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なんか、久々の見られるみたい。

 文字数少ないかなと思っておまけも書いたら、逆に多くなっちゃいました。まぁおまけはくだらないので見なくても。

 こんにちは、リョナ子です。


 最近は春の訪れを告げるように外はとても心地は良い。

 でも、やはり朝の仕事場はまだひんやりしていて。

  

 朝一で今日の予定を確認していると、気になる一文が目に入った。

 

 多目的執行室、殺菜。12時~。


 お、殺菜ちゃんが使用申請してるね。

 お昼からか、またあの子はご飯も食べずに執行ばっかりだなぁ。

 殺菜ちゃんといえば。


 説明しよう。殺菜ちゃんとは、特級拷問士で僕の唯一の同期。歳も同じで仲も良い。

 僕より誕生日が少し早かったために、最年少特級拷問士は僕になったけど・・・・・・。 

 

 最も執行を受けたくない拷問士第一位。

 この拷問士がやばい、今年度版第一位。

 犯罪者が選ぶ最凶拷問士トップ10、第一位。

 ビルボードトップ49、24週トップ1。


 という、僕の脳内ランキングを独占している存在なのだ。


てわけで後でちょっくら覗いてみますか。



 お昼。僕はサンドイッチ片手に多目的執行室に足を運んだ。 

 

 ここは僕達が通常職務を行ってる場所より何倍も広い。

 ちょっとした体育館くらい。僕も何回か使ったことがあるね。


 部屋に入ると、中央に殺菜ちゃんの姿が。

 学生時代の制服と、頭にはトートバックをかぶってなにやら準備をしていた。


「殺菜ちゃん、やっほい」


「ん、おお、リョナっちじゃないっすか、どうしたんすか?」

 

 僕が声をかけると、目玉部分に開いた穴からこちらをギョロリと眼球が覗いた。


「僕は今昼休みだからね、ちょっと見学にきたよ」

「お、そうだったんすか、丁度今からはじめるとこだったっすよ」


 殺菜ちゃんの前方にはすでに両手を鎖で縛られ吊させている全裸の男が見えた。

 その真下には三つの水槽が設置されてる。


 鎖は上で滑車に巻き取られ、さらに天井を伝ったロープにフックがかけられ、左右に移動できるようになってる。

 鎖の先は殺菜ちゃんが握っている。殺菜ちゃんが鎖を右に引っ張れば、繋がってる男も右に移動し、殺菜ちゃんが鎖から力を緩めると滑車から男が下がる感じだね。


「じゃあ、はじめるっす」


 そう告げた瞬間。

 この執行室に斑模様が浮かび、一気に浸食し始めた。

 殺菜ちゃんを中心に雰囲気が百八十度変わる。


 出た。同じ特級の僕でさえ、気を抜くと持っていかれる。

 彼女には二面性がある。執行時とそれ以外ではまるで別人。


 彼女のどんな犯罪者にも負けないという強い信念が具現化したように大きく、そして恐ろしく映る。

 これは葵ちゃんや円といったハイレベルブレイカーでさえ息を飲むほどだろう。


「おらぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 激しく響く叫び。吊された罪人の体が大きく跳ねる。


「てめぇは何したんだっけ? あぁっ! あれか、見知らぬ通行人を鉄パイプで殴って殺したんだったなっ! 通り魔だっ! しかも、動機が人を殺して掴まりたかっただぁぁぁ?!」


 サンドイッチを頬張る。近くにいるだけで肌がビリビリする位の迫力。あれを全身に浴びせられてる男は溜まったもんじゃないね。


「ふざけんなぁぁぁああああああああああああああああっ!」


 手に持つ鎖を引っ張る。男はそれにより宙高くつり上げられた。

 滑車にぶつかる限界を越えても殺菜ちゃんは力を緩めない。


「うっ、く、苦し・・・・・・」


 手首に鎖がきつく食い込み、男は苦悶の表情を浮かべた。


「今回の被害者は自分には全く落ち度がない、普通に暮らしていた者だ。それをてめぇの身勝手な理由でこれからも続くであろう平穏な日常を奪われたっ! 残された家族も不憫でならねぇ、まだ小さい子供もいるってのに、成長を楽しみにしてただろうに・・・・・・」


 男の下には、水槽が3種類。

 左から、氷が大量に入った水槽。真ん中は湯気が沸き立つ熱湯。一番端はなんだろう、一見特に変哲もないけど。


「いいわ、掴まりたかったんだろ、ならこうなることも分かってたはずだ、大罪人の末路を身をもって体現しろやぁあああぁぁぁ」


 そう言うと、殺菜ちゃんが力を緩める。

 まずは、氷の浮かんだ水槽に男の体が一気に沈む。


「人間の体は体温が低くなりすぎると糖をエネルギーに変えられなくなり筋肉や内臓が機能しなくなる。三十五度で震えがおこり、さらに下がると意識が薄れていく、心拍や呼吸も減りそうなると脳に血液が行き渡らず幻覚が見え出す。もっと下がると心臓の機能も落ち意識を失い不整脈が起こる」


