きえたまわりのきらきら
ゆうたは、きらきらがだいすきでした。
ひかる石、あめだまのつつみがみ、朝のたいようがまどに当たるときの、まぶしいひかり。
ようちえんのころは、まい日がきらきらしている気がしました。
でも、しょうがくせいになってから、ゆうたはときどきするようになりました。
「きらきらって……なくなったのかな」
学こうはたのしいはずなのに、
しゅくだいはむずかしくて、あそぶ時かんも前より少なくなりました。
帰り道、ゆうたはランドセルをしょって、とぼとぼ歩いていました。
前は、道ばたのはなも、あめあがりの水たまりも、ぜんぶきらきらして見えたのに。
いまは、なんだかただの道。
公えんのベンチにすわっていると、
風で、木のはっぱがゆらゆらゆれました。
「……きらきら、どこへいったんだろう」
そのときです。
ぽん。
ちいさな音がして、
目の前を、しゃぼん玉がとびました。
ふわり、ふわり。
しゃぼん玉の中で、
たいようのひかりがはねて、きらきら、きらきら。
ゆうたは、思わず立ちあがりました。
しゃぼん玉をとばしていたのは、
ちいさな女の子でした。
「きれいだね」
ゆうたが言うと、
女の子はにこっとわらいました。
「うん。でもね、すぐ消えちゃうの」
その女の子がそう言ったとき、、しゃぼん玉は、ぱちん、と消えました。
ゆうたのむねが、きゅっとなりました。
「きれいなのに……」
女の子は、しゃぼん玉をまた一つとばして、言いました。
「すぐ消えちゃうから、ちゃんと見てあげなきゃ」
そのとき、ゆうたは気づきました。
きらきらは、ずっとそこにあるものじゃない。
すぐきえちゃうから、きらきらなんだ。
家に帰った夜、ゆうたはまどからそらを見ました。
星が、ひとつ、またひとつ。
でも、雲がきて、
星はかくれてしまいました。
「星も……いっしょだ」
ずっと見えていたら、きっと、きらきらには見えない。
つぎの日の朝。雨がやんで、道に水たまりができていました。
ゆうたは、そっとのぞきこみました。
たいようがうつって、水たまりが、きらっとひかりました。
ほんの少し、でも、たしかに。
ゆうたは、にっこりわらって、言いました。
「おかえり、きらきら」
きらきらは、なくなったんじゃなかった。
見ようとしたときだけ、あらわれるものだった。
それを知ったゆうたのせかいは、前よりすこし、やさしくひかって見えました。




