96話 事情聴取、5人の望み
「それでは、昨日のことを教えて頂こうかな? 上級魔法学園、五学年の生徒諸君」
生徒四名は、魔法省本部の総会議室に招かれていた。
大臣から最も近い位置に、担任教師であるロイズ、その隣にユア、そしてリグト、フレイル、カリラの順に並んだ。カリラの隣、一席空けてゼアが座っていた。
招かれたのは他でもない。昨日の人間都市襲撃事件を調査、聞き込みするためだ。再発防止のためにも情報をかき集めているのだろう。
「そもそも、君たちは何故人間都市にいたのかな?」
「はい。ロイズ先生の魔力補充の見学をきっかけに夏頃から頻繁に行ってました。誘拐事件が起きていると聞き、私たち四人はパトロールや注意喚起をしていたんです」
「ふむ、なるほど」
丸眼鏡の魔法省大臣は優しく微笑んで頷いていたが、他の役員たちは頻繁に人間都市に訪れる魔法使いがいたことに驚いている様子だ。
「複数の人間から、攻撃前に街全体に盾が張られたと証言があったのですが……どうやって分かったのかな?」
少し訝しげにする魔法省の役員たち。事前リークでもあったのではないかと怪しんでいるようだった。ヘイトリーがユアに接触していたせいだろう。
「どうやってって言われても、たまたまケーキを食べていて、空を見たら何かイヤな感じがした、としか」
「君は……フライス君と言ったかな? 天才型かい?」
「はい、そうっす」
そこで、ロイズがフォローを入れる。
「フライスは、非常に優れた天才型ですよ~」
その一言で、魔法省の役員たちは『ハッ』となった。フレイルの天才型に驚いたのではない。ロイズが研究発表をした際の、実例Dの天才型が彼なのでは、と思ってしまったのだ。片思いをしていてふられてしまったという、あの実例D。お偉方は恋バナが好きだった。
魔法省の総会議室が、なんとも生温かい空気に包まれる。
「なんすか、このぬるい空気感……?」
「コホン。どうやら相当敏感なセンサーを持っているようだね。素晴らしい才能だ」
「はぁ、どうも」
「フライス君は、確か魔力枯渇症患者向けの魔法陣を発明したんじゃなかったかな?」
「あー、そうっすね。やりました」
「あの魔法陣には、随分多くの患者が助けられた。延命措置として、非常に有効でね。この場を借りて、感謝を申し上げる。いち早く敵襲に気付いたことも併せて、本当にありがとうございます」
「……どうも」
フレイルは少し照れくさそうに、軽く頭を下げた。
「それで、街全体に盾を張ったのは……?」
次に、リグトが注目された。顔の良さを最大限に活用し、めちゃくちゃキリッとした顔で「僕です。リグト・リグオールと申します」と答える。僕とか言ってるの、初めて聞いた。魔法省勤務希望の彼にとって、この舞台はもはや就活だった。
「あぁ! 君がリグト君か。ユラリス師団長がよく話をしているよ」
「!? そうですか」
めっちゃくちゃ嬉しそうなリグトであった。
「盾は、君が一人で?」
「はい」
「極厚の盾を、しかも三重と聞いたが……本当に一人で?」
「そうです。魔力量が多い方なので」
「それは……驚くべき魔力量だ。昨日もケロッと食事をしていたし、これは将来有望、かな?」
「……!? 是非!」
意味ありげに視線を交わす、リグトと役員。この役員は、なんと驚き、魔法省人事担当のトップだ。ほぼ内定おめでとう。
「盾を張り、更に敵の魔法使いと戦闘をしたという報告が上がっているが……?」
「はい。私と、フレイル・フライス、リグト・リグオールの三人で応戦しました。侵入禁止魔法が張り巡らされており、中にいる魔法使いはわずかでしたので、戦うしかないと判断しました。概ね、報告書の通りかと思われます」
父親から事前に報告書を見せてもらっていたユアが代表で話すと、大臣とゼアが視線を合わせる。ゼアは小さく頷いていた。