 いわゆる低体温症ってやつだね。これは途中で気温が高いと錯覚を起こし服を脱いだりする矛盾脱衣ってのもある。

 殺菜ちゃんが男を引き上げる。びしょびしょの男の体は寒さからか全身を震わせていた。


「どうだ、今、どんな感じだ、あぁ? ほら言え、早くっ! もっかい落とすぞっ!」


「あああ、さ、寒いで、すっ、さ、寒い、冷た・・・・・・」


「そうか、そうか、なら・・・・・・」


 殺菜ちゃんが鎖を右に引っ張る。繋がれている男の体も中央に移動した。

 真下には湯気が大量に天に昇る水槽。

 あれ、何度あるんだろ。まぁ気持ちよく入れる温度ではないだろうね。


 殺菜ちゃんが手を緩める。男がさっきと同じように大きな水しぶきをあげて水槽に沈んだ。


「ああああ、ああっじいじじじじっじじじじじじさあああああああああああああ」


 青ざめていた男の体が一気に赤く染まる。

 顔だけが水面から出ていて、絶叫しながら頭を振り回す。

 しばらくそれを見ていた殺菜ちゃんが男を引き上げる。


 男の体は茹で蛸のように真っ赤っか。

引き上げられた後もまだ全身が痛むのか、泣きながら体をくねらせていた。


「どうだ、今、どんな感じだ、あぁ? ほら言え、早くっ! もっかい落とすぞっ!」


 同じセリフを吐いて、男もまた落とされては溜まらないとすぐに口を開いた。


「あああ、あつ、あああつついいですっ! 熱っ、あつあああつうういいいいでえぇえ」


 もうこの後どうなるかは誰でもわかるね。


「そうか、そうか、なら・・・・・・」


 鎖を左に戻して、氷水にぶち込んだ。

 

「がああぁぁ冷たっ、さっさむっっ、もうやめ、やめえええええ」


 殺菜ちゃんは上げ下げしながら、男に苦しみを与えていく。

引き上げては、また質問をする。


「どうだ、今どんな感じだ、おらぁぁ、黙るなやぁああああ、時間稼ぎにもなんねぇえぞ、あぁ、早く答えろ、黙ってたらその分、入れる時間が増えるだけだぞぁ、この糞がっ!」


 熱湯、冷水、何度も繰り返す。

 

 さすがに殺菜ちゃんが問いかけても、男の口からは呻きしか上がらなくなった。


「ちっ、まぁこんなもんか、じゃあ、仕上げだっ!」


 ぐったりする男を一番端までずらした。

 ついに最後の水槽を使うみたい、あれはいったい。


「おらあぁぁ、聞こえるかっ!? この下は酸だ、今からここにお前を漬け込むっ! 明日にはその体すっかり無くなってるだろうなぁ、それまでせいぜい、自分の行いを悔やみ反省するんだなぁぁ」


