醍醐味
突然だが、皆んなは学生時代の醍醐味と聞かれたら何と答える?勉強を頑張り、学年で上位の成績を残す?部活動に立ち込み、大会に入賞する?委員会活動や、文化祭、体育祭に取り組み、一生の思い出にする?放課後に仲のいい友達と駄弁って遊ぶ?好きな人に告白し、恋人を作る?
きっと、どれも正解なんだ。なぜなら、彼らはきっと学生でした体験できないものだから。この、学生時代でしか味わうことができないことが学生時代の醍醐味なんだと俺は思う。だから、今、
俺がトイレを我慢しながら授業を聞いているのも学生時代の醍醐味なんだ。
やばい。本当にトイレ行きたい。いや違うんだよ。みんなもあるでしょ?授業の半分が過ぎたあたりから急にトイレ行きたいなぁって時。あっ、大丈夫!大きい方ではないから!
「では本日はここまでとします。」
やっと終わった!ちなトイレ我慢してるから何の話をしてるのか途中から聞いてないです。
さて、ここからが勝負なんだ。授業は終わったが、すぐにトイレへとダッシュしては行けない。そんな事をすれば、(あぁ、アイツトイレ我慢してたんだ)と周りに思われてしまう。いや、実際そうなのだが、いい年してトイレを我慢しながら授業を受けたなんて周りに思われたくないだろう?
俺は授業が終わり、周りが休み時間に切り替えた事を見計らってから、ゆっくりと立つ。そう、まずはゆっくりと立つ。そしてゆっくりと教室を出てトイレへと向かう。ゆっくりと行う事で周りは誰も気も止めない。
よし、次は教室を出る!
「動くな!メイド!この間の借りを返しにきたぜ!」
ん?
「兄上!何故またここに!」
「ウルセェ!いいか一年共、今日はもう一度だけお前達にチャンスをやる。俺たちとお友達にならないか?俺の友達は学園を平和に過ごせるぜ?おい来な!」
そう言うと、俺たちの教室に二人の子が入ってきた。ん?一人は入学試験の時にいた天才君じゃないか。
「コイツらは今年のBクラス、Cクラスの主席達だ!コイツらは話のわかるやつでなぁ、俺の友達になってくれたよ。さぁ二人とも、俺たちの為にコイツらに説得してくれや。」
「はい。」
そう言って二人が皆んなに近づく。教室の外にはまだ沢山の上級生達が見える。ルッソやバル、ファシウスやヤント君が前に立ち、みんなを庇う。
「やめないか君たち!」
「すみませんねぇ、殿下。ですが、これも学園のルールですので。勿論、殿下にもとっておきの席をご用意しておりますよ?」
「やめろ!ファサウス君に近づくな!」
「へー、お前が勇者かぁ。どうだ?俺と友達にならないか?」
「誰がなるか!」
なんか、大変な事になってるけど!そんな事よりもトイレ行きたい!ゴタゴタしているうちに後ろの扉から教室を出るか。
俺は扉にたどり着き、扉を開く。
「おいおい、ここは通せんぼだゲフ!」
なんかいた気がするが、無視無視!大体、教室の扉の前で屯しているやつは吹っ飛ばしてもいいって古来から決まってるんだよ!
〜〜アルノートが教室を出て行った為、ここからはファシウスの視点になります〜〜
「チッ!一人逃げたか。まぁいい。勇者と殿下さえ味方に付ければいいんだしな。そして、これだけの人数で頼めば、お前の主人もお前を俺に渡してくれるだろう。なぁ、メイドさんよぉ!」
突然教室にやってきたヘザードが叫ぶ。その声に後ろにいる皆が震える。皆怖いのだろう。無理もない。一年生の俺たちにとって上級生は格上の存在。しかもヘザードは学園でも屈指の実力を持つ男だ。おまけに教室の外には沢山の上級生がいる。ヘザードだけじゃなく、彼らもかなりの実力者だ。Aクラスとはいえ、入学したての僕たちでは勝てるはずがない。
「皆さん下がっていてください。」
アルのメイドさんが言う。彼女なら、ヘザードに勝てるだらう。しかし、後ろの上級生達が一片に襲ってきたら分からない。
「兄上、」
ヤント君が小さく呟く。彼としてはこの状況に思うところがあるのだろう。だが、今はこの状況を何とかしなければ。
「ん?見ろよアイツ!戻ってきやがったぜ!」
「僕ぅ?お兄さん達とお友達になりたいのかい?」
「でもなぁ。君ははルーザを殴ったからなぁ。でも友達になりたいのなら、特別に友達料50000ユンで許してあげるよ?」
「邪魔」
「「「「ゴッハァァァァ!!!!」」」」
突然廊下が騒がしくなる。気になって見てみると、あれだけいた上級生達が皆んな倒れている。そして、その側にはアルが立っていた。
そのままアルはゆっくりと教室に入ってきた。
「この廊下はお前がやったのか?」
「見てわかんないのか?」
「へー、お前、教室を出て行ったからてっきり俺たちが怖くて逃げ出したのかと思ったぜ。何しに戻ってきたんだ?」
「何でって、ここが俺のクラスの教室だから?」
「成程。随分と涼しい顔しやがって、舐められたもんだな!」
(トイレに行ってスッキリしただけです。)
ヘザードがアルに殴りかかる。アルは素早くかわし距離を取る。
「ご主人様!」
「へー、コイツがお前の主人かよ。おい、痛い目痛くなかったら、コイツを俺によこしな。」
「兄上!アル!兄上の行くことなんか聞くな!」
「そうよ!早く逃げなさい平民!」
「逃がすかよ!」
そう言って再びヘザードが殴りかかる。が、アルの体が一瞬消えたと思ったら、ヘザードが廊下まで吹っ飛んでいった。
「グフ!テメェ、」
「おい」
「ひっ!ま、待ってくれ!俺と友達になろう!な?良いこといっぱいだぜ?」
「友達はなってくれって頼むもんじゃない。それより、さっさと自分達の教室に戻ったら?」
「ひ、ひぃー!」
ヘザードは一人で教室へ逃げて行った。
「その、殿下、申し訳ありませんでした。言う事を聞けと脅されて」
「分かっている。君達も自分達の教室に戻ると良い。」
BクラスCクラスの子達も自分の教室へ帰って行った。
「流石アル!俺たちを守りに来てくれたんだな!」
「何のことだ?」
ふっ、あれだけの事をしておいて、何の事、か。流石はアルだ。僕ももっと強くならないとな。
(次の授業に遅れない為に戻ってきたんだだけです。)




