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リバース・バレット  作者: 佐々木雄太
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第8話  検索開始

「それで、この写真の男の居場所を探してくれと?」


 少女は自分専用の椅子に座りながら、秀司から受け取った写真を眺めていた。


 年齢は、涼音とあまり変わらない年頃で、この年齢の若さで、電脳世界で少女に勝る者はいない。


 本名:桂木雪菜。


 彼女もまた、訳があって、こうして引き籠もり生活を送っている。


「ああ、お前には、そいつの居場所を探して欲しい」


「探してどうする?」


「情報を訊き出す」


「あ、そう。秀司がどんな情報を訊き出したいのか、私にとって知っちゃこっちゃないけど……」


「そこは詮索しないんだな、涼音と違って。あいつだったら、俺が話すまでしつこいくらいに訊いてくるのに」


 秀司は、現在、雪菜の部屋に置いてあった大量のごみの入った袋を涼音にゴミ出しに行かせている。


「私は、人の過去などどうでもいいの。それが秀司の追い求めているものだったとしてもね」


「それは、俺の過去を調べたという事か?」


「さて、それはどうかな? 私の探求心は、人から答えを教えてもらうよりも自分の手で見つけ出すっていうのが、ポリシーだから」


 雪菜は、キーボード操作をしながら、複数のモニター画面を使って、検索エンジンをかけている。


「で、居場所の方を見つけ出すのは、難しそうか?」


「どうだろう? 確かに十日前までの行動を地図上に表してみたけど見る?」


「ああ……」


 雪菜は、一部のモニターに秀司が見せた写真に写っている人物の行動した場所を見せる。


「相当な距離を移動しているな。これじゃあ、どこにこいつが現れるのかも選択できないじゃないのか?」


「そうだね。この須崎清隆。四十六歳は、すぐに見つかるような人物じゃないよ」


「もう、そこまで調べたのか? 仕事が早いな」


「それくらいは簡単だよ。でも、こうも姿を防犯カメラ内に移っているという事は、偽物の可能性も考えた方がいいという事」


「それはどういう事だ?」


「だって、普通だったら姿など見せないでしょ。変装するとか、もしくは、身代わりを使う」


「なるほど……」


 秀司は、雪菜の意見に納得する。


「この写真、警察の人間から貰ったでしょ? ほら、誰だっけ? 秀司の知り合いの……」


「明人の事か?」


 雪菜が頭を抱えながら考えている人物の名前を口にする。


「そう、それ、それ!」


「私からしたら、高確率で罠を仕掛けていると思っていた方がいい」


「そうか……。って、事だとよ、涼音」


 秀司は、扉の向こうで潜む気配に気が付く。


 そして、勢いよく扉が開き、何事もなかったかのように涼音が現れる。


「今、大量のゴミ出しから帰ってきましたぁあああああ!」


 と、大声を上げて、ずかずかと、部屋に入ってくる。


「おいおい……」


「……」


 二人は、その様子を見て、『こいつには、ネガティブ要素はないのか』と、思った。

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