 ゆっくり、男の体を液体に沈めていく。

 男は最後の悲鳴を上げた。


「があああああああああああ、ゆ、許し、それだけはっ お願い、お願いしますっ」


 顔だけを空気に触れさせ、殺菜ちゃんが鎖を固定した。


「明日の今頃には戻ってきてやる、アイルビーバックってな。その時にはお前はもう文字通りこの世にはいないけどなっ!」


 殺菜ちゃんが踵を返す。その瞬間、張り詰めていた空気が薄れていった。

 つまり、執行はこれで一段落って事だね。


「お疲れ様~、相変わらず容赦ないねぇ」

「いやいや、本当はカミソリとか割れたガラスの風呂にいれてやりたいくらいっすよ。こんなのまだ甘い方っす」


 殺菜ちゃんは、すぐに片付けをはじめた。


「この後、お昼取るのかな?」

「そんな暇はないっす、これからすぐに別の執行をやるっす」


 すごいバイタリティだね。まぁ見習わないけど。

 しばらく僕の脳内ランキングは殺菜ちゃんが独占しそうだよ。



 おまけ。


私は裏内 刷代。

 私には不思議な力がある。

目をこらすと相手の本性を垣間見ることができる。

 いつもは路上で占い師をしているのだけど、この力はなかなか役に立つ。


 今日も若い女の客が訪れた。

 フリフリの服に身を包み、可愛さをこれでもかをアピールしていた。


「あの~、私、今付き合ってる彼がいるんですけどぉ~、その彼が滅茶苦茶かっこよくてぇ、もう浮気するんじゃないかなって心配なんですううう」


「そうですか、じゃあちょっと見てみますね」


 女の奥に潜るように、顔を凝視する。

 すると、見えてくる。この女の本性が。


 うっ、なんだ、この女、とんでもない真っ黒だ。なにが浮気が心配だ、お前のほうがよっぽどやりそうだわ。どす黒く、純粋とか清楚なんて言葉はそこにはまるでない。


「見えました。そうですね。彼氏のほうは大丈夫じゃないでしょうか、貴方がちゃんと心から愛せば、それにちゃんと答えてくれるでしょう」


 彼氏の方は見てないから適当だけど、半分は当たってるだろう。

 女は私の答えに満足そうに帰っていった。


真面目そうなサラリーマン、清純そうなお嬢様、これまで中をみればとんでもない食わせものも多かった。人間なんてみんなこんなもんなのか。


「姉御~、絶対、あっちのほうが値上がりするのだ、あっちに全部投資するのだ」

「いや、でも、あそこの年間予定表を見る限り・・・・・・」


 あっちからえらい目立つ少女達が歩いてきた。

近づいてきた少女の一人と目があった。


「お、姉御、姉御、占いだって、そうだ、これで決めるのだ、絶対私のほうが正しいのだ」

「う~ん、私はこういう類いはあまり信じないんだけど、ま、たまにはいいか」


 どうやら、私に興味を示したようだ。

 

「いらっしゃいませ、なんでも占いますよ~」


 占いなんてようはテクニック。どうにでも取れるような答えを出したり、答えを絞ったりすれば大抵それっぽく言える。相談者には最初から答えを決めている人も多いし、それの背中を押してやればいいだけ。加えて私には特別な力がある。相手の本性を暴けるというスキルが。


「どれ、ちょっと見てみますねぇ」


 二人はとても仲が良さそう、でも金髪のほうが立場は上か。

 いや金髪ゴスロリはニコニコしていてとても人が良さそうだ、逆にサイドテール歯がギザギザゴスロリは気が強そうだな。どれ、まずは二人の内面を見てみよう。実は正反対って場合もあるし・・・・・・。

 私はまず金髪の方を見据える。

 内面をこじ開けるように・・・・・・。

どれ、果たしてどんな感じか。

 深く潜る。

 見えたっ。その瞬間。


「・・・・・ほんぎゃやぁあああああああああぁあああああああああああああああああああああああああ、ああああああああっ、ぶぶぶりぶりりぃぃ、びじょじょおおおおお、はぎゃあああ、げぼぼぼぼおぉぉ」


なあああ、なにこ、こ、の子、ええ、しゅごっ、しゅごい、あへえええ、人、人じゃない、くろ、くろすぎて、あああ、もうなにもかも出ちゃう、あああ。


 えええ、やう゛ぁいあ、しぬ、しんじゃああああああううううう、早く、早く、目を反らないと。


 すぐに隣のサイドテールギザギザ歯ゴスロリに目を移す。

 に、逃げなくちゃ。

 こ、こっちの中が普通なら・・・・・・。

 移る、その瞬間。


「・・・・・・いぎゃあああああああああああああああああああああああああああ、こっちもしゅごいのぉぉぉおぉぉぉっっっっっ、げぼぼぼぼぼぉぉっっっっっっっ、びじゃあああああああびじゃああああっ」


 人の、人の皮を、かぶった別の、なにかあぁあだぁああ。

 やばああいいいぃぃ、この子達、やばああああああいいいいぃぃぃ。


「あ、姉御、い、行こう。なんかこいつやばいのだ。穴という穴からなんか出てるのだ・・・・・・」

「・・・・・・そうだねぇ。耳からも出てるし・・・・・・」


 地面に倒れ、なにもかも垂れ流しながら悶絶する私を見下げながら二人は去っていった。


「な、なんだ、この人、救急車っ! はやく、救急車をっ!」


 他の通行人が私を見て大声をあげていた。



 二ヶ月後。


 あの時はえらい目にあった。

 まさかあんな人外がいようとは。

 ゴスロリは駄目だ。今度から注意しよう。

 

 今日から仕事復帰。以前の反省を踏まえ客は慎重に見極めよう。


「ママ、占いだってっ。ねぇねぇ、やってみない!?」

「そうねぇ、今夜の晩ご飯迷ってたのよねぇ、モツ煮かレバニラか」


 とても仲が良さそうな親子がきた。娘はツインテールの美少女。親のほうも朗らかで上品なイメージ。

 娘のほうは、もう虫も殺さないような気品溢れるお嬢様っぽい。

 母親も、にこやかで優しそうでこれまた人畜無害そう。


「あ、どうぞ、良かったら。なんでも占いますよ~」


 これなら大丈夫だろう。

 じゃあ、まずは娘のほうから・・・・・・。

 pixiv内で双月暦さまに可愛い葵円や目黒ちゃんを書いて頂きましたっ!タイトル検索で出てくると思います!

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