「なるほど。君がユラリス師団長の御息女のユア・ユラリスさんかな?」
「はい」
元人間であることも報告書には載っていた。でも、何も怖がる必要はない。ユアは真っ直ぐな瞳で大臣の質問に肯定を返す。大臣は深く頷いて、それ以上は何も言わなかった。
「主犯であるヘイトリーと、面識があったと聞いていますが、そうなのですか?」
「はい。彼女が魔力枯渇症の患者として、人間都市の治療医院に訪れたのがきっかけです。少し話すようになり、魔法紙の交換も致しました」
「魔法紙は保存してあるかな?」
「はい。全てここに。私がヘイトリーに送った内容も全て覚えているため、完全に復元してあります。検閲願います」
さすがのガリ勉だ。全部覚えているとか、ちょっと気持ち悪いレベルであった。フレイルは若干引いていた。
ユアはあまり厚くはない紙束を取り出し、近くにいた魔法省職員に渡す。
「私がヘイトリーに漏洩した情報は、二つです。一つは、ロイズ先生の異常値のペアが、まだ見つかっていないということ。これは嘘ですが。もう一つは、心臓波形の取得率が、昨日の時点で八割であるということです。……ヘイトリーが、襲撃を決行するきっかけになっていた可能性も、……あります」
ユアがバカ正直に言うと、すかさずロイズがフォローをする。
「それはどうかな~。ユラリス……ユアさんが、その情報をヘイトリーに話したのは、襲撃の30分前です。発動こそしていないものの、もうすでに侵入禁止魔法は張り巡らされていたし、50を越える黒い魔法使いたちはスタンバイ済み。無関係だと思いますけど~」
「仰る通り、ヘイトリーも、ユアさんからの情報は無関係だったと供述している。きっかけは魔力枯渇症になったことだったと。……ただ、ヘイトリーは何をするために、ユアさんに会ったのか。わざわざ襲撃の直前に。心当たりは?」
ユアはヘイトリーとのやり取りを思い出す。そこで初めて気付いた。あのとき、ヘイトリーは『大雪が降るから、早く帰りなさい』と言ったのだ。
彼女がどういうつもりでそんなことを言ったのかは分からない。単純に邪魔になりそうだったからなのか。魔法使いはターゲットではないから逃がそうとしていたのか。
でも、ユアはその気付きをそっと胸にしまい込み、「わかりません」とだけ答えた。だって、分からないから。
その答えに対し、誰かが何かを追及することはなく、そのまま他の質問に流れた。
「それからロイズ・ロビンさんが侵入禁止魔法を崩して応戦した、という流れで間違いありませんか?」
「そうですよ~。侵入禁止魔法はとても厳重でした。今まで見てきた中で一番だったかな。今後の参考になると思いますよ~」
「あとで魔法陣の詳細をご報告願います。その後、追い詰められたヘイトリーが起爆魔法陣を描いて、魔力を込める前に第一魔法師団が突入。捕縛完了という流れですが……その後がちょっと問題になってまして……」
大変言いにくそうに問題を告げる魔法省側に対し、ロイズたち魔法学園側は姿勢を正す。その通り、大問題だからだ。
「起爆魔法陣を放置していた点。これは間違いなく魔法省側の不祥事です。が、しかし、何故それに魔力を込めたのかという点が問題になっています」
要するに、カリラが敵の仲間なのではないかと疑われているのだ。
「ごめんなさいぃ~!! あの、私、死刑ですかぁ~? びえーーん!」
もう大号泣。魔法省の総会議室にうら若き女子生徒の泣き声が響き、うっかりと何とも言えない背徳感が漂ってしまった。
「カリストン、大丈夫だから落ちついて」
ロイズが宥めるように言うと、そこで大臣がぴたりと動きを止める。丸眼鏡をぐいっと上げて「カリストン!?」と小さく呟きながら、手元にあった報告書を見始めた。
