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 レビューをいただきました! ありがとうございます!


 

 通路を進み、自分の名札が貼られた扉を見つける。


 他に貼られた名札を数えると、六人部屋のようだ。


 もう誰か来ているのかな? と扉を開ける。


「失礼します」


 ひと声掛けてから中に入る。


 室内には五人の男子がいた。どうやら私が最後みたいだ。


 全員の視線が私に集中し、思い思いに話し出す。


 右から順に、「……おい、誰か来たぞ」、「知ってるか?」、「いや……」、「ていうか、小さくないか?」、「だよな、あんな歳で参加しているのって紫前の家くらいだろ」と初対面の私に対する印象を話していく。


 皆、私の年齢が低そうなことに驚いている様子だ。


 実際、部屋にいる人たちは高校生っぽいんだよね。


 そうなると、小学生の私は相当幼く見えるだろう。


「そうなんですか? こういう儀式って大体いくつくらいで受けるのが普通なんですか?」


 拒絶されている雰囲気を感じなかったので、思い切って尋ねてみた。


 すると、小さいのに物怖じしないな、グイグイ来るな、といった感じに、私の行動への感想を言ってきた。


 その後、「大体、早くて中学三年。普通は高校三年だね」、「んで進学しないヤツは高卒から霊術師ってパターンだな」という感じで返答が返ってくる。


 やっぱり、私の予想通り高校生くらいがメインの参加者みたいだ。


 と、そこで私の見た目が気になった一人が質問してきた。


「てか、お前何歳なんだ? 単に背が低いだけなのか?」


「背が低いのは、小学六年生だからです」


 嘘をついてもしょうがないので、質問に正直に答えた。


 というか、私もレイちゃんも小学生なんだけど……。場違い感が半端ないよ。


「はあ? じゃあ、紫前の家の一個上か。ってことは、凄い属性数だったりするのか?」


 私の解答に皆驚く。その中でも一際驚いていた人が、属性数を尋ねてきた。


「いえ、一属性ですけど」


 これも、嘘をついても後でバレるので正直に解答。


 紫前の関係者だと、これキッカケで舐められるのがいつものパターンだけど、仕方ない。


 しかし、控え室の面々は私の予想とは反対に、大盛り上がりになった。


「しゃああッッ!」、「え、マジで?」、「うおおお、ラッキー!」、「俺たちツイてるな! こんなこと絶対あり得ないぞ!」、「神様、ありがとうございます」といった具合に、様々な形で喜びを表現し始めてしまう。


