魔剣
朝、起きると、庭に剣が刺さっていた。
それもなんかでかいのだし。
「ん?起きたのか?おはよう」
なんか喋るし。
なんなんだこいつ?どっから現れた?つーか誰のだ?謎は多いが取り敢えず俺が取る行動は一つだ。
朝飯食おーっと!
「え?俺無視?」
さて朝飯も食ったし、いつも通り魔法の
「お!やっと戻ってきたな!お主!さっさと俺を抜け!俺を使いたいんだろう?」
あぁそうだコイツをなんとかしなきゃいけないんだった。
「で?お前は誰だ?なんでうちの庭にいる?」
「む?俺を知らんのか?ふーむ、よかろう。俺は魔剣ルッソ!魔剣の王である!」
魔剣の王、魔剣ルッソ、聞いたことがない。
「お前、馬鹿にしてんのか?」
「何ぃ!さてはお主信じておらんな!俺を呼んだくせに!ほら!よく見ろ!この俺に宿る魔力を!これで俺が魔剣だって分かったろ!」
いや、喋る時点で魔剣なのは分かってるんだが。
「しっかしまさか忘れ去られるとはなぁ。昔は俺の力を借りたくて国中が俺に頭を下げに来たってのに。」
「それで?そんな奴がなんでここにいる?」
「さっきも言ったじゃねぇか。お主が俺を呼んだんだろ?」
は?呼んでませんが?そんな国中が頭を下げる奴なんて呼びたくありませんが?
「俺の力がいるんだろ?仕方ねぇから力を貸してやるよ!」
「いらないです」
「どれ!俺の力をお主に見せてや、、、今なんて?」
「いらないって」
「なぜだ?お主、俺の力が欲しいから俺を呼ぶだんだろ?」
「呼んでないです」
「そうか、、、」
なんか、しょんぼりさせちゃったな。まぁ呼んでないし、放っておけば、そのうち気の所為だと気付いて帰ってくれるだろ。
魔剣で思い出したんだが、学園の特別クラス入学試験には剣術試験もあるんだったな。しかも試験に使用する剣は自分で用意しなきゃいけないらしい。学園曰く、「魔法と剣術を扱う特別クラスに入るのだから剣くらい自分で用意しろ」だと。はぁ、試験くらいレンタルさせろよな普通。
というわけで、買ってきました!こちら、剣でございます!ご覧下さい!うん、どっからどう見ても普通の鉄の剣だな。結構高かったなぁ。はぁ。
「ん?お主、それは、なんだ?」
あぁ、コイツまだ帰ってなかったのか。
「コレは俺が買った、」
次の瞬間、魔剣から放たれた魔力により俺の買った剣は粉々に砕け散った。
え?
「何故だ!お主、俺は要らないって言ったでは無いか!なのに何故!そんな弱っちい剣を使おうとしているのだ!おかしいでは無いか!だったら俺を使ってくれてもいいではないか!一振りで山を割り、二振りで海を裂き、三振りで空を切る事だって俺には出来るんだぞ!どうだ!ソイツにはできないだろう!俺の方が強いんだぞ!俺の方が強いんだぞ!俺の方がお主の役に立てるんだぞ!」
そう言うや魔剣は魔力をそこら中に飛ばし出した。己を最強と呼ぶだけあって、放たれた魔力により庭のそこら中に穴が出来る。
しかしコイツ、もしかして拗ねてんのか?
「グスッ、俺を、使って、くれよ。役に、立つから」
えぇ?コイツ泣いてる?いやでもなぁ
「(こんな強い武器は)いらないしなぁ」
「そんなぁ、、、待って、下さい。お願いします。
私を、ご主人様の剣として、使って下さい。必ずご主人様の力になりますから。」
急に一人称が変わったんだけど。はぁ、なんかこんだけ頼まれたら断りづらいな、買った剣はこいつに折られちまったし、仕方ないか。あと魔剣とは言え流石に泣かせ続けるのは忍びないし。
「分かったよ。使ってやるからもう泣くな!」
「本当ですか!では早速私を抜いてください!」
急に元気になったコイツ!まぁいいことだけど。ってか抜けっつったってこんなでかい剣無理じゃね?
俺の不安を馬鹿にするかのように魔剣は「ルッソとお呼び下さい」、、、ルッソは軽々と抜けた。
取り敢えず置く場所もないので再び庭にルッソを突き刺した俺はルッソを見つめる。
「はぁ。まぁいい。ルッソ!これからよろしくな!」
そう言った途端にルッソが光り輝き出した。
「はい。これからご主人様の力になれるよう頑張ります。」
そう言って光が収まった途端現れたのは、
黒髪で長髪、スタイルの良いお姉さんだった。
しかも、メイド姿で。
そこら中に穴が開いている庭に女の人が一人、しかもメイド姿で立っている。
俺は頭を抱えた。
親になんて説明すればいいんだ。