出会い
長さが一定じゃないので文字数は書きます(ちなみに今回は千八百文字くらいです)
ここはT県立花坂 印高等学校
名前が少しおかしいがそれはここが印について教える学校だからだ。
印とは、特殊な魔法陣である印文字を召喚および展開し、様々な力を使役する魔法のような技術だ。
人間界に認知されたのは、今から81年前、昭化31年に突如異世界から攻めてきた者たちが、人間界攻略の為に使用したことが始まりだった。
その世界は使っている技術に由来し、印界と呼ばれた。
もっとも、同じ印界の人の中に人間に味方してくれた者がいたので戦争には辛うじて勝利している。
それから、人間界でも印の技術が研究され、今では、印界の者と契約して印を使役する者のことは印使いと呼ばれている。
そして、圭成25年現在人間界における印使いは全人口の約10%と言われている。
さてさっきも言ったように印とは、印界の者と契約することで使えるもの。そして俺は、いまだにその契約すらできていない落ちこぼれだ。
でも、それでいい。だって俺は印使いには、なりたくないから。
「どうすっかな…」
帰り道の林の中で、俺は、転向した後の青春について考えていた。
もちろん印とはすっぱり縁を切る。一般的な高校で、ごく普通の高校生として暮らすのだ。
姉さんのようにはなりたくないから。
などと考えながら歩いていると、
ドン!
「…なっ!?」
いつの間にやら木に叩きつけられていた。
「あたた…」
何があったんだ?
腰をさすりながら立ち上がりあたりを見回すと、目の前に火の玉があった。それこそ、メラ○―マ的な。
なるほど、これが空から降ってきて、墜落した衝撃波に俺は吹っ飛ばされたのか。
…つーか、なんでいきてんだ?俺。
というか、ここは林の中、火事になるかもしれない。
そう思って火を消すために土をかぶせようとすると、
「…は?」
いつの間にか火の玉は消えていて、代わりに女の子が倒れていた。
…つーか、めちゃくちゃ可愛い。
なにコレ?肌は真っ白でキメが細かいし、体つきは華奢だし、胸・・は控えめだが悪くない。顔立ちも、気絶しているのか目を閉じているが、とても整っている、お人形さんみたいだ。着ている服もワンピースみたいだけど、見たことない刺繍や模様があしらわれている。
って!見とれている場合じゃないだろ俺!
女の子が倒れているんだぞ!早く助けるべきだろ!
「あの…君、大丈夫?」
声をかけるが起きない。まさか・・・
「ねぇ…?」
肩をゆすってみるとようやく目を薄くだが開けてくれた。どうやら気がついたらしい。
「ええっと、君は…」
どこの誰?とは聞けなかった。何故なら、女の子はひどく怯えたように俺の服にしがみつくと、
「お…お願いです…私をどうか、あいつらの目の届かないところに…」
と、懇願してきたからだ。
「へ?」
あいつらが誰の事なのかは、すぐに分かった。
こちらに向かって、集団で走ってくるらしい声や物音がしたからだ。
「わ、分かった。とりあえず任して。」
「はい…お願いします…」
とりあえず女の子を抱きかかえたまま近くの太めな木の後ろに身を隠す。
…つーか、これはこれでいかがなものなんだろうか。頼みを聞いただけとはいえ、初対面の女の子を抱きかかえて木陰に連れ込んでいる変態の様に見えなくもない様な…
などと考えていると、見るからに怪しい黒服の男たちがやってきた。こいつらからこの子は逃げて来たいだろうか。
「くそ、このあたりに落ちたはずなのに。」
「くそ、なぜいない!」
「まだ近くにいるはずだ、探せ!」
うん、つーか…見つかったらアウトだろこれ。全員そっち系みたいだし。
何とか注意をそらさねば…あ、そうだ。
そう思った俺は雄太からもらったエロ本を取りだした。これを遠くに投げればそちらに注意が向く筈だ。
そして、俺は己の命を賭けて(いや真面目に)エロ本を投げた!
…が、力むなしく3mくらいしか離れていないところにおちてしまった。
「あっちで音がしたぞ!」
「探せ!」
…あっちゃーやっちまったか。これではすぐに見つかってしまうだろう。女の子に申し訳ないことをしてしまった。
しかし、見つかると思い、身を固くしているが、一向にやつらは来ない。
おかしいなと思い、覗いてみると…
「うおお。」
「なんて卑猥なんだ…。」
「ご無沙汰してたよな…。」
全員エロ本に釘づけだった。
んな馬鹿なと思ったが、これはこれで好都合だ。
そして俺は女の子を連れてそそくさと逃げるのだった。
昨日調子に乗って書きすぎて大量にストックができたので、執筆しながら投稿します。
間隔の短い不定期投稿になると思います。
(ごめんなさい、印使いのルビがどうしても振れませんでした精進します。)
六月六日改稿 印使いのルビが振れたー!!やったー!!