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あのね、審査を受けるの。(中編2)

 その頃、リョナ子は。


「ほりゃほりゃ、ソフィ、あぁなんて可愛いんだ、このこの~」

「にゃ~」


 飼い猫とベットでじゃれ合っていた。

とりあえず、最初のチェックポイントに着いたの。


 草木の中にモニターが立ってた。

 

 そこに支給されてたタブレットを近づける。

 すると、手に持つモニターが勝手に動いた。


「へぇ、連動してコマンドが起動するのか。すごいねぇ」


「私のも、私のもなんか、出てきたぞ、なんだ、問題か!?」


 円ちゃんが言った通り、なんか暗号みたいなのが出てる。

 下にチェックポイント到達人数、正解率が表示されてるね。どちらも0。つまり、私達が一番のりって事か。

 どれどれ。


 ごみたさん、にく、くいたし


 んん? なんだこれ。

 下までスクロールすると狸のイラストが描いてあった。

 え、これって。いやいや、まさかね。

 

「なんだ、なんだ、どういうことだ、あれか、五味田さんが肉食いたいのか!?」


 円ちゃんも首を傾げてる。


「ん、チェックポイントの方に数字を打ち込めって出てるね。てことは・・・・・・でも、いくらなんでも罠かな」


 犯罪者クラブのプラチナ審査だからね。こんな人を馬鹿にしたような問題が出るとも思えない。多分、別の意味があるんだよ。モノグラムか、シーザー、なにか法則でも、他の言語に変換して他のものに当てはめていくのか、コード系か。

 う~ん、片っ端からやってみようかな。


「え、姉御が悩んでる、姉御ならなんでもわかる、こんなの簡単な、はずだっ」


 円ちゃんが不安そうに私を見てる。でも、これ総当たりで削っていくしかないよぉ、ちょっと面倒だね。


 私がうんうんと悩んでいると、血が付いたタブモニターを見てた円ちゃんが飛び上がった。


「あっ、あっ、うくく、これ、これって、あれじゃないか、あれだ、きっと、そうだっ!」


 口を押さえて笑いを堪えてる。なんだろ、もしかして他にヒントがあったのかな。


「どうしたの、なんか気づいたのかな?」


「うんうん、うくく、姉御わからないのか、うく、私、私、わかったかも」


 円ちゃんは鼻高々でふふんとしてる。


「ほほう、なになに、それはぜひ教えて欲しいよぅ」


「よし、いいよ、うくく、これはね、下の狸の絵がヒントに、なってる、のだっ」


 ・・・・・・え、うん。まぁ、うん。


「狸、たぬき。つまり、たを抜けって事、だ。そしたら、えっと、うんと、5、3、3、2、9、9、1、4・・・・・・だっ!」


 うん。そうだね。


 円ちゃんはすごいドヤ顔になってる。


「ほら、数字を入れる箇所も、同じだ、同じ数だ、これをいれる、のだっ」


「あっ!」


 円ちゃんがタッチパネルを押して数字を入れだした。

 

 私はその行動を止める事より、この場から逃げる事を選択した。

 さっと、後方に飛び距離をとる。

 もし、爆発やなんかしらのトラップが発動するとも限らない。


「正解! ポイント100を得ました」


 そう思って身構えてたんだけど。まさかの正解でした。


「ほらっ! 見てっ! 姉御、当たったっ、正解だってっ! ん、なんでそんなに、離れた所に、いる?」


 私はあっけに取られてしまった。それと同時に円ちゃんに賞賛の目を注いだ。


「・・・・・・いやぁ、円ちゃん凄いよ。心から尊敬する。私がリョナ子ちゃん以外でこんなに感心したの初めてだよ」


 心からそう思う。私は難しく考えすぎていた。リスクが生じる選択は極力さける。多分、他の参加者もそうだろう。この島でこの問題を答えられるのは、この円ちゃんだけに他ならない。


「あぁ、もうこっちに来なよ、良い子、良い子しちゃうよぉー」


「え、まぢ? まぢで、わー」


 私は円ちゃんを抱き寄せると、頭をよしよしとなで回した。

 この子は、あれだね。私の唯一の弱点を補ってくれてる気がするよぉ。

 

