あのね、ゲームの中でも一緒なの。(本編とは無関係)
2人の少女殺人鬼がゲーム中に閉じ込められました。たまにやる本編とは全く関係ないお遊び回です。
どうも、どうも~、蒼き鋼の葵だよ。
今日は特に仕事もなかったから、朝から円ちゃんとゲームをしてたの。
新しく出たVRMMO、ゲートルートオンラインてやつ。
専用の機器を頭にセットしてスタート。
そしたら私達なんとゲームの中に閉じ込められちゃった。
ゲーム内。街の広場にフードをかぶった大きな女性のシルエットが映ったの。
「あ、皆さんこんにちは、えっとあれです、このゲームはここで死ぬと実際死にます」
ふむふむ、なるほど、現実でかぶってたゴーグルからなんか電磁波でも出るのかな?
詳しいことは知らないけど、とにかく死ぬみたい。
現実で無理矢理ゴーグルを外してもこれまた死ぬみたい。
助かるにはゲームをクリアするしかないみたい。
「姉御、姉御、ログアウト出来ないぞ、なんだ、バグか??」
「・・・・・・私もだねぇ、こりゃありがち嘘じゃないかも」
となると。
私はメニューを表示させた。目の前にウインドウが浮かぶ。
アオイ。職業、殺人鬼。レベル1。タイプ残虐。
マドカ。職業、殺人鬼。レベル1。タイプお馬鹿か天才。
「アイテムは初期装備と僅かな回復アイテム。お金も100Gかぁ」
ん、現在ログインしている人数も出てる。
1万人だって。凄いね、ソシャゲならまだしもみんな暇なんだねぇ。
このゲームはPK出来るんだっけ。
となれば、ここは危険か。最初はみんなここからスタートみたいだし、どんな人がいるかわからない。
「円ちゃん、ちょっと移動しよう。どうするか考えるのは安全を確保してからだよ」
「ういうい、分かったのだ」
こうして私達は隣の村を目指した。
それから一週間。
相変わらずログアウトは出来ずにゲームの中。
雑魚モンスターを狩りながら、地味に生活してたの。
「ゲーム時間が現実と同じならば、これで一週間が過ぎたね。プレイヤー人数は減ってはいるけどそこまでの数じゃない、減ったのはPKされたかモンスターにやられたか」
となると、現実世界でなんらかの処置はされてるって事だね。一先ずは安心だよ。
人は水がないと一週間程度で死んじゃうから。逆に水があれば一ヶ月は生きられる。
「よし、それじゃあこっちもそろそろ本腰いれようか」
「なんだ、姉御、どうする、ここまでかなり慎重に、ほとんど動かなかったのだ」
格下の雑魚モンスターを狩っても安全ではあるけど経験値もドロップも大した事がなく効率が悪い。
「今、このゲーム内が社会の縮図だよぉ。てことはここも現実と同じ。お金があるものが強い。まずはお金を稼ごうか」
それには情報か。ここではネットで攻略情報を見られるわけじゃないからね、そうなると自力で探すか他から得るか。
「塔にはいかないのか? あれの最上階のボスを倒せばクリアだ」
中央から結構離れたここからでも見える。高くそびえ立つ大きな塔が。
「うふふ、ここで死んだら死ぬのにそんな事しちゃ駄目だよぉ。ほっといても誰かがやるから大丈夫」
噂じゃちょこちょこギルドといわれるプレイヤー同士のコミュニティーが出来はじめてるみたい。それも後回しかな。
まずは駒、じゃない仲間を探そうか。
2種類欲しいね。従順そうなのと・・・・・・。
それから二ヶ月。
私は二つのギルドを立ち上げた。
一つは、アイテムや装備などを吸い上げてそれを転売。要は物流を抑える。
もう一つは。
「姉御、指示を仰ぐ連絡が来た、なんて言う?」
ここでのPKをするメリットとデメリット。
メリットは殺した相手の装備やアイテムを奪える。
デメリットは頭の上に表示されるネームが赤くなり、公共施設が使用不可になる。そして当然、他の真面目なプレイヤーから敵視される。
「う~ん、例の場所の狩り場は独占したいねぇ。あそこは破格の経験値がもらえるモンスターが出るから。他に知られる前に近づく者は殺して。後は、攻略組の〇〇が貴重なアイテムをドロップしたって耳に入ったよ。外にでたら奪っておいて」
暗殺ギルド。PKプレイヤーを集めて組織してるの。
勿論私達のネームはそのまんま。汚れ仕事はそういう人達に任せるの。
その代わり、必要なものは私が揃えてあげる。PKプレイヤーには後先考えずに行動した者も多い、後のデメリットに後悔してるからね。なんせろくにアイテムも買えなくなってる。
「円ちゃん、この前知り合った子連れてきて。そろそろ保留していたステを上げよう」
「ういうい、了解なのだ」
このゲーム、レベルアップ時に任意で上げられるポイントがあって、自分好みに割り振ることが出来る。大抵の人はバランスよく上げるんだけど。
「ん~、貴方のジョブは魔術士だったね。じゃあ、他のステは無視して魔力全振りかな。そっちのナイトは防御全振りね」
他のギルドに人材も派遣するの。その場かぎりで使えればいい。人気商品は盾役と火力特化の魔道士だね。
攻略組には頑張って貰わないと。
私達はこうやって安全な場所で見守ってるよぉ。
「う~ん、それはそれでいいんだけど、いささかつまらないねぇ」
「姉御、じゃあ、あれだ、またあれやってこよう」
