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前代未聞な精霊使い   作者: 夜魔
第一章 新入生対抗戦編
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02 実践授業

「諸君、今日は初めての実践じっせん授業だ」

「実践授業って何や?」

 西部なまりの奴――浪速なにわ ひがしが教師の発言にツッコむ(質問する)のは最早もはや馴染なじみの光景である。

「実践授業とは座学ではなく、その名の通り授業で学んだことを実践する授業だ。今回は毎年恒例まいとしこうれいの新入生対抗試合で行われる精霊を用いた戦闘――つまり、精霊戦闘エレメンツ・バトルを行なってもらう」

「それはどういう風にやるんや?」

「Cクラスと合同で行い、そのクラスと我がクラスでの模擬戦闘だ」

「え?Cクラスって30人近くるはずやで?一方、此方こっちには10人しか居らへん……。それじゃあ練習にならへんやろ?」

「Cクラスは10人3組に別れる。人数による有利不利は無い」

「なるほどなー」

 浪速が納得したように頷くとそのまま話すのを止めた。

「他に質問がある奴はいないか?」

 基本的にここで何かを言う奴はいない。何故なら、聞きたい事は大概たいがい浪速が言ってくれるからだ。

「では、一限目開始前に第三フィールドに集合する事。――以上!」

 そう言ってエレーネ教師は教室を出て行った。どうせ集合場所で会うのだけれど。


「ねえねえ、黒刃君」

 入学式の時話していた少女――アイネ・フランメが話しかけてくる。彼女は案の定精霊使いだったが、人間的に好感が持てるタイプ――まあ、Xクラスの精霊使い連中は良い奴らばかりなのだが――なので変わらずお付き合い(友達的な意味で)させてもらっている。

「何かな、アイネ」

「精霊戦闘って何するの?」

「さあ?それを今から学びに行くんだからな」

「それもそうか」

「あの……お二人は精霊戦闘をご存知ぞんじないのですか?」

 アイネと話していると金髪ストレートの少女――ミルキー・エルストンが話しかけてきた。

「うん、知らない。何せ今ままで実家で精霊使役の修行はしてたけど、それ以外は全く教えられてなかったからね」

「という訳で教えてくれるか?委員長」

 ちなみに委員長とはミルキーの事である。

「今から学びに行くのだから必要ないのでは?」

意地悪いじわる言わないでよ委員長ー」

「予習は必要だろ?軽くでいいから教えてくれよ」

仕方ないですね。と前置きしてから委員長は説明する。


精霊戦闘エレメンツ・バトルとは文字通り、精霊を使役して行う戦闘行動です。精霊使いと護衛騎士が何人かでチームを組んで規則ルールのっとって戦い、事前に設定された勝利条件を満たすか、相手のチームを全滅させたチームが勝ちになります。これは、スポーツや訓練の一環として、多くの地域で行われており、地方によって様々な独自ルールが存在します」

「流石委員長。教科書通りそのまま引っ張って来た様な回答だ」

「それは言わないで下さい……」

「そうだよ黒刃君。人の気にしてる事言っちゃ駄目だよ」

「それを直す為に此処(Xクラス)に居るんだ。つまり、これは俺からの哀のむちだ」

「愛?」

「いや、哀」

「違いが分からないよ……」

「あの、お二人共。急がないと遅刻しますよ」

「え、ホント!?」

「よし、第三フィールドまでダッシュだ!」

「え?ま、待ってください~」

 そして走り出す俺達だが、委員長は一人遅れていた。



「よし、全員時間通りに着いたな」

 エレーネ教師の前にはXクラスの生徒が全員揃っていた。委員長は肩で息をしていたが……。

「精霊戦闘を行うに当たって、先ずは指揮官を選出せんしゅつしてもらう」

「委員長で良いんや無いか?」

 真っ先に発言したのは何時も通り浪速だ。

「だそうだが、何か他に意見があるか?」

 その質問に反論するものは居ない。

「では、指揮官はミルキー・エルストンとする。では、次に今回のルールを説明する。公式ルールを基本とし、追加でA級以上の精霊術の使用は禁止、勝利条件は指揮官を戦闘不能にする事とする。フィールドは此処の全てを使用する。陣形や戦術はそれぞれで考えるように。それと護衛騎士科の諸君はこちらで用意した武器を使ってもらうので選んでおけ。――それでは、解散!」


「それじゃ、先ずは陣形を決めようか。どうします?委員長」

 今発言したのはアーノルド・フレッチャー。容姿端麗という言葉がよく似合う男だ。周りからは何故Xクラスに居るのか疑問に思われている。

「えーと……。指揮官が打倒されたら負けという事なので、私を中心とした防御陣形で行きたいと思います」

「という事は委員長が中心でその周りに精霊使い三人を配置、更にそれを護衛騎士6人で囲む。それで良いか?」

「は、はい」

「それじゃ、俺達は武器取りに行ってくる」

 俺がそう言って武器を取りに行くため歩き出すと、他の5人もついて来た。


 武器を取りに行った俺達は、現在俺とコッペリアルを除く4人は武器を選んだところだった。

「えーと、片手剣が二名、両手剣が一名、槍が一名か……。おい、コッペリアル。お前は何にするんだ?」

「何にしましょう?」

「自分の得意の得物えものにすればいいんやない?」

 毎度お馴染みの浪速が会話に入ってくる。

「何でも同じ様にあつかえますので、得意不得意は有りません」

「だったらこれで良いか」

 俺が選んだのは長めの長槍だった。理由は単にリーチが長いというだけの理由だ。

「問題は無いか?」

「はい、大丈夫です」

「さて、残るは俺だが……まあ、これで良いか」

 そう言って俺が手にしたのは二本の片手剣だった。

「二本も使えるんか?」

「別に同時じゃなくて一本づつ使えばいいんだよ」

 まあ、二本同時でもあつかえるけどな。

「委員長には盾でも持っていくか……」



 そして、Cクラスのとある一組と対決したのだが……惨敗ざんぱいした。

 ず相手が精霊使い中心のチームで、俺達は守りを固めていた護衛騎士を突破することが出来ず、その間に準備が完了した精霊術の一斉掃射でこちらの護衛騎士の半分以上がダウン。

 こちらも精霊術で応戦したのだが、数の違いからこちらは一人倒しただけに終わり、後は数で押されて司令官いいんちょうを討ち取られて終了した。


 ボロボロな俺達に向かってエレーネ教師が言ったことは

「自分達が負けた敗因や、勝つ為にはどうするべきだったのか。それをこの後の授業で検討するので、各自自身の行動をよく振り返っておく様に」

 という、味も素っ気もない物だった。


 余談だが、帰り際、対戦相手に居た男子精霊使い――入学式で騒ぎの発端ほったんとなった奴――が、『ははは!随分とボロボロだね。まあ、所詮しょせん落ちこぼれクラスだからしょうがないか!』と言ってたのがむかついたのと、アレは一番嫌いなタイプだったので今度戦う機会があったら容赦ようしゃ無く叩き潰すと心に決めた。

精霊戦闘エレメンツ・バトル:精霊を使役して行う戦闘行動

 精霊使いと護衛騎士が何人かでチームを組んで規則ルールのっとって戦い、事前に設定された勝利条件を満たすか、相手のチームを全滅させたチームが勝ちになる。

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