~幕間~ 01
「貴方に取って気に食わない存在が現れたわね」
夜も深まり、精霊達も眠りについた頃、少女の声が響く。
「そうだな。相手が相手だけに手は出し憎いが……、今度の新入生対抗試合で一太刀浴びせてやる……!」
それに応える少年の殺気に、少女は体を震わせる。それは怯えではなく、歓喜に依る物だったが。
「この感じ……やっぱり良いわね」
「わたしは少しきらい」
新たに幼い舌足らずな声が聞こえる。
「あ、悪いな」
「うにゅー」
少年が殺気を抑え、頭を撫でると、幼女は気持ちよさそうな声を出す。
「それで、彼と戦う時はどうするの?」
「相手の戦力が解らないから何とも言えないが……、負ける気は無い」
「それは、いざという時は使うという事かしら?」
「使うんじゃない。借りるんだ」
その事をやけに強調して言う少年に少女は苦笑する。
「そんなのは同じ事よ」
「俺に取っては違う」
「頑固ねぇ……」
「みゅー……」
少女が少年に苦笑いしていると、幼女が眠そうにしていた。
「もう夜も遅いのだから、貴方も休んだら?」
「そうするが……お前は?」
「少し散歩を」
「そうか……。遅くならない内に戻って来いよ」
「今はもう遅い時間だと思うけど?」
「お前に取って、だ」
「はいはい、分かったわ」




