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空の魔法陣  作者: こまっちゃん
第一章 それは愛でした。
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必然の出会い

約九ヶ月ぶりの投稿となりましたが文字数は少ないです。

謝罪&言い訳はあとがきにて。




 


 ユウ、ヒナカ、メイナの三名が個別試験をしている中、他の試験生は校庭を使って実技試験を受けていた。

 総勢約300名におよぶ試験生たちは『剣技』『魔技』の二つを総合して評価され、ある一定の得点を超えないものは滑り、次の年まで入学することはできない。ゆえに年齢は多少ばらつきがあったりする。


 「――次ィッ!試験番号125番!前へ!」

 「はい!」


 試験官である大柄の男が叫び、試験生の小柄な少女がそれに応じる。

 華奢な腕を高く伸ばし、背伸びをして前へと進む。

 少女が白線に立つのを確かめると、試験官は再度叫ぶ。


 「では――始めェッ!」

 「――ヤッ!」


 少女特有の甲高い声を放つと同時に、木刀を両手で握り締め駆け出した。

 後ろに一つにまとまった栗色の髪を揺らしながら数メートル先の敵へと肉迫する。

 ――およそ少女が出せる速度とは思えない速さで。

 一陣の風と呼ぶに相応しいその速さに試験官は感嘆し、ギャラリーには口笛を吹く者までいる。

 そんな少女の眼前にいるのは人の形をした泥――いわゆるゴーレム。

 少女よりふた回りほどの体躯。腕などは丸太のように太く、二メートルほどの木刀が握られている。


 「ハッ!」


 吐き出された息とともに木刀を振り下ろし脳天を狙うが、ゴーレムはしなやかな動きで木刀を払う。

 風を切る音をききながら、少女は軽い身のこなしを利用し左足で回し蹴りをする。


 「――――」


 口笛だろうか。僅かに聞こえる高い音は少女からの口から発せられたものだ。

 ――その時、確かに少女の左足が鈍く光った。

 華奢な少女からは想像もつかない耳を痛くするほどの衝撃音と共にゴーレムは後ろへと投げ出され、そのまま数メートル先のとこに落下する。

 鈍い音が響き渡り、大きな体躯のゴーレムは呆気なく、あっさりと崩れる。


 「そこまでェッ!――次ィッ!試験番号――」

 

 やけに声量のでかい号令に従い、少女はつまらなさそうに線の外側へと退場していく。


 「・・・脆いなぁ」


 呟かれたその言葉は周囲の音に掻き消え、誰にも聞こえない。

 近くにある木に寄りかかり、他の試験生を見やる。

 背もたれ無しの腰掛けに座って傍観する者、試験番号を呼ばれ一定の線の中でゴーレムと打ち合う者、椅子に腰掛け木版に置いた紙にひたすら書き込みをする者。遠くでは『魔技』の試験を行っているのだろう、僅かに聞こえる爆発音や歓声の声が騒がしい。

 

 この学校は初等部や中等部を出てきたものは僅かに少ない。基本的に、中等部を出ると貴族・農民は縁談や家業があり高等部に入ることはなく、騎士・魔導師・冒険者を目指すものが高等部に入る。

 主な指導、初等部は一般語学と算術と基礎魔術。中等部は初等部の応用に歴史。高等部は本格的な戦闘訓練や魔術全般を教えている。共通して体力作りは必ず組み込まれている。

 

 ――今受けている試験生の大体は他の地区から来た一般生なのだろうか、やはり動きが鈍い。打ち込みをしている試験生は確かにやる気は感じられるが、覇気がない。

 当然であろう。ほとんどがどのつく素人ばかりなのだ。

 見ていても苛立ちが募るだけ…どうしてそう動くのだ。どうしてそこで踏み込まない。どうしてそこでそうしない。

 少女は才があるがゆえに凡人に軽蔑の念を浮かべる。


 「本気で戦いた…――いッ!?」


 少女の独白は、膨れ上がる魔力の気配に遮られた。

 向かって斜め向こう、球状の校舎、体育館と呼ばれる場所からそれは感じられた。


 「ウソでしょう?!…なにあれ!?」

 

 今まで感じたこともない暴力的な魔力の流れに、翻弄され慄きながらも身構える。

 体育館のちょうど真ん中辺りだろうか、そこから爆発に似た魔力が流れ出ている。

 『剣技』の試験を受けている生徒の中で気づいたものはおそらくいないだろう、ひたすらゴーレムと打ち合ったり談笑したりしている。だが、試験官である彼らは皆一様に体育館へと視線を向け、遠くで『魔技』の試験を受けている生徒の複数は勘付いたのか視線を彷徨わせている。

 少女の視力は普通の人に比べかなりいい方である。一人の少年が体育館へと駆けたのを少女は見逃さなかった。

  

