行き違いから生まれた出会い
―この世界には開けてはならない扉がある
その扉が見えるものは特別でありながら
残酷な運命を歩むことになるだろう―
道に迷った時空警察官の11ジュウイチという
男性が声だけが聴こえる神にそう言われたのだ。
2003年1月1日1時11分
久保田明希名という少女が生まれた
母親は必死な不妊治療を受けやっと
身ごもった子に涙を流した。
両親に可愛がられすくすく育つ
1歳になった明希名は二階の部屋で
ひとり遊ぶ。母親は隣の部屋で掃除をしていた。
そんな明希名に近づくひとりの男性。
その男性は時空警察官の11
時空警察官なので不審な人がいないか
パトロールをしていた。
よそ見をしていると目をクリクリさせた明希名が
11の脚にしがみつき離れない。必死に放そうと
おもちゃを鳴らしたり足を大きく振っても
放れない明希名に11は
「恐ろしい子」呟いた
騒々しく感じた明希名の母親が
明希名の名を呼びながら近づく
慌てた11が無理やり蹴っ飛ばし消え去ると
明希名は大泣きをする。
あやす母親は心の何処かで不審を感じていた。
脱け出した11は同僚である
12(ジュウフ天然)13(ワンミ夢が無い男)に
放さない明希名の話をし爆笑されていた
12は天真爛漫な人で13は無表情が多いが渋い雰囲気。
そして爽やかである11は明希名に気に入られたようだ
11は昨日は泣かせてしまった明希名が気になり
次の日
明希名の様子を見に行くと元気にまたリビングで
ひとり遊んでいる姿を見て背を向けた11だが
ギギギーと折り畳み式の室内干しが
明希名の方向に倒れてきた
助ける11に明希名は目をまんまるにして
じーっと11を見ると
11はまた
「やはり恐ろしい子だ」とつぶやく
そのあと11は人間ではない気配を感じたために
佇む一人のおばあちゃんにと誰だ!と叫んだ
明希名は喜んでそのおばあちゃんの方へ行く。
警察の11は職務質問すると
明希名の母親に中々子供が出来なかったのは
黒い人が邪魔をしているからだと
そのおばあちゃんは
明希名の母親の母親で話しによると
〈私が死んでその前に亡くなった私の主人と
明希名の父親の父親と手を組んで追い出し
明希名が生まれるようにしました。
追い出したのですが...また現れまして〉
それを聴いた11はこれからパトロール地域に
するよう上に申し出をした。
次の日は12が明希名の周りを見張っていた
また次の日は13が見張っていた。
11はその1週間後明希名の周りを
パトロールしようとしていた時であった
時空の挾間を通るので壁も霧のように白く
ぼやがいつもあるのは当たり前ではあったが
今回は灰色のような色があった。
気になった11は
その道を辿ると生い茂ったような道に
ひとつの扉が見えた。
「あの...扉は...」過去に
道に迷い混んだ際に言われた
―開けてはならない残酷な運命を辿るだろう―
11はその言葉を強く思い出した。
右端から来る黒い影が子供を誘っている
咄嗟に隠れた11は様子を伺いながら
黒い影に徐々に近づくと
その子供は明希名だった。
黒い影が明希名に開けてはならない
扉を開けさせていた。
11は足下を見ると
今までの明希名の先祖が
守ろうとしたのか倒れこんでいた。
11の脚を掴むひとりの男性は
唸るように「助けて...く...れ」と言う
なんとか助けに行こうと11はするも
追い風が強く前に進めない
それでも距離は無い訳ではないため
強く手を伸ばした
なんとか明希名の手を掴んだ
明希名はまた目がうるうるとしながら
11を見つめ放れない。
しかし、黒い影が11と明希名を呑み込み
その扉に入ってしまった。
時空の11は同僚の12,13とはそのまま話したり
することは出来るのだが、
明希名のいた世界は全く異なっていた
外に出ると世界は変わっていたのだ。
両親がいたはずが幸せになるはずが
明希名の父親がいない世界だったのだ。
また11も若返ってしまった。