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薄暗い森をただひたすらに走る人影がそこにはあった。
夕暮れ時だが、樹齢何百年にもなろう木々が陽の光を遮り、不気味な雰囲気を作り出している。似たような木々が四方八方に見えるため、前に進んでるのか、同じ道をひたすらぐるぐる巡っているのか、本人にもわからなかった。
それでも、ただ走るしか手立てはなかった。
「音がしたぞ! あっちだ!」
「逃がすなよ、あの忌々しい黒髪の奴だ!」
城から追ってきた番兵たちは散り散りになって、標的である黒髪を探す。どうやら焦っているようで、その形相は酷いものだ。
追われている黒髪の少年は、その身体能力で番兵たちを欺き、なんとか身を隠せそうな巨大樹を見つけた。
その樹の幹はとても太く、樹皮がささくれだっており、下手に触れば手指が切り裂けてしまいそうだ。そこをそんなのお構い無しとばかりに、スルスルと一番低い位置にある太めの枝までたどり着き、やっと腰を下ろした。
「くそっ。なんだってんだよ……」
ようやく落ち着ける場所を見つけ、乱れた呼吸を整えながら、苛立ちを吐き捨てた。
これからどうするか、一体ここはどこなのか、そんなことをあれこれ考えながら、その瞳を閉じ一時の暗闇に落ちた。




