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なんか、ボマーには中身が何かわかったみたい。

 最近、めっきり寒くなってきた。まだ雪はちらついてもないけど、朝布団から出るのがとても辛いの。

 飼い猫のソフィも僕にくっついてくる事が多くなった。ブランケットなど用意して暖かくしてはいるんだけどね。なるべく快適にしてあげなくちゃ。

 寒いのは嫌いだけど、今回の罪人が犯したようなのは願い下げだね。


 仕事場で温かいコーヒーを飲みながら体を温める。

 いつもの僕の部屋ではないの、今日は特別な拷問をするから音響対策もされ、かなり頑丈な別室。8畳ほどのこの部屋はベット、水道くらいしかない。ストーブもないから寒い事寒いこと。


 今日の罪人のレベルは5。爆弾を自作。企業、民間問わず無作為にそれを入れた小包を送りつけ、開けた瞬間爆発。動揺の手口を数件起こした。死者二名、腕を喪失するなどの重軽傷が5名。先日、ようやくその爆弾魔を逮捕起訴できたの。


 動機は思想からの革命的な犯行みたいだけど、僕にはどうでもいい事。どうせ、理解はできないし、重要なのはこの身勝手な行動で無関係な人間に危害が及んだって事だ。


 さて、今回は合わせ技で行こうと思う。この犯人に相応しいのを考えたの。


「失礼します、罪人を連れてきました。執行の方よろしくお願いします」

「は~い、入っていいですよ」


 時間が来たようだ。罪人がこの部屋に通される。例にならって高ランク受刑者は拘束がきつい。僕はそのままベットに寝かせるよう指示をして準備に入る。


 首を全く動かせない状態で、顔の拘束を解いた。すかさず僕は鼻をクリップで塞ぎ、口でしか呼吸できないようにする。口には猿ぐつわの変わりに穴の開いた拘束具を使う。その穴に大きめの漏斗を差し込んだ。


「まずは、下準備からだ。始めるよ」


 僕は水道から伸ばしたホースを手に取ると、その漏斗へと水を流していく。鼻は塞がれ、舌を漏斗の先端で押さえられてるので、罪人はとにかく飲むしかなくなる。途中むせて逆流することもあるけど、僕は構わずどんどん流し込んだ。


「どうしようかな、とりあえず9リットルくらい行ってみようか」


 一応の目安だね。人間の飲める限界は個人差はあるけどその倍以上はいけるはず。だから大体で問題ない。


「そろそろ、胃に溜まってきたね。一度吐こうか」


 罪人の胃の状態を視認すると、僕は水を入れるのを止め、ホースからリョナ子棒へと持ち変える。


「えいやぁっ!」


 そして、掛け声と共にリョナ子棒を男の大きくなったお腹目掛けて打ち下ろす。男の口から水が噴射した。ゴボゴボと戻していく。

 吐くという行為自体かなりの苦痛が生じる。激しい嘔吐は時に食道を傷つけ血を吐く事もあるほどだ。


「うえぇぇあはは、ごあほっ、おほあっ、うげぁあっほっ」

「お~、いっぱい出たね。じゃあもう一回やろうか」


 僕はまたホースに持ち直すと再び男の口に水を流し入れていく。


 一連の動作を数回終えると、男はもうすっかりぐったりとしていた。

 そろそろ、頃合いかな。このまま死を与えるのもいいけど、今回は追加制裁を思いついていたの。


「さぁ、水を入れるのはこれで最後にするよ。でも入れ終わったら今度は吐かせない。一緒にこのカプセルを入れようと思う」


 男の耳元で囁く。目の前に薬のカプセルより二回りくらい大きめの物をちらつかせる。

 話す気力もなくなっていた男に対して、僕は一方的に説明を始めた。


「君、経歴みたけど中々優秀だね、そもそも爆弾魔とかって知能犯が多いしね。そんな、君ならこの中身がなんなのか想像できるかな?」


 彼は有名な大学で理系を専攻していたみたい。なんでその頭脳をもっといい方向に向けなかったのかと悔やむけど、どこかで歯車が狂ったんだろうね。


「君のお腹いっぱいに水を入れるよね。そしてこのカプセルも最後に一緒に流し込むよ。そうするとね、カプセルが水に溶けて中身が現れる。それは化学反応を引き起こすよ」

「なっ・・・・・・中身は・・・・・・なん・・・・・・?」


 少し、興味を持ってくれたみたい。じゃあ少しヒントを上げるとしよう。


「さぁ、なにかな。Naかな、Kかもしれないね。もしかしてRbかも」


 僕の言葉に、男の両目が大きく見開いていく。


「・・・・・・やめ・・・・・・うがっ!」


 ヒントはここまで。僕は漏斗をセットしホースで最後の水入れを行う。

 お腹が目に見えるほどぽっこり膨らんだ所で例のカプセルと水を一緒に体の中で送り込んだ。

 僕はその瞬間、ホースで水を流したまま大急ぎで部屋から出る。計算では一分程度でカプセルは溶けるから、モタモタしてたら巻き込まれちゃう。重厚な扉を閉める。


 これで執行は終わり。僕は廊下をゆっくり歩きながらいつもの自室へと戻る。

 途中、耳に爆発音が届いた。かなり防音だったのにここまで聞こえたね。


「これは、掃除する人は大変だ」


 僕が水と一緒に入れたのはある金属。水と化学反応を起こして爆発する金属はカリウムとかナトリウムなど結構あるけど、僕が使ったのはセシウムだ。ルビジウムでも良かったけど、より確実性の高いほうを選んだ。


 電気陰性度周期表が上に行けば電気陰性度が増す、逆に陽性は周期表で下に行くほど大きくなる。

 周期表で下に行くほど最外殻の主電子数が大きくなり、電子を放出して酸化還元反応を起こしやすいのだ。


 爆弾魔に相応しい末路だと僕は思うけどどうだったかな。

 とりあえず、僕の趣向で余計な仕事が増えた職員の皆さんには謝っておこう。


 後で、何か食べ物でも差し入れようと思う。

 掃除の後じゃ食べれないかもしれないけどね。


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