学園side
「何度も言わせるな。この学園に従者を入れるのは禁止されている。」
「ですが!アイツは引き連れているではないですか!平民なのに!」
「学園長からの指示だ。だが君は違うだろう。現に彼と同じクラスであるファサウス殿下でさえ、従者を引き連れていないのだ。さぁ、もう下がりなさい。」
「チッ、、、失礼します。」
ガチャっと音を立てて職員室のドアが閉まる。扉の向こうでは先ほどの彼が納得いっていないらしい。部屋が静かなため、文句を言うのが中に聞こえてくる。
やがて、彼の声が聞こえなくなった頃、一人の教師が呟いた。
「全く、彼でもう三十人目ですよ。学園に従者を連れる事が許されたと言いに来たのは。私自身も聞きたいくらいですよ。なぜ彼が従者を引き連れることを許されているのかなんて。はぁ、従者を連れる事ができたら、この先輩から任された資料もしなくて済むのに。」
彼の机にはまだ山のように書類が積まれていた。空は赤いが、学園は少し黒いようだ。
「失礼します。学園長、彼が従者を引き連れていることに対し、様々な貴族から抗議の手紙が届いております。」
「やれやれまたかい。しつこい奴らだねぇ。」
そう言って学園長と呼ばれた女は筆を取る。
「学園長自ら返事を書くのですか!書類は私たちが書きますが、」
「そっちの貴族にはそうしてもらうさね。でもこの、王家直々の抗議文には私が書かなにゃでしょう。」
「!王家からですか!」
「あぁ!ついさっきね。全く。自分の息子ですら、従者をつれず、権力を行使しない学園のルールを守っているのになぜ彼は許しているのだとお怒りじゃ」
「分かりません。何故、学園長はそこまで彼を優遇するのですか。」
「そうさねぇ」
そう言うと学園長の筆が止まる。どうやら返事は書き終えたらしい。
「どれ、久しぶりに王家へ手紙を書くからのう。ちと読み上げるから、変なところがないか、確認してはくれんか?」
「はぁ、学園長ともあろうお方が、何故私なんかに確認など、」
「本題のみじゃがな、行くぞ。今回の件におかれまして、彼がこの学園にて彼が学園にて従者を引き連れることを黙認してある理由は、それを罰する規則がないからにございます。この学園において絶対の規則は一つ、貴族、王族ともに権力は通用せず、従者なしに己の力だけで一生徒として生活せよ。故に、貴族でも王族でも無い彼はこの規則では罰することができない。故に彼は従者を引き連れております。以上じゃ。変なところはなかったかの?」
「変なところはありませんでしたが、それだと納得なさらないのでは?」
「まぁそうじゃろうな。」
そういうと学園長は突然立ち上がり、窓に近寄る。
次の瞬間、学園長は突然魔力を放出する。その威力は絶大で、窓の外にいた鳥が一斉に飛び立つ。
「学園長先生!突然なにを!」
さっきまで学園長と会話していた教師は突然学園長に威圧され、立ちすくむ。膝は笑い、立っていることすらできず、呼吸もうまく行えない。
「入学式の際、コレと全く同じ威力であの坊主に威圧したんじゃがのう。奴は平然と居眠りをしてあったぞ?とばっちりを食らった他の新入生たちは目を覚ましておったがの。」
ありえない。そう教師は考える。この学園にもう何年も勤めている自分ですら、立っていることすらできず、膝をつき、呼吸もままならない状態なのに、新入生の彼は平然としているなど、ましてやこの状況で寝ることなど出来るはずが無い。
「この学園の裏ルール。それは強さこそ全て。学園という優劣の決まる場所で、強いものを立てることは当然。ならば、この学園において強き彼を弱きものが縛るなどあったはならぬ。故に、私はあの坊主が何をしようと構わんよ。それが許されるだけの力がある。それだけじゃからな。」
そう言って学園長は再び座る。書いた手紙をしっかりと王家に届けるために。
「失礼します!学園長、魔力の反応がありましたが、一体、ここで何が、」
「何もあらんよ。ただの戯れじゃ。すまんが、その子を保健室へ連れて行っておくれ。後、そこに散らばっている手紙の返事も頼む。」
「は!かしこまりました!」
一人になった学園長室で一人つぶやく。
「ふふ、まさか、この歳になって、あんな奴と出会うとはな。もう少し若ければ、実力が知りたかったが、歳なのか、教育者という立場ゆえか、坊主がこれからこの学園でどれほど強くなるのか、楽しみじゃのう。」




