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空の魔法陣  作者: こまっちゃん
序章 始まりの初まり
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今日考えて明日語れ。

 あれから俺たちはシィムハットさんやメイナと大きなテーブルの上でこの世界のシチューやパン、スープを食しながら、色々な話をした。


 俺たちの世界のことや俺たちの過去など。


 シィムハットさんは自分とメイナのことを話してくれ、さらに此方の世界ので常識や知識を与えてくれた。



 シィムハットさんが言うにはこの世界は、よく小説で出てくるような魔法と剣の世界、そのままだった。


 弱いながらも魔物がいて、王国があって、宮廷魔道士がいて、聖教会の聖騎士がいて、などなど。


 聞けば聞くほど信じがたいが、故にとても聞いてて面白かった。


 シィムハットさんの実年齢は390歳──この時、俺とヒナカは驚愕で口に咥えてたパンを落としそうになった──で、メイナは三ヶ月後に16歳だそうだ。


 年齢差がヒドイが、メイナは拾い子らしい。だが、それ自体にはメイナも踏ん切りがついていて気にしてないらしい。


 あと一番驚いたのはこの世界の時間は一日24時間でこれは地球と同じ。……少し歩いて感じたことだが重力が地球より少し軽かった。ためしに軽くジャンプすると3mとは超えて、ヒナカと二人で鳥肌が立った。

 

 大まかにまとめると、一年が366日一日24時間。一時間刻みに各町や国にある時計塔が鳴り、時間を知らせてくれるそうだ。これに関してはあまり地球と変わらないため混乱しなくて済みそうだ。

 通貨は銅貨、銀貨、白銀貨、金貨、白金貨、王金貨、といろいろ種類がある。

 銅貨100枚で銀貨一枚。という感じに100ずつ繰り上がっていくようだ。――なんでも金貨一枚で数年は、田舎で遊んで暮らせるそうだ。


 暫く談笑しているとシィムハット(以後、シィムさん)がこんなことを言ってきた。


「お前さんたち、元の世界では学生だったんじゃろう?魔法都市エディミオンの〈王立アルケギア魔法学院〉に入ってみる気はないかのぉ?」


 俺たちは少し考えたあと、了承することにした。

 なんでも魔法都市の学院にメイナを行かせたくても一人じゃ心細く、シィムさんとメイナの両方ともが同時にこの家を離れることはできないらしい。(理由は教えてくれなかったし、メイナも知らないようだ)

 あまり詮索するのもアレなので理由は聞かなかった。

 シィムさんが変わりに魔術学の本や歴史本を少しばかりくれるというのだから、断るわけにはいかない。


 学院には初等部・中等部・高等部があり、俺らが入るのは高等部だそうだ。

 それに学院は全寮制。

 初等部は8歳から11歳まで。4年制。

 中等部は12歳から15歳まで。4年制。

 高等部は16歳から18歳まで。3年制。

 さらに学院の近くには冒険者ギルドというのがあって稼ぎはそこで手に入るということ。つまり俺たちからしたら食い扶持を見つけたわけで行かない理由はない!

 まぁ、ギルドで銀貨2枚、学院で銀貨5枚取られるが、それはシィムさんが「その程度ならだしてやるかのぉふぉっふぉ。」ということらしい。知れば知るほど怖い人だ。


 メイナは俺たちが了承したら歓喜して泣いていたのかと思ったら。シィムさんには何年かお世話になったから別れるのが辛くてそれで泣いていたらしい。

 魔法学院にはシィムさんの転移魔法で行くことになったんだけど、まだ日にちはあるらしく。しばらくの間、俺は一人で武術の修行――シィムさんが前祝いにと細い銀剣をくれたため――を、ヒナカはメイナと一緒に知識の勉強を。

 魔術はあちらに行けば学べるだろうってことで保留。


 そして話が終わって寝床につこうとしたとこで俺はシィムさんに呼ばれ、俺は何かあるのかなと思ってそのままシィムさんの作業部屋に連行された。

 俺がわけわからずといった感じで戸惑っていると、シィムさんは今日一番の険しい顔で口を開いた。


「お前さんとヒナカは《精霊の泉》の飲んだあとに何か感じたことはないかのぉ?」


 突然そんなことを聞かれ、なぜヒナカを呼ばなかったのか疑問に思ったが「ヒナカは少量しか飲んでおらんからじゃ」と心を読まれた。……もう驚かなくなっている自分が怖い。

俺は素直になっていうことにした。


「えと、小さな羽の生えた小人たちを見たな。あとは体がなんかふわふわした感じがしたってとこかな」


 その答えを聞いた途端、シィムさんは少し険しい表情になり何かぶつぶつと言い始めた。

 俺は何か不味いことをしたのか、と思い悩んでいるとシィムさんの表情が今度は真剣な顔つきになった。


「いいか、よく聞いておくれ……お前さんたちは魔力がほぼ皆無なのじゃ。それに、お前さん方は体に聖水を取り込んでしまったじゃろう?それのせいで妖精や精霊、幽体を見ることができるようになってしまった。妖精だけではなく精霊や幽体を、じゃ。妖精のさらに上位、精霊様の加護の水を口にして生きているのじゃからお前さんには魔法が全くと言っていいほど効かないことがわかったはずじゃ。普通の人間はあの水を飲むことができないように既視感を抱くはずで、飲めば最悪死に至る――つまり、お前さんはたかが人間の魔法ぐらい何もせずとも無効にできるかもしれない可能性があるということじゃ」


 さっきアタシが施した魔法だって強力なやつだったんじゃが精霊魔法にしないとかからなかったんじゃよ?と半ば呆れた顔で告げる。


(つまりそれは俺が危険視されること確定ってわけか……)


 俺はそれを聞いた途端に焦燥感が湧き上がってきた。そしてついそんなことを心の内にこぼしてしまう。


「はぁ……それがどれだけ意味のあることか教えておいてやろう。魔力のない人間が、何の媒介も無しに魔法を無効化するということは前例にないのじゃ。魔法具を除いては。つまり王国や他の国の研究者に身柄を取られる可能性もあり、ましてや殺されるかもしれん。災厄なのは兵器として使われるかもしれんことじゃよ」


「まぁその分強くなればいいんじゃがの」と真剣な顔つきから優しげのある微笑みに戻った。


 だがそれは俺とヒナカからしたら一大事。

 俺は覚悟し、聞いた。

 シィムさんは優しく微笑むと「明日になったら教えてやろう」と言い残し、「もう遅いから寝るのじゃ」と告げられ俺は決められた自分の部屋へと戻った。

 俺はベッドに腰を下ろしそのまま寝そべった。

 横を見るとちょうど窓だったらしく、夜の外が見える。



翠と蒼の月が、とても綺麗に輝いていた。
















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