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 ――そんなこんなで四年生になった。


 時の流れる速度は超早い。


 ついこの間、入学式をすっぽかして無人島に行ったと思ったら、四年も経ってしまった。


 私は、両親が今の学校を選んだ理由は、お金持ちが通っている学校だからだと思っていた。


 が、違ったのだ。いや、合ってはいるか……。


 確かに、この学校はお金持ちの子供たちが通っている。


 お金持ちと、ひとくくりにしてはいるが、その中身は様々。


 中には家業を継がせる為に、幼い頃から色々と教え込んでいく家もある。


 そういった家庭は学業や行事より、家業優先。


 つまりは学校を休みがちになるということだ。


 そういう休学申請の判定が緩いのが、現在私が通っている学校だったわけである。


 テストを受けて一定以上の成績があることが確認できたら来なくてもいいよ、くらいのスタンスだ。


 というわけで、私は家で家庭教師と自主勉強で最短コースを詰め込まれ、学校でテスト。


 合格ラインに到達すると、母に連れられ東へ西へ、北へ南へ。


 わざと低得点を出してみたりもしたが、なぜか母にはそういった工作が通用しない。


 バレると怖いので、以後控えた。


 それ以降は、逃げられないことが確定したので、未知の体験を楽しむ方向へ意識を転換した。


 母に連れられてやることは、どれも初めての体験ばかり。


 中には危険が伴うものもあったが、側に母がいれば大丈夫という安心感がある。


 何より楽しい。学校では絶対に経験できない事ばかりなのだ。


 一年生の初期こそ、一体なぜこんなことをしているのかと疑問に思っていたが、歳を重ねるにつれ、その理由もぼんやりと分かってきた。


 どうやら、母は私に自分の稼業を仕込んでいるようだった。


 しかし、やっている内容から何の仕事か今一つ分からない。


 そもそも、私と一緒にいる時間がかなり長いのだが、仕事はどうしているのだろう。


 無人島で置き去りにされたように、一人になる事もままあるけど……。


 直近では、私有地でドリフト縦列駐車の練習をやった。


 こんなの、特別仕様の車じゃないとできないのに、何の意味があるんだろう。


 母はスタントマンなのか?


 と、思えば語学の授業が挟まったりもする。


 ピッキングで扉を開ける練習なんてのもやったし、何なの?


 霊力の使用を禁じられて、マラソンしたり、遠泳したり。やる事が広範囲すぎて分かんないよ!


 そんな激動の生活を送る中、私の心の安定は霊核によって保たれていた。


 毎日毎日、真心込めて手塩に育てた私の霊核ちゃん。


 ドンドン大きくなっております!


 今は、良い連鎖が起きて、楽しくて仕方がないのだ。


 裏技に気付いた私は、それ以来、圧縮して固めた霊気をくっつけるという地味な作業を毎日繰り返してきた。


 最初期は本当に変化がなく、くじけそうになったものだ。


 だが、一定のラインを越えると、明らかな変化が生じ始めた。


 霊核が大きくなると、霊気を発する量が多くなる。つまり、圧縮までにかかる時間が減る。


 霊核が大きくなれば、霊装も大きくできる。つまり、霊気を移動させる量も増える。


 全てが好転し、霊核が大きくなればなるほど、全ての工程の時間が減っていく。


 時間が減るという事は、霊核が大きくなる速度が早くなっていく。


 が、霊核が大きくなりすぎたことと、子供の体が影響して、一度は壁にぶつかった。


 しかし、霊核自体を圧縮することに気づいてからは、全ての障害が消失した。


 ただただ突き進むのみ!


 もう、ニヤニヤが止まりませんよ、ハイ。


 最早、普通の霊術師程度の霊力には到達していると思う。というか通り過ぎたかも?


 だけど、霊術を扱う練習や訓練そっちのけで、霊核を大きくすることのみに集中している。


 だって、他の事に霊気を使うなんてもったいないじゃん。


 というわけで、どこまで大きく育つかだけにこだわっている。


 そういえば、前世でこんな感じでクッキーを増やすゲームがあったなあ。


 プレイしたことはないけど、加速度的にクッキーが増える様に笑った記憶がある。


 などと逃避気味な思考になる。


 最近、母の授業がかなりハードになってきているせいかもしれない。


 あんまり激しいものが増えると、霊気圧縮作業に支障が生じるから止めてほしいんだよね。


 まあ、圧縮のコツは掴んだので、できないことはないんだけど。


 もう少し優しいものに調整してくれないだろうか……。今度、頼んでみよう。


 とはいえ、しんどいから簡単にしてくれなんて言っても、素直に聞いてもらえるだろうか。


 ……う〜ん、なんて言えばいいかな。




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