「皆さんは私が一属性だと知っても、貶してこないですね。それに凄く喜んでいるみたいですし」


 中には天に向かってお祈りしている人までいる。


 今まで接してきた霊術師の人とは随分違う印象だ。


 私の疑問を聞いた皆は、どこか悟ったような顔になり、フフッと自嘲気味に笑った。


「ここに居る奴は全員二属性な上に、成績が最下位のグループなんだよ。つまり、いつもなら俺たちが笑われるポジションってわけ」


「だけど、今回はお前が居る。つまり、俺たちに注目が集まらない」


「そういうこと。適度に笑われるだろうが、印象に残らない。目を付けられないでやり過ごせるってことだ」


「ここで弱者認定されると、名前が一気に広がるからな……」


「というわけで、ご愁傷様だ」


 という最後の言葉と同時に、皆が私に向けて合掌してきた。息ピッタリである。


 なるほど、全員二属性なのか。ランク順で部屋が決まるなら、そうなるよね。


 全員、哀れむような視線を私に向けてくる。それと同時に非常に嬉しそうだ。


「まあ、私は無理矢理招待されただけですし、別にいいですけど」


 正直、ここでどう思われようがどうでもいいし、問題ない。


 なるべく辛勝するつもりだから、低評価を得るのは計画通りだしね。


「マジで!? だけど……、一属性に呼び出しかけるって、どんだけ陰険なんだよ」


「しかも小学生だぞ。絶対霊力低いじゃん」


「てか、大丈夫なのか? 形だけとはいえ、妖怪を相手にするんだぞ。お前、逃げた方がいいんじゃないか?」


「浮かれてたけど、普通に考えてやばいだろ」


「なんで運営はGOサインを出したんだ? まずいんじゃないか、これ」


 私の反応を見て、急に冷静さを取り戻す面々。


 そして、私の身を案じた後、運営の方針に疑問を感じ始めていた。


「心配してくれるんですか?」


 これまた意外な反応だ。一属性のお前など地に這いつくばって無様な姿を曝せばいいわ!、とか紫前なら言いそうなのにね。


「いや……、でも、お前がいなくなると、俺たちに注目が……」と、初めこそ自分たちのことを考えていたが、「そんなこと言ってる場合でもないだろ、怪我したら洒落にならんぞ」、という発言をきっかけに、私の保護方法について話し始める。


「だよなあ。ちっこいし、袋に詰め込んで非常口から出すか?」とか、「もしくは、頑丈な全身防具を無理矢理着せて出場、とかか?」といった感じに、結構無茶苦茶な提案が飛び交う。


 その方法を実行するのは私なんですけど……。


 それにしても、全員が私のことについて真剣に考えてくれている。


 うーん、いい人たちだな。


 などと考えていたら、話の最中に別の疑問がわいた人が私に質問してきた。


「待て。そもそも招待って言ってたけど、誰に招待されたんだ?」


 皆が疑問の答えを得ようと、私の方に視線が集中した。


「紫前増美ですね」


 招待してきたのは紫前だ、と答えた。


 すると全員の顔色が変わった。


「うへぇ……、あそこかぁ……」と誰かが溜息を吐けば、「あそこには関わりたくねえ」、と誰かが舌を出し、「終わってる……」と誰かが絶望の表情なる。


 そこで終わらず、「俺、何度か絡まれたことあるぜ」、と誰かが言えば、「俺なんて、何の関係もないのにパシらされたことあるから……」と誰かがネガティブなマウントを取り返す。


