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北の果ての女王の恋物語  作者: 彩華
2章
11/12

11 奈々視点

「六花様、大丈夫ですかね?」

「大丈夫でなくても大丈夫と言うお方だ。それをフォローするのが我々の役目だ。ファルセス、冷静に対応するんだぞ。お前の行動一つで、六花様の印象が左右されるんだからな」


 遠野おじ様はファルに釘を打った。

 すぐに調子に乗っちゃうからな。


 右隣の部屋をファルとあたしの部屋にして、左隣の部屋を遠野おじ様の部屋にする。どちらも内通路でつながってるから便利。持って来た大半はおじ様の部屋の間にある小部屋に入れておく。あたしが六花様の服などの管理を任されている。服は寝室横の衣装部屋にいれた。

 貴金属や宝石を初めて手にして、びっくりした。

 氷瑠国では凍傷のもとだから、ここまでのみちすがら、あたしが見立てて、買ったのだ。ドレスにしても、生地に違いがあったりするから、ちゃんと揃えた。

 私の目利きと、交渉術でやってのけた。

 今日の夜会のドレスを用意する。

 その途中、あたしは六花様の額に手を置いた。

 先ほどよりは幾分熱が引いているのに、ほっと胸を撫で下ろした。


 暫くして、六花様は起きて来た。


「六花様どうですか?」

「だいふ、楽になったわ。でも汗でベタベタね。奈々一緒にお風呂に入りましょう」


 初めは辞退したものの客間の豪華なお風呂に魅せられ、ファルの羨ましそうな表情を完璧に無視をして、六花様と入浴しに行ったのだった。


「六花様、こちらの衣装をきてください」


 早々に風呂から上がり自分の支度も手早く済ますと、嬉々として動き出した。

 首元から胸あたりまでシースルになった桜色のドレス。いく連もある真珠のネックレス。黒い光沢のある後ろ髪はあえて垂らし、横は編み込みにして後頭部でまとめ、簪を挿す。髪飾りは氷瑠国伝統の氷水晶と言われる透明度の高い水晶を使った豪華な装飾。肌に直接触れ宝石はあまりないが、こういったものは数多くある。

 特注に作られた両耳の飾が、シャランとなった。


「六花様、立ってみてください」


 立ち上がった六花様はとても美しかった。

 でも・・・。


「奈々?」


 眉を寄せたあたしを見て六花様は首を傾げた。


「すみません。あたし馬鹿でした」


 唇を噛み締める。


「なんで謝るの?」

「肩・・・」


 あたしの声に六花様は自分の肩を見た。

 袖のないドレスから見える昔のキズ。

 六花様はあまり気にされてはいないけど、こんな公式の場に傷が見えるなんて品位に関わってしまう。


「気にすることはないわよ」

「ダメです。女性に傷があると言うだけで、何言われるかわからない場所です。六花様をより美しくするのが、あたしの役目です。どこにだしても恥ずかしくないようにするのがあたしの使命です!」


 手抜きも妥協も一切しません。

 あたしは衣装箱を漁った。

 これだ!


 一枚のピンクのレースを取り出すと、ハサミをいれた。


「奈々!それ、この前の市で奮闘しつ買った布でしょう!」

「こうなる運命だったのです」


 使ってなんぼです。


「六花様、本当は一度脱いでから縫うものですが、時間もないのでそのまま失礼します」


 そう言って、レースを合わせ縫っていく。

 実際にこういった事をすれば首がとんでも仕方ないくらいのことをする。

 自分の腕の価値を知ってるからこそやる。

 さっと縫ってしまうと、針の確認をして終わらす。


 遠野おじ様とファルを呼びお披露目。


 二人は部屋に入ってくるなり、感嘆の声を上げだ。


「奈々、上々だ」

「ふふん、でしょう」


 鼻を鳴らす。


「六花様は存在に花があるのでシンプルにいってみました」

「奈々、自分の支度もしなさい」


 うおっ。すっかり忘れていた。


「流石奈々ですね」

「帰ったら、服のデザイナー兼布素材取引責任者にする様に議会に提案書をだすわ」

「はやりますか?」

「大丈夫よ。あの子はやり手よ。でなければ暴走ファルの相手があの歳でできるわけないでしょう」


 本人がいなくても、聞こえています。

 自分のやっていることが認められるのは嬉しいです。


「きちんとした書類の提出をお願いしますよ。その内容次第で善処します」


 遠野おじ様の声に、断然やる気がでた。

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