そうだねぇ。そうしますか。
私達は街から離れた草原に出た。
ここらは低レベルのモンスターが湧くの。最初はお世話になったよ。
でも、こういう場所にはモンスター以外の者もいたりする。
「お、姉御、いたいた。装備もなかなかだ」
「あぁ、いたね。しかも1人だね。あれにしよう」
草原で雑魚モンスターを狩ってるプレイヤーが見えた。
「円ちゃん、装備変えて」
「ういうい」
私達はウインドウを出して装備を変更。
初期装備に毛が生えたような貧弱装備に切り替える。
そして一生懸命戦っているプレイヤーに近づいた。
「どうも、どうも~、君、いい装備してるねぇ」
「うくく、それ寄こせ、大人しく死ぬのだ」
その装備だとそこそこのレベルかな。
でも、そんな人がなんでこんな場所で雑魚を狩ってるかといえば。
負けることのないモンスターで安全にレベルを上げるためだね。いくら効率がいいからといって強敵と戦って死んだら終わりだから。
「あぁ? 誰だお前ら。 ん、なんだそのくそ装備。さてはモンスターと戦うのが怖くて俺を襲おうって訳か」
男が剣を向ける。
他のプレイヤーを襲えばプレイヤーキラーになっちゃう。
でも、例外があるの。
その認定はどちらが先に手をだしたか。
「円ちゃん、いけ~」
「ういういっ!」
円ちゃんが切り込む。
だけど、相手は軽くかわした。それでも何度も斬りかかる。
「ちっ、なんだ、こいつ、弱い癖にっ!」
相手が避けた拍子に装備していた盾が円ちゃんの体に触れた。
その時、円ちゃんのゲージにダメージが発生。
それにより、こちらに頭上に正当防衛のコマンドが表示される。
「あっ!」
そうなんだよぉ。相手に攻撃の意志がありと判断されると、こちらには自己防衛の権利が与えられる。その場合、相手を殺してもPK扱いにはならない。
「うふふ、もう遅いよぉ。円ちゃん装備変えようか」
「ういうい、お楽しみタイムなのだ」
瞬時に高性能の装備に切り替える。
アオイ。職業、武器商人、ギルド組合会長、暗殺ギルド団長。レベル93。素早さ全振り。
マドカ。職業、アサシン、物流協会会長。暗殺ギルド副団長。レベル91。素早さ全振り。
さらに、防具による物理反射、魔法吸収、全属性無効。アクセによるドロップ二倍、経験値三倍。
さらにさらに、2人の固有スキルとして相手の技やテクニックを一目見ただけで模倣し自分のものにしてしまい、自陣のゴール下からでもフォームを崩されない限り一〇〇%シュートを決めることができ、ゴールのどんな位置、体勢、ディフェンス状況であってもシュートを決めることができ、呼吸・心拍・汗・筋肉の収縮など些細な動きを全て見切り、相手の次の動きを正確に先読みでき、自らの存在感を薄くし、持ち前の並外れた観察眼を利用して敵の視線や意識を自分以外に誘導してフィールド上から消える複合スキル、「奇跡」を持っている。ゲーム内では意味のないものも結構ある。
さっそく切り替えた剣を見せつける。
見た目にも凄そうな装備に変わって、男の評価が一気に反転する。
それにより、明らかにおびえの表情を見せた。
男は気づいたのだ、今、目の前にいる者が自分を狩る者だと。
「これいいでしょう。レーヴァテインっていうの。目障りな攻略ギルドから奪ったんだ。かなり上の方のボスから出たみたい」
「うくく、私のも凄いぞ、ダーインスレイヴとかいうやつだ。なんか装備すると精神が崩壊するみたいだけど、私には全く効かないのだ」
なぜか、私達最初から精神系の攻撃に無効耐性ついてるんだよね。だから、こうして攻撃力は凄まじいけど誰も装備できないようなものが扱えるの。
「ま、じっくり体力を奪ってあげる」
「血や臓物がでないのは残念だけど、声と表情だけで我慢するのだ」
さて、こうして暇つぶしもしつつ。
敵対しそうなプレイヤーやギルドは、暗殺したりこちらの情報で得た高レベルのモンスターが生息する場所に誘いこんだりして排除。
私達も結構強くはなったけど、未知の敵と戦って想定外の事が起こるとも限らない。
例えば、防御力無視の攻撃が来たり、いきなりHPMPを1にされたり、相手の動作や意思のエネルギーを全てゼロに戻されたり、1京2858兆0519億6763万3865個のスキルを持ってたり、だから攻略はやらないの。
なので攻略組のギルドに物資を配給する側に回って頑張ってもらおう。
そして半年後。
「ついに最上階のボスを倒したぞっ!」
「おお、あの白黒パンダ団がやってくれたのかっ!」
「最終的に壊滅寸前の辛勝だったらしい。犠牲も相当でたみたいだ・・・・・・」
拠点でドンジャラをしていた私達にもその一報は届いた。
「ドンジャラ~っ!」
「おお、それ主人公と女キャラ全員揃えたハーレム役じゃない、やるねぇ結構点数高いよぉ」
あ、どうやらクリアしたみたいだね。
「あれ、姉御、ログアウト出来るぞ、帰れるんじゃないか?」
「そうだねぇ。でも、帰ったらあれかぁ、かなりリハビリしなきゃだねぇ」
でもまぁ、流石にここも飽きてきたし戻りますか。
最終的にログイン人数は1000人を切ってたね。
なにはともあれ無事クリアできて良かったよぉ。