表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magical★Spirits-マジカル★スピリッツ-  作者: 晴埜あこ
2.湖の魔女と呪い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

2-7

 レミィとリオはコロンの家に招かれていた。

 湖のほとりにあるコロンの家は、ほとんどのものが青く異彩を放っている。

 

「オマエたちが言っていル、草とはなんのことダ?」

「ミグミグ草っていうの」

「ミグミグ草? あれは魔力を増幅させる草ダ。確かに低級魔法を解く効力もあるガ。その紅茶はミグミグ草の茶葉なんダ。しかし、変化はないだロ?」

 

 出されていた紅茶を飲んでいた二人は落胆した。あからさまに落ち込むリオを見て、レミィは声をかける。

 

「コロンさん、ほかに何か方法はありませんか?」

「そうだナ……。これでもワタシは呪い専門ダ。しかし、その魔力と呪いハ……薄気味悪いというカ、何か混ざっていル」

「うーん、あっ! リオは異世界から来たの!」

「異世界!? なんでまタ」

「それが、わからなくて」

「そうカ。呼ばれタ、のカ」

 

 腑に落ちたと言わんばかりに、コロンは表情を変えた。レミィとリオは訳が分からないでいる。

 少し考え、コロンはハッと思い出した。

 

「そういえば、ミューハ国の城下町が最近何か変だとカ。国王もいるのかいないのかすらわからないようだシ」

「何か変ってことは、行ったら何かあるかもしれないってことね!」

「どうしてお前はそんなに前向きなんだよ」

 

 呆れ返るリオに、レミィは笑顔で答える。

 

「だって、何かがあるかもって異世界の扉を探したらリオに出会えたし! 何かがあるかもしれないなら確かめないと!」

 

 レミィの前向きさ加減に、リオは悩むのも馬鹿らしいと思い始めた。

 そんな様子を、ただ黙って見ていたコロンだったが、ひとつ疑問が浮かぶ。

 

「なァ、ところデ、娘はこの森に住んでいるのカ? 異世界からの少年は別としテ。一人で、ということではないだろウ?」

「え? うん、ルビーって人と一緒に暮らしているの!」

 

 その名前を耳にした瞬間、コロンは椅子から飛び上がった。今の今まで落ち着いていたコロンが明らかに動揺するので、レミィもリオも目を丸くする。

 

「えっと……その人が、一応わたしの先生で、師匠で」

「師匠!?」

 

 さらに飛び上がるコロン。訳がわからない二人。

 紅茶を少し飲んで喉を潤し、コロンは震える口を開く。

 

「ア、ああアア、アイツのせいで……平穏な生活は終わりを告げ、ワタシの魔力までも使イ……! 娘の魔力の感じモ、アイツ……!」

「お前の先生はどんな奴なんだよ」

「わ、わからないけど」

 

 自分の師に対して、負の感情を全面に出すコロンを見てレミィはたじろいだ。

 

「トッ! とにかく、あんな奴と一緒にいたらいつかおかしくなるゾ!」

「それは、同感だ」

 

 コロンの感情に、そこで初めてリオは共感した。

 レミィはなんとなく否定したいような、その通りのような気がして何も言えない。

 

「あまリ、関わりたくなイ! 出て行ケ!」

 

 そう言うと、コロンはレミィとリオを家から追い出して勢いよく扉を閉めた。

 いきなり態度の変貌に驚きつつも、二人は妙に納得し顔を見合わせた。

 

「……っと、娘ヨ」

「ん?」

 

 扉から少し身を出したコロンはレミィを呼び止めた。

 

「もシ、本当に城下町に行くのなラ。魔道具の店に行くといイ。……長い旅をするなラ、絶対ニ」

「……? うん! わかった、ありがとうコロンさん! またね!」

 

 レミィの返事を聞き、コロンは少し安心したのか今度は静かに扉を閉めた。


 

 レミィとリオが去ったのを確認し、コロンは床に座り込んだ。

 

「ルビー、そうカ。似ていると思ったヨ……ワタシを救ってくれた時と同じ目をしテ、可愛いとほざいテ」

 

 そこにはもう誰もいないのだが、顔をつたう雫が見えないようにコロンは顔を覆う。誰にも見つからないように。

 

「頼んだゾ。オマエたちなラ、きっとキュービからこの世界を救ってくれル……。な、パイ……」


 

 コロンの家を後にしたレミィとリオは、来た時より通りやすくなった道に困惑しながらも、ルビーが待つ家を目指した。

 

「おい、レミィ」

「どうしたの?」

「……お前は、もう家に帰ったほうがいいんじゃないのか? 元々は俺の呪いには関係ない。感謝はしてるけど……」

「リオ!」

 

 立ち止まるリオにレミィは、言葉の意味がわからないといった顔でリオの言葉を遮った。

 

「前にも言ったでしょ? わたし、同じくらいの年齢の子と初めて会ったの! それが、とっても嬉しい。だからすごくワクワクしてる! 呪いはリオのことかもしれない。だけど、わたしも自分の魔力が弱いことと関係あるって思ってるの! だから全然関係ないわけない!」

 

 はっきりと言い切るレミィに、リオは笑った。純粋に、喜びを交えて。

 

「一緒に行こうよ、リオ」

「あぁ、ここに住んでいる奴がいたら心強い」

「あ!」

 

 リオの言葉にレミィは声を上げる。疑問符を浮かべるリオ。

 

「でも、わたしこの森から出たことないから、ミューハ国も城下町も知らないよ?」

「はぁ!?」

 

 前途多難な二人の冒険はこうして始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