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うん、余所者が来たみたいです。

これはどうも、シストです。


 本日、僕達、殺人鬼連合の三人は呼び出しを受けておりました。


 相手は、マーダーブリゲードとかいう殺人集団です。

 

 なんでも、各地を転々としながら狩りを行ってるみたいですね。

 それは国さえも跨ぎ、その地の異常者をどんどん取り込みながら。

 こうして、ついに僕達の街へと流れてきたって感じです。


 

 山に近い街の辺境。

 本来別荘として建てられた洋館。

 現在は、すっかり朽ち果てて。


 今にも取れそうな扉を開けて中に踏み込みます。

 

 中は仕切りがなく、一階部分は全て一つの部屋、とても広い。

 

床や天井のあちこちが腐り、木屑が散乱しており。

 隙間から差し込める光が自然の照明に。


 その中央、大きなソファに腰掛ける女性。

 斜め後方には仲間と思われる、三人の男が立っていた。


 全員、この国の人じゃないね。

 状況的にあのソファの女性が頭かな。


 とても小柄。目は青く、まるで死人のように肌はとても白い。

 前髪は綺麗に斜めに切りそろえられ、腰まで長い薄紅の髪。


「おいおい、なんだ、このガキ共は、冗談だろ、これがここのシリアルキラー達なのかよ」


 後ろの男が一人、興味津々とこちらに近づいてきた。


「こりゃ、パチモンだろ、おい、今まで何人・・・・・・」


 喋りながらも。

 この男は僕らのテリトリーに足の先が触れた。


 その時には、タシイのバールが男の膝を砕いていた。

 溜まらず前のめりになる男。

 その顔面に、目黒ちゃんの千枚通しが突き刺さる。

 鼻の下を真っ直ぐに根元まで。

 さらに倒れ込む、その首元目掛けてタシイが追撃。

 首の骨を折る勢いで、力いっぱい振り下ろす。

 鈍い音が響いて、ついに床に落ちる男。


「はぁっ!?」


 他の仲間がそれを見て動く。

 だが、女性が手を上げ静止を促した。

 素直に従う仲間達。


 ここで、漸く僕はテーブルを挟んだ対面のソファに腰掛けた。


「はじめまして、殺人鬼連合のシストです。あぁ、いきなりうちの者がすいませんでした。ですが、そちらも悪いんですよ、こっちは三人なのに、そちらは四人。それじゃ公平じゃありませんので」


 僕がそういうと女性は眉を垂らして微笑んだ。


「私はマーダーブリゲードの管理者、アリア・アクアマリンと申します。そうですね、これは気がつきませんで申し訳ない。でも、連合というからにはもっと人数が多いかとばかり」


「はは、前はもう少しいたんですけどね、ある人達にこっぴどくやられちゃいまして。まぁ今は少数精鋭の形をとっています」


「・・・・・・そうですか、なるほど」


 アリアさんが、僕の後ろに立つタシイと目黒ちゃんに目を移した。

 タシイは、挑発するように顎をあげて全員に敵意を向けていて。

 目黒ちゃんは、どうでもよさそうに全く別の方を見ていた。


「で、僕達の事をどこで耳にしたか知りませんが、ご用件はなんです? 態々こんな山奥まで来たのです、大切な用件なのでしょう」


 アリアさんがさらに微笑んだ。


「私達は、まず予定を立てるのです。その地の行方不明者や犯罪履歴などを見て、その地に潜む異常者を把握する。同じ場所でずっと狩りをしてると足がつきますからね。紛れ込むわけです。用はお裾分けして貰って、さらにその犯人が同意すれば仲間に引き込み、さらに別の地へ、こうしてここに流れ着いたのです」


