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おや、丁度退屈していた所でした。(対殺人凶団、破)

 こんにちは、蓮華です。

 今日もモニターと睨めっこの日々を送っております。

 机には何台もの画面が重なり、デイトレードでもやっているかのよう。

 今は何時でしょう、室内に籠もり集中しているとその感覚すら薄れます。

 午前9時・・・・・・。同じ部屋にはいつもの二人がいてあっちはスマホでゲーム中のようですね。とても暇そうです。

 仕事を与えようにも今は特に・・・・・・。


「ん・・・・・・」


 その中の一つ、様々な場所の監視カメラの映像をランダムに表示。そこに目を移した時でした、妙な胸騒ぎがしたのは。


「お、どうしたの、蓮華ちゃん」


 ドールコレクターがその反応を目ざとく察知。質問してきました。

 なにかやってるようでも周囲へつねに気を配ってる彼女らしい。


「いえ、ちょっと・・・・・・」


 駅ホームの画面、そこに入ってきた10両編成の電車から、ぞろぞろと制服姿の女学生が一斉に降りてきたのです。同じ制服ならまだしも皆別々とは、少し気になりますね。

 すぐに検索、すると本日から学生によるある全国大会が開かれているようですね。その参加者でしょうか。いや、たとえそうだとしてもタイミングが合いすぎてる。状況も不自然。

 そして、最後に電車を降りた二人組を見て、その嫌な予感がより強いものに。


「・・・・・・ドールコレクター、円さん、ちょっとこれ見てください」


 二人の意見も聞いてみましょう。

 電車がホームに入ってくる所からの動画を二人に見せます。


「・・・・・・どう思います?」


「う~ん、なにか起こしそうな雰囲気、よくわからないけど」

「これ、あれだ、みんな、仲間じゃないか? 集団で、来たんだ。きっとそうだっ!」


 やはり、私もなんとなくそう思うんですよ。全員まるで誰かから指示を受けているように行動が重なっています。


「・・・・・・もし、これが一集団だとすると、この中に纏めている人がいるかもですね」


 最後に降りた二人組。その内の一人はカメラの位置に気づいているのか、それに向かって顔を上げると、ニタリと微笑んだのです。それは私に向かってやっているかのごとく。

 そして私の独り言のような呟き。二人はちゃんと拾ってくれました。


「・・・・・・青い髪の子だねぇ」

「多分、あれだ、黒い制服の青いやつだ」


 二人の意見を聞くと、私はすぐ行動に移しました。

 数を確認、全員の特徴と顔を頭に入れます。



 それでも少し遅かったみたいですね。

 関係各所から私の元に一報が入りました。


「・・・・・・あらあら、爆破テロが起こったようです。それも別の場所で同時的です」


 現場は交番、路上、店内、バラバラですね。無差別なのでしょうか。


「目撃証言では、女子学生が抱きついた瞬間、爆発したとの事です。勿論、その女子学生も木っ端微塵でしょう。これは自爆テロかもしれません」


 先入観は危険ですが、十中八九、さっきの学生達が絡んでいる可能性が高い。


「まったく。私の街でなにしてくれてるんですかぁ・・・・・・」


 ま、これでこの二人にも仕事ができましたね。


「ドールコレクター、円さん、これなんとかしてきてください」


 いつもの調子で指示を出します。

 二人はやれやれといった感じで立ち上がりました。

 でも、顔は嫌そうではありませんね。彼女達も退屈してたのでしょう。


「どこの誰だか分からないけどお馬鹿さんだねぇ。ここはもう蓮華ちゃんの巣みたいなものなのに」

「うくく、足を踏み入れた時点でその糸は絡みつく」


 否定はしませんよ。ですが、肝心の蜘蛛は私ではありません。

 糸を辿ってゆっくり獲物に近づくのは。


「じゃあ、ちょっと行ってくるよぉ。どうすればいいのかな?」

「こういう時のレンレンは決まって、こう言う、任せますって」


 多分、自作の爆弾でも巻き付けているんでしょう。だから無傷ってのは少々酷な注文です。ですが、私の立場でそれは言えません。なので。


「貴方達に任せます」


 円さんに言い当てられるは癪ですが、まぁそういうことです。


 会話中にもデータを作成。顔写真をプリントして二人に渡します。


「全部で47人います。で、この長身の子と青い髪の子だけは五体満足で私の前につれてきてください。少しお説教しなきゃいけませんので」


 この子達が首謀者なら他の仲間を。さらに上の存在がいるならそれを聞き出す必要がある。

二人には一応そうお願いしましたが、少し信用できませんね。

 やはり、私も外にでた方がいいかもしれません。


 

            ◇


 私、腐乱死巣子は親友と共に天使を探していた。

 親友といってもこの子の事は大嫌い。あっちもそれは同じ。


「ねえ、ルマ、私は貴方が嫌いよ、大嫌い」

「うん、私もだよ、死巣子、やはり私達は気が合うね」


 殺して殺して殺して殺して。

 この世から人間全てが消え失せて。


「この世界で最後に私達二人が残ったら・・・・・・いい、約束よ」

「うん、分かってるよ。二人きりになったら」


「「お互いを殺して同時に死のう」」


 綺麗な浜辺で、星空の中でもいい、お花畑でも。

 二人きつく抱き合って。

 そうなれば最高じゃない。


 想像するだけで素敵。


「ねぇねぇ、なにやってんの~?」

「見かけない制服だね、地元じゃないっしょ? 俺らが案内するよ」 

 

 折角夢心地だったというのに。

 路地を歩いていた私達にふいに声がかかった。

 現実に引き戻されぶち壊しよ。


「・・・・・・ポイント上増」  


 私がそう声をかけると、少し距離を取り、後ろを歩いていた仲間の二人が男達に抱きついた。 


「え、何々、どうしたの急に、そりゃ嬉しいけど~」

「お、お、君らも友達? 積極的だねぇ」


 その間に私達は路地を抜けて大通りに出る。

 右にしよう。私は気の向くまま足を向けた。


「・・・・・・ちゅど~ん」


 そう漏らし、指を軽く鳴らした。


 その瞬間、光と轟音と、煙、そして。

 狭い道から押し出されるようにそれらが抜けて広がる。


 音に続いて周囲には悲鳴がわき起こる。

 なにかの破片、誰かの肉片、空から落ちてきた。

 雨のように。雪のように。

 後ろを振り返ると、一際大きな塊がポトリと音を立てたような気がした。


 腕だったものを拾い上げる。


「あぁ、ルマ。人が死んだわ。それも四人も・・・・・・」


「うん、死んだね。それも四人も」


 誰のだろう、細いし綺麗だから仲間の二人のどちらかのもの。

 私は目を瞑り、きつくそれを抱きしめる。


「羨ましいわ。きっと素晴らしい世界に向かっている途中なのね」


 すぐにでも追いかけたいけど、私達には使命を全うする義務がある。


 さぁ、早く天使を探しましょう。

 喧噪の中。どんどん集まってくる人間を避けるように。

 私達は歩を進める。


 この時にはもうあちこちからサイレンの音が聞こえ始めていた。

 適当に序破急にしたけど、次じゃ絶対終わらない。

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