 だが謎の圧迫感は不意に終わりを告げた。

 最初から何事もなかったかのよう消えていく魔力の奔流に呆気に取られてしまう。


 「なんだったのよ…あれは…」


 その答えは後ほど身をもって知ることを彼女――レイリはまだ知る由もなかった。

 











―――






 



 体育館へと駆けた少年――ルケイムは、違和感を感じてすぐさま行動に出ていた。

 胸を駆け巡るような違和感は不快的なものではなく、むしろ、一種の期待と確信めいたものによるものだった。

 

 特徴的な青い髪を揺らしながら体育館へと侵入する。

 初等部中等部を一貫して通っているとはいえ、試験生という身分で勝手に入ってしまうことに少々の罪悪感を覚えるが、その思いも僅かなものだ。


 体育館の玄関に到着すると高等部の制服を着込んだ二人の男女が佇んでいた。

 制服――学校が指定した特定の服装。生徒は例外なく〈レーレアリィの花〉を象った銀色の紋章をつけていて、それをつけるのはフードのある黒のローブ。中の服装は男女に分かれ、男性はシャツにズボン、女性はシャツにスカート。ほとんど貴族と同じような扱いがされる学校は、一般市民にしてみれば夢のような場所であり、服装に至っては結構な人気がある。

 

 異質なのは男の方だった。黒と白の中間ぐらいの色の髪もさる事ながら指定のローブの背中には狼の顔らしき紋様が描かれている。            

 男の方はさすがに気づいたのか、こちらを向くと気さくに話しかけてきた。


 「やぁやぁ、君も気づいて見に来たのかい?」 

 「はい、そうです」


 軽く四百は超える距離を全力に近い速度で走ったにも関わらず、息は一切乱れていない。難なく返答し自然を装う。

 碧の双眸が舐めるようにルケイムを見つめ、直感的に後ずさってしまう。


 「見たところ君は試験生のようだが…まぁこの際はいいか。そうだな、自分の目で見てみるといい。――どうやら今年の入学生は突出したものが多いようだ」

 

 彼はそう言うとローブを翻し女性とともにその場を去っていった。


 「確か…誰だったか。――いやそんなことよりも」


 正面玄関に近づき、その目で見たのは――


 「――っ」


 ――紅い天使が学園長を翻弄している光景だった。

 

 抉れた地面に漂う霧。

 濡れた地面と、日照り上がった地面。

 学園最強と言われるブレロ顧問官が呆気にとられているのを初めて見た。

 

 だがそれよりも、彼女(・・)をルイケムは知っていた。


 昨日に出会った、妹を助けてくれた少女。一目惚れだったかもしれない。

 明るく元気そうに見えて、どこか寂しそうな雰囲気を纏っていたあの――――


 「メイナ…?」


 少女は様変わりしていた。

 焼き尽くさんとするその意志の奔流。短かった髪は長く、その所作は騎士を連想させる。

 だがそれよりも、あの翼と焔の剣を見て理解させられた。

 騎士。そう思わせる何かがあるのだが、彼女を形容するならば、それではあまりにも――貧相すぎた。

 例えるならば、そう。あれは炎の天使だ。

 美しく気高い印象を持たせ、強きものに恐れを見せないその威光に、静かに震えた。

 

 どれだけ見続けただろう。

 三十分。いや、きっと数分程度だろう。

 それほどまでに魅せる何かがあった。


 気づくとメイナが横に二人の男女を連れてこちらへと向かってきていた。

 男の方は静かな歩調と、耳を隠すほど伸びた銀色の髪に燃えるような真紅の双眸が不可思議な印象を与える。

 女の方は軽やかな歩調で快活さを想起させ、男と同じ銀の髪は肩にかかる程度の長さ、その瞳は蒼碧で神秘的だ。


 扉が開くと同時に、思考の海から意識が覚醒した。


 「・・・あ」

 

 メイナか、ルケイムか。はたまた二人同時にか。

 小さな驚愕はついと出た。

 後ろの男女が疑問符を浮かべているが、今は二人にとってそれどころではなかった。


 「ルケイム君・・・?」

 「・・・やぁ」


 その出会いはもはや必然なのかもしれない。

 焔の拳闘士と氷の魔道士はこうして二度目の邂逅を迎えた。

…なんとお詫びしていいか。

本当に申し訳ございません。


新しく思いつきで書いた話の途中途中で書いていこうかなと思います。

正直プロットやらなにやら色々なくなってしまって全体のモチベが下がっています。主人公がこうなって、最終的にこうなる。というのは当たり前ながら書き直せるのですが、その他の登場人物の設定やら、話の流れの補完する部分がどうにも思い出せなくて・・・。

そのうち思い出せるとは思いますが、これ以上書いていくのはほぼ不可能と捉えてもらえれば結構です・・・。すみません。


まったくもって迷惑な話ですが、話の内容を変えつつ修正したものを後々投稿する予定です。何度も謝罪を重ねますが、すみませんでした。


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