しかし、起爆の犯人がまさかの未成年というデリケートな面を考慮すると、故意かわからないうちに実名は載せられない。報告書には伏せられていた。
大臣は顔を上げ、委細を確かめるようにカリラに視線を向ける。
「君は、カリストンという名前なのかな?」
「は、はい~。生まれてこの方、カリラ・カリストンですぅ~!」
大臣と副大臣は目を合わせる。ヒゲもじゃの副大臣は、髭を撫でながら仕方無さそうに頷いていた。
「なるほど、あのカリストン家の御息女か。そういうことか、なるほどなるほど」
「はい~。カリストン家の御息女が私ですけどぉ~」
「もしやに跡取りかな?」
「は、はい、そうです~」
「それは……なるほど」
カリラが不思議そうにすると、大臣はニコリと笑った。
「魔法陣に魔力を込めた理由を説明願えるかな?」
「理由ぅ……? えっとぉ、目の前にぽつんと魔法陣があって~。それを見てたら、何となーく魔力を込めた方が良い気がしたんです~」
とんでもない軽さで、魔力が込められていた事実。快楽殺人者もビックリだ。だが、大臣は「なるほど、なるほど」と何やらニヤニヤしていた。
「ダムソン副大臣、どうかね?」
「宜しいかと」
副大臣がため息交じりに肯定すると、大臣はまたもや笑いながら、親指と人差し指で丸を作ってオッケーサイン◎を繰り出した。フランクなお爺さんである。
「カリラ・カリストンさん、安心してよい。お咎めなしだ」
その言葉に、全員が驚いた。
「大臣! お咎めなしとは……」
「大爆発の起爆魔法に魔力を込めたんですよ!?」
「ロビンさん達がいなれば、人類は滅んでいたかもしれません!」
「内通者の可能性は調査すべきでは!?」
それらを蹴散らすように、大臣は「はっはっは!」と笑った。
「あの爆発があったからこそ、得られるものがあるということだよ。濾過でもあり、鎹でもあったと」
大臣と副大臣だけはカリストン家のことをよく知っているのだろう。確信するように、そう言ってのけた。
「それとも、一人の学生に責任を取らせるようなやり方が、我が国の法律に載っていたかな? だとしたら大問題だ。とは言え、調査は必要だ。カリストンの娘さん? いくらか調査にご協力頂くことになるかと思います。大丈夫かね?」
大臣がウインクで尋ねると、カリラは「うわぁああん! 大丈夫ですぅ~! 生き残れるぅ!」と、手放しで喜んでいた。
ロイズたちは目を丸くする。あのケセラセラのロイズですら、カリラには何かしらのお咎めがあるかもと覚悟していたのだ。
それを言い渡されたら、『どうにかこうにかグイッとねじ伏せて、全力で有耶無耶にしてやろう』とか、こっそりと思っていた。魔王ロイズの降臨予定がドタキャンされて良かった。かしこみかしこみ。
「さて、残る問題は……」
大臣は丸眼鏡をグイッと上げて、ゼア・ユラリスを見る。
「ユラリス師団長、御息女のユアさんが人間であり、16年ほど前に魔法使い化したというのは本当のことかね?」
「事実です。娘が4歳のときに、魔法使いに変化しました」
「なるほど。……本来、御家族のことはプライベートの範疇に入る。勿論、報告義務はないだろう。魔法省を辞職する必要も、解雇になる心配もしなくて良い」
その言葉に、ユアの心は軽くなる。安堵の瞳で父親を見た。
「だが、しかし」
大臣は、続けた。
「事が大き過ぎる。娘さんを守ろうとした、その気持ちは分かる。一方で、君は魔法省の役職者だ。一介の職員とは違う。報告義務がなかったとしても、規律に違反していなかったとしても、これを看過することは出来ない。魔法省の魔法使いは常に、国のためにあることを求められるからだ」
大臣の厳しい言葉に、ゼアは頭を下げて「承知しております」と言った。