「どれ、私もポイントもらっておこう。円ちゃんが教えてくれたからね」


 

 こうして私達は次のチェックポイントを目指す。

 

 その前に一つやっておかないと。やっぱり武器がないと大変だよね。


 私達は手頃な石を探し始めた。



 行き先が同じなら、他の参加者にも出会う事もある。


「へいへいへい、俺達はスリーラブ兄弟っ! お前ら、ここで俺らに出会ったのが運の尽きだ」


 なんちゃら兄弟に出くわしたの。


 大声で叫ぶ大柄の男が、お兄ちゃんかな。

 真逆に、その背中に隠れるようにこちらを見てる貧弱そうなのが弟か。


 たしか、弟が完全に近い犯罪を計画して、それをお兄ちゃんが実行するといった。汚れ専門の何でも屋だったっけ。名前は聞いた事があるよ。


「典型的な役割分担されたコンビそうだね。お兄ちゃんの方は頭が悪そうだねぇ。よく、筆記審査通ったもんだよぉ。弟の方になんかやらせたのかな?」


「ははは、あんなの分かるわけないだろう、あれは弟が用意した超小型の・・・・・・」

 

なるほど、やり方は違うけど、私達と同じだね。事前に予想してたのか、それとも情報を得ていたのか、どちらにしろ弟のほうはなかなか頭が切れるみたい。


「うくく、どうする、姉御」


「そうだねぇ、兄は脳筋、弟は頭はいいけどひ弱。これは興味深いね、遺伝子配列は似てるはずなのにこうも違うんだもんね。これは是非・・・・・中身を見てみたくなったよぉ」


 うふふ、どうなってるのかな。


 溝が浅いほど、情報伝達スピードは早くなる。

 それが本当かどうか自分の目で確かめてみるの。


「とりゃっ!」

「えいっ! やぁ!」


「うわぁあぁ」


 円ちゃんがあーやって、私がこうやることによって、二人の兄弟は地面に倒れました。


 実質二体一だったからね。こっちが女の子だと思って舐めてかかったんだね。

 弟はビクビクしてただけだったし。


 さてさて。

 さっき、石と石とで打製ナイフを作っておいたの。見た目は不格好だけど結構切れると思う。

 この島が火山島なら黒曜石とかもあったのかもしれないけど、まぁ間に合わせだし文句はいわないよ。


「な、なに・・・・・・する、つもり・・・・・・だ」


 兄弟の意識は朦朧としている。体格差がある相手には脳を揺さぶる方法が有効なの。顎目掛けて蹴りを放ったからね。弟のほうは普通にタブレットで殴ったよ。


「お医者さんごっこだよぉ」


「うくく、先生、まずなにをする、すればいい」


 今から手術をするよ。まず(あーだこーだ)します。


「お互いの(あれ)を見比べてみるよぉ。重さとか大きさは関係ないっていうけど、それも見てみよう」


「じゃあ、要らない〇、〇、をとれば、いいな、だな。〇は石でたたき割るか」


 私達は石ナイフを持って、横たわる男達に近づく。


「や、やめろ・・・・・・」

「ひ、ひいいいい」


「大丈夫だよぉ。かなり痛いだけだから、すぐ耐えられなくて意識なくなるよぉ」

「うくく、逆に痛すぎて無理かも、だ」



 手が血だらけになっちゃった。

 

「結局、よくわからなかったね」

「うにょうにょしてた、うく」 


 やっぱりちゃんとした道具がないと駄目だよ。後日改めてやることにするよぉ。


「ちょっと、遊びすぎかなぁ。ま、先にどんなにポイントを取られてたとしてもどうせ殺すからいいよね。それでも全部回られるとまずいから、ちょっと飛ばすよ」


どんどん、身体に、服に、手に、顔に、血がこびり付いていく。


 それは、まだまだ増えそうだよ。

 残り、六人。

 やっぱり収まりませんでした。中編2ってなんでしょう。

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