第1章 はじめに――ニュートンやエジソン、後半生の“心霊研究”の実相
アイザック・ニュートンやトーマス・エジソンといえば、科学技術の歴史を語る上で欠かせない偉大な人物である。ニュートンは万有引力の法則や微分積分法の確立など、近代物理学・数学に革命的な足跡を残した偉大な自然哲学者であり、エジソンは電球や蓄音機、映画フィルムといった発明で近代社会のテクノロジー基盤を形成した人物として知られている。そのような二人が、晩年には“心霊研究”や“死者との交信技術”に没頭していたという話は、幾度となく雑誌やオカルト系文献で取り上げられてきた。
しかし実際には、それが“死者との対話”というスピリチュアルな領域そのものだったのかどうかは疑義がある。むしろ、近年では「彼らが本当に試みたのは“アカシックレコード”と呼ばれる宇宙的記録領域へのアクセスではなかったか」という見解が注目され始めている。いわゆる“アカシックレコード”とは、宇宙の過去・現在・未来におけるすべての情報が蓄積された霊的(または情報的)記録庫とされる概念であり、西洋の神智学やニューエイジ思想などを通じて広まった。
本稿では、ニュートンとエジソンの後半生における研究・活動をふまえ、従来“心霊研究”や“死者との交信”と誤解されてきた部分が、実のところ「宇宙の深淵の叡智」にアクセスしようとする試み――すなわち“アカシックレコード”へのコンタクトではなかったかという論を展開したい。そして、その背景には、近代科学から一歩踏み越えた“全知の記録”の存在を探究しようとする、当時の知識人たちの独特の思潮があったのではないかと結論づける。




