その娘の名は
今回は千四百文字位です(長いかなぁ)
何とか林を抜けて、一息つこうと女の子を下ろそうとした…が、女の子は気を失っていた。
「!き、君!しっかりして!!」
しかし、今度は目を覚まさなかった。
仕方ない、幸いにも、家が近いので女の子を運びこむことにした。
女の子を背負い込んだまま家に入ると、いつも通り母さんが迎えてくれた。
少々驚いた顔をして。
「あら、良介…え、その子どうしたの?」
「あ、母さん、この子は、えっと…」
まさか、さっき会ったことを喋るわけにもいかない。ごまかそう。
「あ、母さん。この子はその…いき倒れていたんだ。」
「まあ、大変。良介、この子をあんたのベッドで休ませてあげなさい。」
「え、」
「あんたが助けたんだからあたりまえでしょう?」
それもそうか…なぁ?
「母さん、必要そうなものを持って行くから先に行ってなさい。」
「うん、分かった。」
そう返事した後、俺は女の子をベッドに寝かせてあげた。
その直後、母さんが水がはられた洗面器と、タオルを持ってきてくれた。
「せめて、これで顔だけでも拭いてあげなさい。」
確かに女の子は泥だらけだったので、言われたとおりにタオルを絞って女の子の顔を吹いてあげた。すると、
「んっ…うっ。」
どうやら気がついたらしい。
「あ、良かった。」
よくよく見ると彼女の瞳は綺麗な翡翠色をしていた、形もたれ気味で柔和な印象を与えてくる。それ自体が輝いているような金髪や、整った顔立ちと相まって…やっぱりめちゃくちゃ可愛かった。
十人に聞けば、十人が美少女だと答えるような容姿ってところだろう。
「あ、あの…。」
っていかんいかん。こんなにじろじろと眺めるなんて失礼すぎる。
「あ、ごめん。えっと、なにかな?」
そう言って俺は彼女に笑いかけた。やっぱり第一印象大切だと思う。
「えっと…ここはどこですか?…あと、あなたは?」
「ああ、ここは俺の住む家、で、俺は安堂良介…あ、ちょっと待って。」
黒服たちの事も聴きたいので、母さんには、一度出て行ってもらう。
「さてと、そういえば君は?」
「あ、ご、ごめんなさい。そういえば、まだ名乗っていませんでしたね。」
そう言って女の子は一拍置いてから名乗ってくれた。
「私は、シエル・ドラグーンです。えっと…」
「ああ、俺の事は好きに呼んでいいよ。」
別に俺は呼び方など気にしない方だ。
「えっと…じゃあ良介さん、あいつ等は?」
「ああ、あいつらなら何とか巻いたから、追ってくることはないと思うよ。」
「そうですか、ありがとうございました。」
「いや、別にお礼なんていいんだよ、それよりも、あいつ等は一体何なんだ?シエル…えっと。」
どうしよう、シエルさん?、いや、見た感じ年下(中学三年生)っぽいし、シエルちゃん?…うーん、どっちだ。
「あの…私は、別に呼び捨てでも・・」
「あ、うん、じゃあシエル、あいつ等は?」
「えっと、信じて下さらないかもそれないんですけど…」
「うん、大丈夫だよ、信じる。」
「…ファム王国って言ったら、分かります?」
「へ?」
何でその単語が出てくるんだ?…それは、
印界にある王国の一つだぞ?
「え、…うん、知ってるちゃぁ知ってるけど、…。シエル、ひょっとして君は…」
ファム王国から来たの? そう聞こうとした。
だが。
「はい、可笑しいことを言っているかもしれませんが私はファム王国の王女。
シエル・ファム・ドラグーンです。」
…想像の上を行っていた。
その次の一言は、更に更に上を。
「良介さん、私と、印契約をしてくださりませんか?」
あとがきは毎回書くように努めています。
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