 なるほどね。彼女達はどちらかというと範囲の広いスプリ―キラーで、その地のシリアルキラーやマスマーダーを取り込みながら移動していると。

 ここを僕らの縄張りと知って接触。さらに傘下に治める気かな。


「だってさ、タシイ、目黒ちゃん、どう思う?」


 僕は名ばかりのリーダーで、人を殺した事なんてない善良な一般市民だからね。

 実際、行動しているのは後ろの二人。


「それってさぁ、私達に獲物を譲れって事じゃない?」

「そうだね、さらにアタシ達を利用する気かい?」


 そういうと、タシイが手に持つバールを床に叩き付ける。


「んなの、お断りだぁぁっ! こちとら、人に施しを与えるほど人間できてねぇーんだわっ!」

「だねぇ、どうしても欲しいなら奪いなよ。それがアタシ達のような最底辺の人間が取る方法だろうよ」


 少しは抑えていた二人の殺気がここで爆発する。

 それに同調して、あっちの仲間も声を張り上げた。


「あぁぁ? こっちが下手に出てりゃ、なんだその態度はっ!? おぉ!? 今すぐバラすぞっ、馬鹿野郎ぉぉっ!」


「なんだぁ!? やれるもんなら、やってみろや、このイ〇ポ野郎っ!」


「ガタガタうるせぇんだ、このクソアマぁぁあっ! 〇〇引き摺りだすぞ、ボケコラァっ!」


「お前らこそ、ちゃんと喋れや、変なイントネーションで語るな、この○○○○野郎っぉっ! もぐぞ、こらぁあっ!」


「舐め腐りって、ただじゃおかねぇぞ、こらぁっ!」


「おぉっ!? ただじゃおかねぇなら、どうすんだ、こらぁ!」

「その、汚ぇ眼球、抉るぞ、ぁあぁあ?」


 なんだ、このア〇トレイジなやり取りは。

 本当にうるさいなぁ。


「だから、やってみろやぁ、こらぁ、さっさとかかってこい、おらぁあっ!」


「おらぁ、やれぇっ!」


「おおぉ、やんぞっぉぉっ、あぁあ、この腐れ〇〇〇がぁぁ」


 あぁ、こんな近くで、うるさいな、うるさい、うるさい。

 流石に我慢の限界。


「お前ら、少し黙れよ」


 怒り混じりながら、かき消されるような小さな声をそう告げる。

 

 瞬間、時が止まったように訪れた静寂。


 良かった。どっちも静かになったね。


「さて、話を戻しましょう。僕の仲間が嫌みたいなので、この話はお断りするとします」


 僕がそう決断すると、アリアさんは目を瞑り息を吐いた。


「そうですか、残念です。そうなると・・・・・・」


 アリアさんが床から鳥籠を持ち上げ、目の前のテーブルの上に置いた。

 中には、鳥ではなく他の物が。

 それは。


「これは、少し前に私達の提案を断った者の首です。とても酷い死に方をしたんですよ。次に入る首が決まりましたね」


 アリアさんが立ち上がる。

 鳥籠を持ちながら、家の奥へと歩き出した。

 近くにいた仲間達も、こちらを一瞥しながら後に続く。


「交渉決裂ですね。本当に残念。シストさん、貴方さっき、こちらは四人と言いましたが・・・・・・」


 また別に、影から数人の男達が姿を見せた。

 全部で、6人くらいか。


「私達マーダーブリゲードは全員で60人以上います。抗うにはその人数、少し酷かもしれませんね」


 こうして、アリアと取り巻きが奥へと消えた。


 囲まれる僕達。

 

 だけど、動揺は全くない。


「まぁ、僕達も三人じゃなかったからおあいこだね」


 同じく、立ち上がり踵をかえす僕達。

 

 同時に、取り囲んでいた男達の頭部が破裂する。

 僅かな間隔、連続で脳が飛び散っていく。

 慌てる間も、身構える余裕もなく。

 首無しの体がどんどん床に倒れていく。


 敵のホームに僕達だけで来るわけないじゃない。

 外では、50BMGのAR―50で狙いを定める瑞雀ちゃんが待機。

 その余りあるブレッドエネルギーは、撃ち抜くというよりもはや爆発。


 異物は全て排除。

 アリアさんを殺さなかったのは、ここで頭を失って他が暴走すると面倒だから。

 あの人は最後の最後だね。

 それに座っていた位置もうまく死角になってた。

 一番傍にいた、初老の渋いおじさんは他の仲間が怒号を上げている最中も冷静にこちらを見ていたし、あの人は中々厄介そう。


「さて、相手は60人以上か。はたして本当なのか、はったりか。いずれにせよ」


 僕達は喧嘩を売られた。

 狩り場を失えば、タシイや目黒ちゃん、それに母さんがとても困る。


「なら、戦争だね。一人残らず駆逐するとしよう」


「賛成っ!」

「余所者は皆殺しぃ」


 そう決めたとはいえ、少しばかり人出が足りなさそう。


「丁度いい。さっそく、この前の借りを返してもらおうか」


 まずは拠点を探って、望みは薄いけど新規や最近名義が変わった不動産を調べて。

 他にもやることをやったら。

 彼女達に連絡をしよう。


 皆殺しは彼女達の専売特許だよね。

 次は蓮華視点。

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