 どうでもいいところで紫前の評判が悪いことを間接的に知れてしまう。


 低評価レビューのオンパレードである。


 どうやら、ガチで嫌われているようだ。


「あ、気にしなくて大丈夫ですよ。両親も了承して見に来ているので。問題ないです」


 かばってくれるのは嬉しいけど、迷惑がかかりそうなので、しっかり説明しておく。


 すると、私の言葉を聞いた皆が目を見開いて驚く。


 両親が承諾しているという部分に反応し、次々に口を開く。


「ええ!? お前の両親ってどんだけ鬼畜なの?」


「ワンチャン、アトラクションか何かと勘違いしている可能性も……」


「それはそれで、バカ親が過ぎるだろ」


「紫前に、お宅の娘は才能があるとか乗せられたんじゃねえか?」


「それで、見世物にして笑いものにするとか、最悪だろ……」


 紫前のせいで、私の両親の評価が相対的に下がってしまう。


 弁明したい所だが、そうすると詳しく説明しないといけなくなるので無理だ。


 ごめんよ、父さん、母さん。


 などと思っていると、急に扉が勢いよく開いた。


 そして、名簿を持った係の人が中に入ってくる。


「佐野、清水、須藤、瀬戸、園田、順番が近い。待機所に移動しなさい」


 どうやら雑談している間に待ち時間が終了したようだ。


 右から順に、「うお、もうそんな時間かよ」、「やっべ、話し込んでてモニター全然見てなかった」

「しゃあねえ、行くか……」、「はぁ、心の準備が……」、「弁当食いそびれた……」と愚痴りつつ、準備の最終確認を行う。


 次いで、準備が整った者から順に、出入口の扉へ向かっていった。


 そして、皆が部屋を出る瞬間、同時に振り返って私の方を見て口を開く。


「「「「「やばいと思ったら逃げろよ」」」」」


 と、シンクロして同じ台詞を言う面々。


 おいおい、お前も言うのかよ、と肘で突きあっている。


「はい、ありがとうござます。皆さんも頑張ってください」


 私がお礼を言うと、皆、会場へ向かっていった。


 騒がしいけど、いい人たちだったな。


 五人減って私一人になり、一気に静かになってしまった。


 出番はしばらく先だし、どうやって時間を潰そう。


 などと考えながら、辺りを見回していると、部屋に設置されたモニターに気付いた。


 そういえば、さっきの人たちもそんなことを言っていたっけ。


「へぇ、試合が見れるんだ」


 モニターには、今行われている試合風景がリアルタイムで映し出されていた。


 これを見ていれば、待ち時間を潰せそうだ。


 私は、お弁当を食べながら試合観戦を楽しんだ。


 しばらく観戦していると、控え室にいた面々の出番が回ってきた。


 これは、頑張ってほしい。どんな戦い方をするんだろう。


「へえ、凄いじゃん」


 五人は、それぞれ立ち回りがうまかった。


 妖怪の攻撃をかわして接近するのがうまい。


 動きのひとつひとつから、かなりの訓練を積んだことが窺える。


 なるべく霊気での攻撃を行わず、体術のみで相手の懐に飛び込んでいく。


 多分、少ない霊気を確実に当てるためだろう。無駄が少なく、洗練された動きだ。


 だが、観客席の評価は驚くほど低い。


 凄い技術だと思うんだけどなぁ。


 私が見逃した前の試合の方が、もっと凄かったということなのだろうか。


 そんなことを思いながら観戦していると、控え室の扉が開いた。


「九白真緒、順番です。移動しなさい」


「はい」


 どうやら私の出番が近づいたようだ。


 係の人に先導され、闘技場の側にある待機所まで移動する。


「ここで待つように」


 と、言われてしばらく待っていると出番が来た。


 舞台に上がり、審判から観客席に向けて紹介される。


「九白真緒。一属性。属性は土。流派はなし。前へ」


 途端、ギャラリーがざわめく。


 私に対するギャラリーのリアクションは、控室にいた面々と同じものだった。


 何でこんな子がこの場に? といった感じである。


 まあ、私もその理由が知りたい。


 私が指揮棒型の霊装を作り出していると、闘技場の奥にある鉄格子がオープン。


 開いた鉄格子の奥は暗くて見えないが、低い唸り声が聞こえてくる。


 そして、暗闇の中から妖怪がゆっくりとした歩調で出てきた。


 ふむ、弱そうだ。大きさは野良犬程度。牙や爪も短い。


 形骸化しているというのは本当みたい。


 これならよく分からない山中で倒した妖怪の方が間違いなく強いだろう。


 さて、問題はどう手加減するか。


 一応負けるつもりは無い。というか、この儀式に負けは存在しない。


 成人の儀が元になっているので、倒しきるのが当たり前で一人前。


 倒せない奴は死んでよし、というルールがうっすら残っているのだ。


 ほんとに死んじゃうと問題になるから、妖怪を弱くして調整してるって感じ。


 つまり、負けて終わらせることはできず、勝たねばならない。


 かといってあんまり鋭い身のこなしを披露するのも、注目される要因となってしまいかねない。


 だから、なるべく動かない。動いても、どん臭い感じでいこう。


「……なら、無駄撃ち作戦でいくか」


 私の呟きを合図に、妖怪がこちらへ飛び出してきた。


 妖怪は、蛇行するような独特のステップで接近。


 普通なら的を絞りにくい状況だ。


 うん、これは好都合。


 私は焦った振りをして、霊気をやたらめったら放出してみせた。


 放った霊気は的外れな場所ばかりに飛んでいき、妖怪には一切当たらない。


 その間に、妖怪が急接近。わたしの目の前で覆いかぶさるように飛んだ。


 これは好機と判断し、驚いた振りをして尻餅を付く。


 次いで、恐怖で目を閉じた演技をしながら、狙い済ました霊気を発射。


 一筋の光となった霊気が妖怪の眉間を貫通。


 妖怪は一瞬で煙となって消失した。


 私は逃げるように跳ね起き、素早く手続きを済ませて退場。


 会場は私が襲われると勘違いしてざわついていたため、隙を突いて丁度いい感じに抜けられた。


 うーん、ばっちり! 作戦成功である。


 あとはレイちゃんが上手くやってくれれば、計画成功だね。





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