1-9
「で、私のところへ連れてきたんですか」
「そうです」「そうだ」
少年の“呪い”を見たあと、レミィはルビーの杖を手掛かりに、やっとの思いで家まで帰って来た。
ルビーは今か今かと待っていたが、レミィの後ろに立つケモノ耳を生やした黒髪の少年を見てあからさまに苦笑いをした。
「どうして! そういう勝手なことをするんですか!」
「だって! うーん……これが、わたしの直感だもの!」
「だからって……」
何を言っても小言が始まりそうだったので、レミィは少年へと話題を向ける。
「そうだ! 名前! 名前聞いてなかったよね。わたしはレミィ。レミィって呼んで!」
「……リオ」
「リオ! 叩いてしまってごめんなさい。同じくらいの年齢の人、今まで知り合ったことないからびっくりしたの」
「……」
ほぼ一方的に話すレミィにルビーはため息をつき、リオに話しかける。
「リオくん。とりあえず今日はうちで休んでいってください」
「はぁ!? 俺はお前ならこの意味わかんねぇのを解いてくれるとっ」
「解くにしても。夜じゃ分が悪すぎる。それに……」
ルビーはレミィには聞こえないように、リオへ歩み寄り囁く。
「追われているのなら、ここにいた方が安全ですよ」
「っ!」
「さて! 今日はお泊まり会ですよ、レミィ。お客様を迎え入れる準備をしましょう」
「お泊まり会! なぁに、それ! 楽しみ! リオも入ろう!」
リオはルビーの発言に不信感を覚えつつ、森にいるよりはマシだと考え、しぶしぶレミィとルビーの家に招かれた。
レミィは初めて年の近い客人に喜びが溢れている。
手早く部屋を片付けリオを迎え入れる準備をするルビーは、誰にも気づかれないよう天井へと合図を出す。
それに反応した、ファルは『わかった』とルビーに伝え、天井裏からスルリと抜け出した。
「今夜は月夜だから、何もしないほうがいい」
一人、ルビーはそう呟いた。
ここは魔法の都
月の力を借りて、悪にそまりつつある
魔の少女と異世界の少年の物語が
今、始まろうとしている