「ヘイトリーが仕掛けた起爆スイッチを放置していた件と併せ、処罰を命ずる。ゼア・ユラリス師団長、今日付で師団長の任を解くこととする」
「そんな……!」
「解任!? 待って下さい!!」
そう言いながら、ユアとリグトが立ち上がると、ゼアは「ユア、リグト、座りなさい」と制した。
二人は視線を合わせて、大人しく座り直す。膝に乗せていた手を固く握って、この現実を受け入れるしかなかった。
「承知いたしました。御迷惑をお掛けしたこと、お詫び申し上げます」
ゼアは、深々と頭を下げた。白い外套の胸に携えた赤紫色の紋章が、光を反射しながら揺れていた。
「うむ。引継や次の職務については、追って連絡することにしよう。さて、暗い話だけでは息が詰まる。次は、誉めることもしようではないか。そうだろう? 副大臣」
大臣がそう言うと、副大臣は少し眉間に皺を寄せて立ち上がった。
「上級魔法学園の四名、ロイズ・ロビン殿、そしてゼア・ユラリス元師団長。貴殿らの活躍により、襲撃事件および爆発事件の被害は、最小限に抑えられた。重篤な被害者はゼロ。建物等に多少の損害はあったものの、被害はゼロと言えるだろう」
被害者がゼロと聞いて、生徒たちはホッとしたように目を合わせてお互いを労う。
あの日、あの時、人間都市に居合わせた奇跡ともいえる必然に、感謝をした。命がけで人間都市を守った自分たちが、誇らしかった。
「コホン。そして、ゼア・ユラリス元師団長。人間を迅速に避難させ、被害を出さなかったこと。そして、爆発時には自身の命を省みず、防御壁で抑え込んだこと。それらは、魔法省の魔法使いとして最も大切な『国のために』を、大きく満たす行いであった」
副大臣の長ったらしい話の終わりが待ちきれない様子で、大臣は茶目っ気たっぷりに「ということは、昇格かな?」と、合いの手を入れた。
「そうなります。この働きであれば、何かしらの役職を与えるのが妥当かと」
「役職……うーん、困ったなぁ。空いているポストがあったかなぁ? ダムソン副大臣?」
副大臣はうんざりした様子を見せた。茶番である。
「先程、第一魔法師団の師団長のポストが空いたばかりですよ。大臣」
「おっと、それは都合が良い!」
俯いていたユアとリグトは、バッと顔を上げて目を合わせた。
「ゼア・ユラリス。今日付で、第一魔法師団長の任を命ずる」
さすがのゼアも「大臣……人が悪いですよ」と気が抜けたように苦笑いをして、「謹んでお受け致します」と頭を深く下げた。
この下げて上げる流れこそが、ゼアが赤紫色の件をだんまりしていたことへの、仕返しなわけだが。ずいぶんとお茶目なお爺ちゃん魔法使いがいたものだ。
「「~~~っ!!」」
ユアとリグトは、喜びを露わにガッツポーズ!! からの、思いっきりハイタッチ。ドライな幼なじみペアの、最初で最後のハイタッチだ。その快活な音が総会議室に響き、それを皮切りに皆が拍手をする。
誰も文句は言わなかった。ゼアが積み上げてきた信頼と実績が、その場の全員を納得させたのだ。さすがエリート。
「さて、魔法学園の皆様にも、魔法省より褒賞を渡したい。望みがあれば何なりと」
次いで、副大臣が淡々と告げると、ロイズが「ぇえ!?」と驚きの声を上げる。
「そんなシステムあったんですか~? 今まで、かなり貢献してきましたけど、お小遣いを貰うくらいで、褒賞なんて貰ったことないなぁ」
天才魔法使いの煽り体質が過ぎる。
「……ロビン殿の貢献は認めるが、褒賞を与えるには態度が悪すぎる」
ダムソン副大臣の明け透けな物言いに、ロイズは眉間に皺を寄せて「はぁ、やっぱ相性最悪だね~」と呟いた。勿論、副大臣には聞こえていた。聞こえるように言っているのだから、当たり前だ。
二人の視線がぶつかって、総会議室の温度が急降下。いい大人なのに……。
