表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/167

なんか、公開執行みたい。

 こんにちは、リョナ子です。

 年度末も終わり。

 寒さもやわらいできた今日この頃。


機関が運営している体育館。

 

 進級試験などにも使用されるその場所に、僕はゆっくり足を踏み入れた。


 左右を囲む二階のギャラリーにはすでに数十人ほどの者が立っていて。

 僕の登場を待っていたのだろう、その何十もの視線が一気に集中する。


 中央には、十字架を背負い磔にされている罪人。


 二階にいて固唾を飲んでいるのは全て一級拷問士。


 現役特級拷問士による実技研修みたいなもんだね。

 こういうのは、正直やりたくないんだけど、いかんせん特級の中では僕が一番歳下だった。

 それに、他は毒やら虫やらギターなんかで執行する変態・・・・・・いや天才型ばかり、はっきりいって参考にならない。同期の殺菜ちゃんもご存じの通り執行時は人が変わるから、後輩達がドン引き・・・・・・いや萎縮してしまうはず。

 結局、地味な僕が一番の適任ってわけ。


「はい、皆さんこんにちは。特級拷問士のリョナ子です。今日は、次世代を担う君達に僕の執行を見て頂きます。多少説明はしますが、少しでも参考になればと思います」


 皆、真剣な表情を向けている。う~ん、やりづらい。


「まずは基本ですが、書類の確認から・・・・・・」


 これに等級は関係ない。

 レベルだけを重視する拷問士もいれば、中身をしっかり確認してできるだけ内容を似せた執行をしようをする拷問士もいる。

 僕はどちらかといえば後者だね、でもあまり深く読み込むと今度はそれにより余計な感情が動く可能性がでてくる、なのでどちらが正しいとかはないかな。


 さて、この罪人は・・・・・・。


「罪状、殺人、死体遺棄。レベル6」


 僕の発言と共に、前方に設置してある大型スクリーンに内容が文字となって映し出された。

 僕に集まっていた一級拷問士達の視線が、そちらに瞬時に移った。


 被害者は8歳の幼子。

 下校途中に連れ去られ殺害される。その後死体は段ボールにいれ近所に放置されていた。

 

 大抵報道されるのはこの辺まで。

 だが、僕達にはより詳細が知らされる。


犯人は、この幼女を自宅に連れ込んだのち激しく暴行。

 散々弄ばれたのち心停止状態になり事切れる。


この子は声を上げれば殺されると思い、涙を出しながらも暴れなかった。


 内容について僕は声を出して読むことはなかった。

 スクリーンに同じ内容が出ている。


 二階を見上げた。

 俯く者、唇を噛む者、激しく罪人を睨み付ける者。

 中には無表情の者、涙を堪える者、皆一様に異なった。


「さて、内容を頭にいれたらいよいよ執行が始まる。今回は君達が出来ないレベルブレイカーの執行を想定して行おうと思う」


 レベルブレイカーとは最高執行レベルの7を越える罪を背負った者。

 こういう者の執行はどうするか。

 答えは単純、レベルを落として回数を増やす。


 レベル12なら、レベル4相当の執行を三回行うような感じ。


「その場合、罪人を最後の執行まで生かさなければならない」


 僕は一歩進んで罪人の前に出る。

 

