に入っていく。
ある程度近づいたら歩いていこうか。
「あ、ここでいいです。あ、これ、おつりは取っといてください」
表示された金額の何倍も支払いタクシーを降りる。
辺りはすっかり闇に包まれていた。さらに山の中は不気味な雰囲気を醸し出す。
この奥にはすでに廃業しているペンションがある。柄の悪い連中の溜まり場になってるみたい。
ハイキングコースを歩けば、車でいける道より先回りできる。
車がそこに向かうとは限らないけど、そうじゃなかったら停まった場所に行くだけ。
荒れた建物の近くに腰を落とし、僕と目黒さんは草木に身を隠す。
すぐに車のライトが光った。
どうやらビンゴだったようだね。
「おらっ、降りろや、へへ」
「一晩中可愛がっちゃうぞー」
乱暴に車から降ろされるタシイ。タシイの他に車から出てきたのは若い男が三人。
「今回、まじ上玉じゃね」
「何周できっかな~」
「おい、今日は俺が先だからなっ」
三人はタシイを囲み、中に入っていく。
「はぁ、やれやれ完全に外れじゃないか。まぁいいや、目黒さん、行くよ」
「ほ~い」
僕らが後から中に踏み込むと、タシイは寝かされ男達が群がっていた。
「早く、脱がせ」
「おいおい、いきなり下からかよ」
「ほらほら、ここ、どうなってるのかなぁ~へへ・・・・・・ん、あれ、なんだ、こいつ・・・・・・」
「なんだ、どうした?」
制服の上は左右に強引に破られ、シャツのボタンも引き裂かれる。
スカートの中に手を入れていた男の一人が違和感を抱いたのだろう、激しく動いていた体の勢いが落ちた。
「は~い。そこまでで~す」
ここで、僕達が声をかけた。
突然の部外者に、男達の目が一斉に僕に向けられる。
ここからは一瞬。
目黒ちゃんが、僕の後ろから駆け出し、手前の男の両目に、二回、千枚通しをすかさず突き刺した。
「あがうあああああぁああああ」
「急所を確実に、抵抗される前に迅速にぃぃぃ」
「あぁがあがぁぁっぁぁぁぁっっっ」
「いあっがっがひゃあやがっぁぁ」
同時に別の場所でも悲鳴が上がる。
タシイの両端にいた男達からだ。
タシイはいきり立つ男達のアレをさっと握ると、力いっぱい捻る。陰茎折症。固くなっていたアレは外力によってポッキリくの字に折れ曲がった。
あぁ、あれは想像したくないほど痛そうだ。
「おねにー様~、私、胸触られちゃったー、その代金支払ってもらっていいかな?」
「・・・・・・そうだね、本物どころか、ただの強姦魔だったし。好きにしていいよ。はい、これっ」
僕は預かっていたバールを投げる。
上半身をはだけたままで立ち上がるタシイがキャッチ。
先ほどまで怯えた表情を作っていたタシイが本来の顔に戻る。
「目黒ちゃ~ん、こいつの髪掴んで、顔固定してくれな~い」
「ほ~い」
目黒ちゃんが、下半身を押さえ地ベタをのたうち回る男の髪に手を伸ばす。
無理矢理、顔を起こすと、そこに。
「フルスイングいきます~」
バールをバットのように振りかぶるタシイが。
すでに苦痛で涙目の男の顔面目掛けて。
それは振り切られる。
「え~いっ!」
空を切る音。ぐじゃりっ、鼻の骨は瞬時に折れ、男は頭から地面に倒れた。
「あはは、ホームラーンっ! 目黒ちゃ~ん、そっちもお願い」
「ほ~い」
もう一人も同じように。
ボールになった男の顔がバールによって潰される。
「いしし、タシイ、ついでにこれも打っちゃえ」
目黒ちゃんは、そう言うと倒れた男の目を手慣れた手つきで■■■■。
取り除かれ千枚通しに■き■されたその■■を、手を振ることによりタシイの前に投げた。
「そりゃぁっ!」
バールは見事に芯をとらえ、その■■はどこかに飛んでいき闇に飲まれた。
「もっと飛ばそうっ! タシイなら出来るっ! 後、三球っ!」
二人はこれを後三回繰り返した。
「ほらほら、これか、この手か、私の胸を揉んだ悪い手はこれかぁ、ほれほれ」
手の甲にバールを何度も落とす。骨が見えるほど粉砕される。
「問だ~い。アタシは次に君の体のどこを■すでしょ~?」
すでに目を潰した男の耳元で目黒さんが囁く。
「は~い時間切れ~。答えは耳の中、でしたぁぁぁあ」
あぁ、もう完全にスイッチ入っちゃったな。
これはしばらくほっとこう。
「あああ・・・・・・ああ・・・」
うねうねうねうね、血だまりの中、もう呻きしかあげない男が三人。
「これ、どうしよう」
「う~ん、もう殺しちゃう?」
二人はそれを見下ろしながら、どうするか考えてるみたい。
「あぁ、ちょっと待って。沙凶ちゃんが合流するって」
二人があれこれやってる間に電話が来た。
「えっ、まじ? じゃあ沙凶ちゃんにやらせよう」
「うんうん、沙凶ちゃんの拷問みたい。あれ最高っ」
二人はウキウキと目を輝かせていた。
「じゃあ僕は先にチェックインしてるよ。あんまり遅くならないでね」
沙凶ちゃんも混ざったら、三人で朝まで色々楽しむんだろう。彼女は生かす殺さず、ここからさらに苦痛を与え続けられる。僕は慣れない山歩きでもう疲れたよ。
今回は外れだったけど。
次は引き当てたいね。
この二人にも勝るとも劣らない、そんな人を。