でも、そんな険悪な二人の間に入るのが、ロイズの異常値のペア。ユアは、綺麗な姿勢でスッと手を挙げた。
「恐縮ではありますが、望みを申し上げてよろしいでしょうか?」
「聞きましょう」
大臣がニコリと笑うと、総会議室の温度が幾らか上がる。その温度に乗っかって、スッと立ち上がって望みを告げた。
「人間都市と魔法都市の名前を変更し、居住区を分けず、誰もが住む場所を自由に選ぶことが出来るよう、インフラを含めた改革をお願い致します。それが、私の望みです」
まさに、鳩が豆鉄砲。思ってもみない望みに、ダムソン副大臣は眉間の皺を取り去って、目を見開いて口を開ける。
服や宝石が欲しいとか、就職先を斡旋して欲しいとか、そういう可愛い感じのやつを想定していたのだ。それがどういうことだろうか。めちゃくちゃ可愛くない望みが飛び出てきたわけだ。
可愛くないガリ勉が、本気を出した。
「兼ねてから考えておりましたが、そもそも理に適っていないですよね。人間の居住区を北側に割り当て、しかも居住面積は魔法都市の四分の一。元々、人間の方が何かと苦労が多いというのに、悪条件の土地を渡している。これは国全体の生産性を下げることになります。生活スタイルが異なるというのは尤もではありますが、それならば、好条件の南側を人間の居住区にあてがえば良かったはず。これは、魔法省の利己主義が招いたことだと思います。もう少し言及すれば、魔法省に勤務している人の99.9%は魔法使いです。人間の採用率を上げなければ、人間が魔法使い化することが確定事項のこの先の多様性には、到底付いていくことが出来ません。ヒエラルキーが崩れた現在でも、魔法省がそのトップだと言うのでしたら、利己主義を改め、真に国のためになるご決断をされることを望みます」
早口すぎて、何も聞き取れなかったじゃないか。どうしてくれるんだ!
呆気に取られる総会議室の魔法使いたち。でも、そんな中で空気の読めない天才魔法使いは大笑いの拍手喝采。
「あはは! 良い! やっぱりユラリスはいいね~!! めちゃくちゃ良い! 最高だね~!」
大絶賛であった。いいねボタン神連打だ。
しかし、ここはエリート揃いの魔法省本部だ。この早口言葉を聞き取って、反論してくる猛者もいるというものだ。
「……コホン。さすがユラリス師団長の御息女殿。且つ、ロイズ・ロビン殿の異常値のペアの方だ。仰ることはごもっともではありますが、貴女一人の褒賞として、望むものが大きすぎる。残念ですが、他の……」
それを遮るように、ロイズが自信満々に立ち上がって言い放った。
「二人分の褒賞なら?」
ひゅ~♪と口笛で茶化してから、フレイルが金髪を靡かせ立ち上がる。
「三人分でどう?」
それを見たカリラが、一瞬だけ「うーん」と悩むようにしてから、パッと顔を明るくして楽しそうに立ち上がった。
「ねぇ、四人分ならぁ~?」
立ち上がった四人が、リグトを見ると『金が欲しかった』という顔をしながら、渋々、本当に渋々、立ち上がる。
「……五人」
そこに並んだ、五人の魔法使い。
「五人分の望みが出たね~」
ロイズは、ニヤリと笑った。
「やり方はお任せします。頭が良い皆さんの方が、きっとより良い方法を選んでくれるでしょ?」
まだ若い彼らにこんなことを言われたのでは、誇り高き魔法使いのトップ集団も黙ってはいられない。その目に幾らか闘志を宿して、どういう政策で進めるか、各々が頭の中で算盤を弾き始める。
その雰囲気を感じ取った丸眼鏡の大臣は、「はっはっはっ!」と快活に笑った。
「分かりました。お約束しましょう。ユラリス師団長、良い娘さんを持ったものだね、はっはっは!」
そして、総会議室に五人の魔法使いの溌剌たるハイタッチの音と、大きな拍手が響いたのだった。




