魔術試験
「そこまで!全員筆を置け!これで学科試験を終了する!」
ふー、やっと終わったかぁ。長かったなぁ。長過ぎたなぁ。やる事も無さすぎて暇だったし。残り10分なんてもう試験監督と見つめ合ってたしなぁ。いやぁ、試験監督が綺麗なお姉さんで助かったよ。これがもし男だったら、3秒も見てらんねぇや。
こうして俺は無事に学科試験を終え、試験会場である教室を出た。
「お疲れ様ですご主人様。」
「パパ終わったー?もうパパと一緒にいていいー?」
「落ち着けスー。試験はまだある。その時はまた、俺から離れててな。」
「そんなー。ところでパパ、
なんで皆あんなに嬉しそうな顔してるの?」
そうなのだ。他の受験生は皆、教室を出た途端に笑顔になり、次の試験会場に向かっているのだ。試験中、まるでこの世の終わりのような顔をしていたり、試験中ずっと唸っていたり、逆に壊れたように笑いながら試験を解いていた受験者も含めた全員が、だ。かえって気味が悪い。だが、これだけ受験者の全員が次の試験に対し嬉しそうってことは、
「よほど楽しいんだろ、次の試験。」
うん!これに違いないな!(^^)
(学科試験の結果が何点であろうが、次の魔術試験、剣術試験のどちらかで優秀な結果を出せば合格できるからです。)
さて、そんなこんなで俺たち受験生が試験官に連れてこられた場所は、何か随分広い教室。前世で例えるなら、体育館?
「それではこれより、魔術師権を開始する!全員受験番号順に並べ!」
へー、次は魔術試験かぁ。今回は自信があるぜ。なんせ、小さい頃から修行してきたからなぁ。
「まずは各々の使える魔術を見せてもらう。ファイアボール!」
試験官がそう言うと、試験官の手にソフトボールくらいの大きさの火の球が現れた。
「このように番号が呼ばれた者は順に自分の使える初級魔法のボールを使ってもらう。それでは番号を呼ばれたものは前に出ろ!まず番号1番!」
そう言うと、一人の男の子が前に出た。
「アクアボール!!」
そう言うと、その子の手には野球ボールくらいの大きさの水の球が現れた。
「ほう。お前はなかなか見所あるな。では次の奴!」
へー、あの試験官、見かけによらず、リップサービスとか使うんだな。
「ロックボール!!」
続く受験生がそう唱えると、手にスーパーボールくらいの土の球が現れた。いやちっさ!見えねーって。
「ふむ。毎年こんなもんだ。気にするな!次!」
いやもう少し気を遣ってやれよ。まぁ、あの子が剣術に特化してる可能性もあるか。
そうしてそのまま順調に進み、遂に俺の前の番まできた。
「おい、見ろよあのアイツ!」
「あぁ。間違いない!ヘンリー・タロスズだ!」
ん?なんだ?俺の前のやつ、有名人なのか?
「嘘だろ!あのタロスズ家一の魔術の天才と言われたヘンリー様じゃないか!」
「おいやべぇって。これじゃぁヘンリー様はこの特別クラスに入ったもの同然だぞ。」
へーコイツ有名な実力者なのか。どんなもんか気になるなぁ。
「そこ!五月蝿いぞ!騒ぐな!次の奴!早く来い!」
「はい」
呼ばれるとそいつはゆっくりと前に出て行った。まるで自分を見ろと言わんばかりだ。
「ファイアボール。」
そう言うと、そいつの手にはバレーボール程の火の球が現れた!
「おい見ろよ!あの試験官の人よりも大きいぞ!
こんなの受かったも同然じゃないか!」
「そこ!さっきからうるさいぞ!それとお前、さっきのは私の全力じゃないからな!」
「えぇ、分かっております。ですが、私も全力ではありません。」
「おい聞いたか!これで全力じゃないらしいぞ!」
「まじかよ!流石タロスズ一の天才だぜ!」
いや、試験では全力を出せよ。
「よし次!早く来い!ぼさっとするな!」
「おいおいあのヘンリー様の次に受ける奴、可哀想だよな。あの天才ヘンリー様の後なんて、絶対ヘンリー様と比べられるよ。」
アイツよく喋るなぁ。
「パパ頑張れー」
「馬鹿ですねスー。ご主人様ですよ?頑張らなくてもこんな試験余裕で合格出来ます。」
「それもそうだねー」
「おい聞いたか!アイツもすげぇ奴らしいぞ!」
おいうるさい奴!黙ってろ!こっちを見るな!お前のせいでみんなが見てるじゃないか!
「ふーん?君、僕より凄いつもりかい?」
はぁ。なんか天才君も興味津々だし。
「おい!早くしろ!」
試験官も怒り出した。おいおいさっきまであんなに情熱的に見つめ合った仲じゃないか!
はぁ、仕方ないかぁ。
「ライトボール」
俺が唱えれば、そこにはバランスボール並みの光の球が目の前に現れた。




