あのね、丁度暇してた所だったの。(対殺人凶団、葵の破)
爆発事件があったみたいですね。。
やっほい、葵だよ。
私と円ちゃんは今ある指示を受けているの。
少女爆弾。これを止めろってさ。
外にでたら、もうすでに右に左へと、煙が天高く登っているのが見える。
サイレンの音もあちこちから。
今回は完全に後手に回ったねぇ。
私はさっき蓮華ちゃんにもらった少女達のリストを取り出すと破り捨てた。
「あ、あれ、姉御、いいのか、それ」
「もう全部記憶したよぉ。いちいち照らし合わせてる暇ないでしょ?」
「そ、そうか、そうだな、じゃあ、あれだ、私もやるのだ」
円ちゃんも私同様にリストの中身を頭に入れていく。
「それじゃ行くよぉ。まず最初に私達と出会える幸運な子は誰かなぁ」
死を恐れない子達。少々厄介かも。
この街には蓮華ちゃんの拠点がいくつか点在している。
国有化されたものを間借りしているものから、蓮華ちゃん独自のものまで。
蓮華ちゃん的にはセーフルーム、パニックルームのような使い方を想定していたみたい。
だけど。
私達も使用可能で、そしてそうなると用途は変わってくる。
しばらく歩いていたらあっちから来てくれたよ。
私達に背後から抱きつこうとした少女A。
反撃後、確保。そして近くの拠点に連れ込む。
鍵を開けて中へ。
私は背負っていた少女を床に投げ下ろす。
中は差し込む光もなく、空洞のようにがらんとしていた。
「いやぁ、重かったよぉ」
少女はすでに損傷が激しい。でも、まだ生きてるよね。
「ば、爆弾、大丈夫か? そんな乱暴に扱って・・・・・・」
「心配ないよぉ。もう抜いたから」
では改めて。
私は少女を見下ろす。
目を真っ赤に染めて私を睨む少女。
「こ、この、だ、堕天使がぁ。殺してやる、殺して、やる、殺して・・・・・・」
堕天使? どういう事だろう。
それはさておき。
「いいねぇ、いい目だよぉ。死を恐れてない、なにもかもどうでもいいって目」
でもちょっと甘いなぁ。
貴方を見下ろしてるのは私達だよ。
「円ちゃん、じゃあ色々聞いてみようか」
「ういうい」
こうも簡単に自分の命を捨てられるんだ。自暴自棄以外に、ある程度洗脳されてるはず。
素直に話してくれるかなぁ。
「まずは、統率者、あと目的、リスト以外のメンバー、そこらを聞くよぉ。教えてくれるかな?」
「だ、黙れ、この堕天使、殺す、殺す、話しかけるな、穢れる、魂がぁぁあ」
すごい敵意だねぇ。まるで吠える事しかしない野犬のよう。
「ちゃんと聞こえてる? もう一回言うね? 貴方達の統率者、目的、後仲間、どれでもいいから教えてくれるかな?」
「うるさい、殺す、殺す、黙れ、喋るな、だ、堕天使が、殺す、殺してやるぅぅい」
そうかぁ。そうなのかぁ。
「う~ん。聞こえてないみたいだね」
私は円ちゃんに目線を移した。
「じゃあ、耳いらないね」
「そうだな、じゃあ取ろう」
円ちゃんは少女の■を掴むと、■■■で一気に■■■った。
「あがやあああああああああああああああああああああああああああああああ」
絶叫が建物内を駆け巡る。
「ほら、ちゃんと私の目を見て。今度こそ話してくれるかなぁ?」
でも、少女は痛みからか瞳を固く閉ざしたまま、顔をブンブン左右に振っていた。
「私の目を見てっていったのに・・・・・・」
「あああ、いだああ、いだいよぉおお、ああああああああああ」
叫ぶばっかで見てくれない。
「じゃあ、目もいらないね」
「そうだな、じゃあ■ろう」
円ちゃんは少女の顔を押さえると、その左目に。
