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「ここ……らへんかな」
ルビーの光り輝く杖を持ち、光がより一層輝く場所でレミィは止まった。陽は陰り、あたりはもう夜のように薄暗い。
「異世界の扉っぽいのは……ないし。人影……もない。うーん、ルビー先生、本当にこれ合ってるのぉ……?」
――ギャアギャア!
「!」
見知らぬ鳴き声にレミィは身をすくめた。
ここまで奥深い森の中へはルビーとしか来たことがなく、レミィは早々に後悔し始めていた。
「ど、どうしよう……もう何もなかったって言って戻ろうかな」
不安が頂点を迎えそうなレミィが戻ろうか迷いだしたその時、
――ガサッ。
「ひ……っ」
近くで、レミィにも届く大きさの音で、何かが蠢くような音。
そして、
「ひぎゃぁぁぁぁ! ルビー先生ぇぇぇぇ!」
けたたましいレミィの叫び声が響いた。
その拍子にレミィは腰を抜かし、ペタンと座り込む。這い蹲ろうにも半ば混乱状態にあるので、うまく自分が動かせない。
「誰だ」
そんな状態のレミィの耳に言葉が届いた。
見るとレミィの真上に位置する木の枝に、少年が座っている。黒髪で、歳はレミィと同じくらいだ。そんな人物にレミィが冷静になって会話できるはずもなく。
「いやぁぁぁぁぁ!?」
半狂乱のレミィは再び叫びだした。
「なんだ今の!?」
「あっちの方からしたぞ!」
「あいつかもしれん! 急げ!」
レミィの声に反応して、まだ遠くにいる複数人の声が近づいてくる。
「くそっ。めんどくせぇ」
黒髪の少年はそう呟くと、座っていた木の枝からスルスルと降り、腰を抜かしているレミィを引っ張り上げると、近づいてくる声とは別方向の木へと素早く身を隠した。咄嗟に判断したのか、レミィの口を腕で塞ぐ。
レミィはじたばたと応戦するも、少年の力の方がはるかに強く、逃れられない。
「んんん!? (誰!? 誰なのこの人は! さっきの声も誰なの!?)」
「静かにしろ。声を出したら……」
困惑するレミィに、少年は静かに続ける。
「殺すぞ」




