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魔物

 結局あの後庭を魔法で戻し、ルッソは適当に誤魔化してなんとかした。幸いにも母がルッソを気に入ったことにより、ルッソはウチで暮らせるようになった。ルッソも「ご主人様の身の回りのお世話はお任せください!」と意気込んでいるのでそのまま頑張って欲しい。昨晩から既に家事を手伝ったらしいし、これからも頑張って母に気に入られてくれ。

 〜昨晩のルッソ〜

「ふふ、懐かしいわー。アルちゃんも昔はこうして家事を手伝ってくれたのよー。その包丁もその時アルちゃんが使っていたものなのよー。」

「ほう?貴様、私より先にご主人様に仕えていたのか。」

「どうしたのルーちゃん。あら大変!包丁の持ち手が割れているわ!もう古いし使っていなかったからかしら。ルーちゃん怪我してない?」

「大丈夫ですお義母様。それよりもこの包丁はもう捨ててしまいましょう。」

〜〜〜

 因みに父は昨晩母の手料理を食べ「いやールッソくんが作ってくれた料理、とても美味しいよ!」と言ってしまったため母にボコられた。


 まぁなんとか誤魔化すことが出来たのでヨシ!しかしまさか家事を手伝ってくれる人が来ただけであんなにも母が喜ぶとはなぁ。今度俺も手伝うか。

〜その頃のルッソ〜

「はぁはぁはぁ。これが、ご主人様の香り!」

「ルーちゃん。アルちゃんの服洗濯するの手伝ってくれるー?」

〜〜〜


 さてそんな家を出て俺は何をしているのかと言うと、ただの散歩をしていました。

 散歩するくらいなら家事を手伝えやと思ったそこのあなた!全くその通りです返す言葉もございません。

 さてそんな親不孝家事しない散歩カスの俺の前に一匹の魔物が現れたんだが、罰だろうか?


 突然だがスライムと言われて皆は何を想像する?

青いの?丸いの?おっとこれ以上はやめておこうか。まぁ例に漏れずこの世界にもスライムはいて、青くて丸いらしい。らしい、のだが、


 何故か目の前でスライムがぐったりしている。

ぐったりしているとしか言えないくらいにぐったりしている。潰れてしまっていて最早平面に近い存在だ。

 なんかかわいそうになってきたな。なんとかしてやりたいが、どうしたもんか。ルッソなら分かるだろうか。

「お呼びでしょうか?」

⁇⁇⁇ナンデイルノ⁇⁇⁇

「ご主人様が私を必要としている雰囲気を察知し馳せ参じました。ご安心下さい。お義母様の手伝いは既に全て終わらせております。」

怖ぇよ。まぁ来てくれたんなら助けてもらうが。俺はルッソにぐったりしているスライムを見せた。心なしかさっきより更にしんどそうに見える。

「なるほど。これはスライムですね。しかもほぼ死にかけ。この状況でご主人様が私の力を必要としていると言うことはつまり


お任せ下さいご主人様!このルッソが今ここであなた様の剣としてこのスライムにトドメを刺して見せます!」

「違う!」

全く!頼りになると思った途端にこれだ!

「このスライム、しんどそうだろ?助けてあげたいんだが、どうすればいい?」

「成程。このような死にかけのスライム一匹にも慈悲を与えなさるとは流石ご主人様です。ご主人様、彼らは魔力を食べて生活しています。見たところ魔力がかなり減っている様子です。魔力を与えたら元気になりますよ。」

なんだそんな簡単なことで良かったのか。俺は急いでスライムに近寄り魔力を与える。弱々しく元気がないからかちょっとづつしか魔力を吸ってくれない。

「パパァ」

ん?

「ルッソ?今なんか喋ったか?」

「いいえ。今はご主人様がスライムに魔力を与えている姿を目に焼き付けるのに忙しくて。」

「パパァ。スーだよぉ。」

まただ。誰だ?いやスーだって名乗ったけどそうじゃなくて。ん?

「スー?」

「気づいてくれた?パパァ!」

声が聞こえた途端、元気になったスライムが手のひらに頭?を擦り付けてくる。

「おや、このスライムご主人様に懐いたようですね」

いや懐くどころかパパと呼ばれてるんですが。

「パパァ、パパァ!えへへ」

「スーだっけ?俺は君のパパじゃないよ?」

「うん!スーはスーだよ!パパはね!スーのパパだから、パパだよ!」

「どう言うことかな?」

「なんかね、パパにね、魔力を貰ったらね、気持ち良くって、頭がグワングワンして、気がついたら頭の中に沢山の言葉が浮かんで、色々考える事が出来るようになって、パパがパパだよって教えてくれたの。だからパパはスーのパパなんだよ!」

うーんちっとも分からん。内容は分からんが、とりあえず俺の魔力が原因で俺をパパだと認識しているという事だろう。

「パパァ!えへへ」

うーん。パパではないが、俺をパパだと慕ってくれている子を突き放す訳にもいくまい。たとえ相手がスライムであったとしても。

「ご主人様。さっきからそのスライムを見つめてどうしたのですか?」

ん?ルッソにはスーの声が聞こえていないのか?

何故?

「その女はスーを殺そうとしたの。そんな危ない奴と話すことはないの。スーはパパとだけおしゃべりするの!」

えぇ。

その後ルッソに1から説明するとルッソがキレた。

「ご主人様をパパと呼ぶとはいい度胸ですねこのスライム!」

「パパはスーのパパなの!パパをパパと呼んで何がおかしいの!」

 勘弁してくれよ。

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