 手足を縛られ、目隠し、猿ぐつわ。

 僕はまず口元の布を外し口を自由にした。


 途端に喚き出す罪人。


「はずぇええええせぇええっ! 殺ううううすぞぉぉぉおおおおおおおおおおお」


 大声を出しながら、僅かに動かせる範囲で必死に暴れ出した。


「はい、よくこういう罪人がいます。悪あがきですね。こういう場合は・・・・・・」


 まだ外す予定は無かった目隠しも取り払った。

 罪人の男は、その瞬間、光を得た目で僕を凄まじい形相で睨み付ける。


 僕はリョナ子棒を握ると。

 顎目掛けて、それを渾身の力を込め振り上げた。


「がぁああっっ!!!!!!」


 男の顔が天を向く。


「黙って。舌を噛むよ」


 もう遅いかな。

 戻ってきた顔、両目をしっかり合わせてそう忠告する。


「このように早々に、今の立場を分からせてやる」


 ハイレベルブレイカーだとこれが中々難しい。相手の上をいかなけばならないからね。

 こいつはレベルブレイカーですらないから、簡単に大人しくなった。


「さて、人には臓器がある。中には取り除いても問題がないものも・・・・・・」


 僕はオレンジ色のナイフに持ち替えると。


「は、は? はぁはがやぁああああああああああぁぁぁああああああああ」


 男の胸から下腹部周辺まで一気に縦に切り裂いた。

体育館に男の絶叫が木霊する。


「まず胃だね。ここは全部とっても問題ない。代わりに小腸や大腸が食べ物を消化してくれる。そりゃ消化力は落ちるけど、少量ずつなら大丈夫」


 揚げ物や辛い物、食物繊維が多いもの、炭酸などの飲料は駄目だけどね。


「てわけでこれは取っちゃいます」


 臓物に手を突っこんで、胃を切り取る。

 この時、ちゃんと手袋、輸血等の準備は必要。すぐ近くには救護班も待機。


「次に脾臓。脾臓には赤脾髄と白脾髄があって、それぞれ血液の掃除やリンパ球作りなどしてます。脾臓がなくなると感染症に対する抵抗力は落ちますが、肝臓を主にしたほかの臓器が脾臓の役目をカバーするのでワクチンなど抗生物質などで補助すれば大丈夫」


 また手を突っこむ。


「てわけでこれも取っちゃいます」


 男は涙を流し、頭を振り続けた。

 そして絶叫。


「次は胆嚢。胆嚢は胆汁を蓄えるところだね。胆汁は脂肪の消化をたすける役割があります。胆嚢がなくなると肝臓から小腸へ直接胆汁が流れます。胆汁を作ってるのは肝臓なのである程度はカバーしてくれるってわけ」


 でも消化力は落ちて下痢になりやすくなる人もいるみたい。


「てわけでこれも取っちゃいます」


 一応、取った後適当に縫合はする。


「後は、肝臓。ここは70%までは切り取っていい。肝臓は重要な臓器だけど、再生力が高い。70%切り取っても一年後には同じ大きさまで再生するの」


 別の人に移植しても再生するのだから凄いよね。


「えっと、残りは膵臓かな。膵臓は十二指腸の消化を助けたり、血糖値を上げ下げするホルモンを分泌します。なのでここを全摘した場合は、血糖値を下げるインスリンなんかを注射したり飴などを舐めるなどして、自分で意識しながらコントロールすれば大丈夫」


 さすがに一気に取ったら死ぬので、一旦腹を割いたまま放置。


「十二指腸、小腸、大腸。これはそれぞれ役割は違うけど、どれか一つなら他の腸がある程度は代行してくれる。その場合栄養の吸収はかなり落ちるけどね」


 ここまでは摘出してもまぁいい臓器。


「でだよ、逆に駄目なのを教えよう。まぁ言うまでもないけど、それは心臓と脳だね。ここは他の臓器で代替するのは不可能。二つある臓器、腎臓などは片方とってもいいけど、肺は駄目かな。一つでは呼吸の空気量が少なくて立って歩くのも厳しくなっちゃう」


 こんなもんか。


「あ、後は・・・・・・」


 持ってたナイフを下げる。


「ここも、取っても大丈夫」


 男の生殖器に切っ先を向ける。


「・・・・・・あ・・・・・・うぅ・・・・・・や、やめ・・・・・・ゆる・・・・・・」


 男はもう弱々しく。

 ここで仕上げにしよう。


「・・・・・・君に今ある資格は、裁かれる事だけだよ」


 躊躇無く、肉に突き刺し。

 円を描くように。


 その後、床にぼとりと肉片が落ちた。


「救護班」


 この男のレベルは6。

 これで終わりではない。

 このまま苦しみながら死なせるのもいいのだけど。

 臓器以外でも取っていいものは沢山ある

 皮、爪、歯、目玉、耳、鼻、指。それこそいっぱい。

 その全てが無くなるまでこの罪人は死ぬ事さえ許されない。


「さて、今回はこんなものかな。特級になるのは簡単ではないけど、どうかこれからも精進して欲しい」


 ま、僕もお千代さんや先輩達に比べればまだまだだからそんなに偉そうな事は言えないけど。


 後輩達には頑張って欲しい。

 犯罪は日々止めどなく湧き溢れて。

どんなに僕達の手が血で染まっても終わりはない。


 それでも僕達が手を止めてはいけないのだ。

 諸事情で更新遅れました。現実なら男の罪は無期懲役ほど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