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「おい、コロン……これか、てめぇの作戦ってのは……」
花々が朝露に濡れる爽やかな朝、全くもって似つかわしくない怒気を帯びたリオの声が部屋に響く。
「まあまア、とっても似合っているゾ?」
ニタニタと笑うコロンは、リオに鏡を見せながらそう言った。
昨夜、リオとコロンは城内へ潜入するための作戦を立てた。コロンが用意したものがあると、早朝に渡してきたものが、フリルやレースがふんだんにあしらわれた、とても可愛らしいメイドドレスだった。
城では最近ハウスメイドが足りず、町の者から集うことがしばしばあった。コロンはそこに目をつけた。
さすがにリオの見た目はこの世界では目立つため、規定のあるハウスメイドとして、一緒に潜入するのは難しいと思ったのだが。
メイドドレスを着たリオは、すぐ場に適応出来る潜在能力を存分に発揮し、結果とても似合っていた。
「ご丁寧にウィッグまで用意しやがって……」
「仕方ないだロ? 城に潜入するためダ。あト、その黒髪はここでは目立ちすぎるしナ」
「……気になっていたが、この世界には黒髪の奴はいないのか?」
「いヤ? いるサ。別に誰がどんな髪色だろうト、構いやしなイ。ただナ? ここの国、ミューハ国の国王ミゲルって奴ハ、黒髪が嫌いなんダ」
「嫌いって……」
そんな好き嫌いで追われるものなのかと、苦言を呈そうとしたリオの前にコロンは続ける。
「この国は黒髪の魔法使いが立ち上げたんダ。とても優秀な奴デ、差別もしなイ、植物や動物にも優しイ、皆が憧れる魔法使いだっタ……」
どこか悲しげな様子で、コロンは話す。リオはいつもと違う雰囲気に、静かに次の言葉を待つ。
「そんな優秀な奴ダ、恨まれることもあル。でもやり方が汚イ! ミゲルの一族は魔法もそれほど出来るわけでもない癖ニ、その優秀さを妬んで周りに嘘を吹き込んデ、裏切っタ……ッ!」
ピリピリとしたコロンの表情は憎しみで溢れていた。その様子を、他人事とは思えず、リオは受け止めるしか出来なかった。
「……すまなイ。その優秀な魔法使いは少年と同ジ、精悍な顔つきの黒髪だっタ。城の奴らが少年を追うのハ、あの魔法使いと似ているからかもナ」
「それなら納得する、か? とにかく……ありがとう、話してくれて」
「話したかラ、その格好も許せヨ」
「それとこれとは話が別だ」
などと言うものの、ほかにいい案などないので、最終的にはリオはコロンの作戦を飲むこととなった。