「ふがやああああああ、ああやあめめえっめめえめめえええええ」
死の恐怖は取り除かれていたとしても。
痛みはどうかなぁ。
「葵の顔も三度だよぉ。首謀者、目的、メンバー、さぁ話して」
「いだいあぃぉおおお、もうあやめええぇええ」
はぁ、これは困ったねぇ。甲高い悲鳴。耳がおかしくなっちゃう。
「喋らないなら・・・・・・」
しゃがんでいた私は立ち上がる。
「口もいらないかぁ」
少女はまだまだいるだろうし、これはもういいかな。
「あああ、あいいいまああす、いいうので・・・もうっ、もうっ」
円ちゃんも立ち上がり、少女の頭を踏みつける。
「いいいいいうううううう、いいままあす、いいますからあああ」
私の靴先には鉄が入っていて。
床に押さえつけられた少女の顔。
「もう、いいよぉ。他の子に聞くから」
足を振り上げる。
最初っからそう言ってれば、優しく殺してあげたのに。
はたして、叫喚は鳴り止み。
代わりに聞こえるのは鈍い音だけ。
何度も、何度も。部屋に響く。
外に出る。また見つけなきゃ。
結構広い街だからね。そうそう遭遇するかな。
この間も逐一蓮華ちゃんから情報が送られてくる。
被害者から共通点はないみたい。やはり無差別なのかな。
他人を巻き込んだ集団自殺って線もある。
やはり、本人達に聞くのが手っ取り早いかな。
「あの青髪の子に会えればいいんだけどねぇ」
「う、うん、あれ、リーダーっぽい、のだ」
面倒なのは、爆弾を躊躇無く使ってくる事だね。
先手を取られるとどうしようもない。無傷で確保も難しい。
さっきの自作爆弾を見る限り、着信か、振動の電流から起爆してるみたいだね。
相手側の素性が分からない限り確定はできない。C4あたりを別の起爆装置で使用してるかも。爆発自体を見てないから判断はできないけど。
いずれにしろ操作する一瞬の隙をつくしかないか。
「円ちゃん、ちょっとスイッチ入れるよ。もしかして気づくかも・・・・・・」
「ういうい、通行人皆殺しする勢いだな、わかったのだ」
短く息を掃き。
人を切り刻んでいく時の。
じょじょに訪れるあの感覚。
微笑みは消え。
景色が血で染まる。
赤く、赤く、赤い世界。
「さぁ、見つけてね。頭のいかれた子達。私達はここにいるよぉ」
すれ違う者が、目をそらし自然に私達を避けていく。
今の私達は死に直結する。
されど、奴らは死を恐れない。
だから、私達を直視できるはず。
◇
天使、天使、天使はどこ。
私、腐乱死巣子は街を彷徨う。
私達を導いて。早く、なんでも言う事を聞くから。
こうやって歩いているだけで近づいているはず。
私達は惹かれ合うから。
どんどん、存在が大きく。
「あ、あああああ、ああああ、あああ」
人混みの奥。光が見えた。
足を引き釣りながらゆっくりと歩く少女。
ツインテールを揺らせ、体には痛々しい包帯の後。
制服を着ていて、私達とそんなに歳もかわらなそう。
「見つけた、天使様・・・・・・」
いや、光は一つじゃない。重なっている。
横にはおかっぱの女の子が。
片目は前髪で隠れているけど、もう片方の目は周りが真っ黒。
とんでもない存在感よ。
ここからでも死臭が匂うほどの。
「ルマ、見つけたわ、それも二人も・・・・・・」
「うん、見つけたね、それも二人も」
さぞ名のある殺人鬼に違いないわ。
あぁ、なんて話しかければいいのかしら。
緊張する。天使様。
私の。
やっと会えた。
次回はリョナ子出すか、このまま凶団編やるかどっちかです。




