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統合失調症の男2

作者: エドゴン

【1.序章】


東豪くんは現在33歳です。IT企業に勤める一般の社会人です。都内で一人暮らしをして日々楽しく生活をしていました。


そんなある日、東豪くんは出勤中に人の視線を感じました。「あれ?見られている?」という感じです。まあそこまで気にせず東豪くんは会社に出勤をしていつも通り仕事をこなし、帰宅しました。


翌日、また出勤中に人の視線を感じました。また人に見られているという感覚です。この、人に見られているという感覚が10日ほど続きました。東豪くんは無視を続けましたがストレスに感じていました。日々のストレスも強くなっていき、無視をしきれなくなっていったのです。


人の視線を感じ続けている東豪くんは監視をされていると感じるようになりました。毎日歩いているとき、電車の中、会社でも監視されているという感覚を常に感じるようになりました。


【2.「死ね」と罵声を浴びせられる】


監視されているという感覚に常に襲われている東豪くんのストレスは次第に強くなっていきました。


そんな中、通勤中に歩いているとき、近くにいる通りすがりの通行人から「死ね」という声が聞こえてきました。東豪くんは「なに?」と驚きましたが、関係はないと思い、無視をして出社しました。


また次の日、通りすがりの通行人から「死ね」と聞こえてきたのです。何かの間違いかと思いしばらくは無視を続けていたのですが、監視をされていると感じていた東豪くんには無視をするのは限界でした。


「死ね」と言ってくる通行人が常に自分を尾行し、監視していると思い込んでいきました。東豪くんの思考は負のループに迷い込んだのです。


さらに「死ね」と言ってくる通行人は毎回違う人でした。男性の時もあれば女性の時もある。大人、老人、子供の時もありました。東豪くんは錯乱していきました。


【3.録音!証拠集め】


東豪くん「こうなったら録音をして証拠を掴んでやる!」


東豪くんは「死ね」という罵声を録音して証拠を集めることにしました。家電量販店でボイスレコーダーを購入!証拠集めの準備は万全です。


東豪くんはボイスレコーダーで録音をしながら、お散歩を始めました。お散歩をしながら通行人から罵声が聞こえてきたらその罵声を録音できると思ったのです。人混みに入って行くと東豪くんの思惑通り「死ね」という罵声が飛んできました。


東豪くん「やっぱりな」


東豪くんは3時間ほどお散歩をして、罵声を10回は聞きました。男性、女性、大人、老人、子供、本当にひどい奴らです。


早速自宅に帰り、ボイスレコーダーをチェックしました。3時間分の録音を聞くのはたいへんな作業ですが、東豪くんには苦痛ではありませんでした。これで証拠が掴めると思ったからです。


聞き進めてはいますがなかなか「死ね」という声が聞こえてきません。


東豪くん「あれ?おかしいな」


東豪くんは何かの間違いだと思いました。確かに3時間の散歩中には罵声を10回は聞いたはずです。しかしボイスレコーダーをチェックしても罵声は全く聞こえてきません。3時間分の録音を聴き終わりましたが、一度も「死ね」という声は録音されていませんでした。


東豪くんはさらに録音を繰り返しました。散歩中や自宅にいるとき、勤務中にも録音を試し、聞き返しました。しかし罵声は聞こえているのに全く録音されていなかったのです。


【4.慰謝料請求できない】


東豪くんは証拠を集めて自分を苦しめている犯人たちから慰謝料を請求しようとしていましたが、ボイスレコーダーに罵声が録音されず慰謝料請求ができないことに絶望しました。


東豪くん「おかしい、何かがおかしい。なぜこんなに知らない奴らに監視されなくてはいけないんだ。そして罵声を言われなければいけないんだ。今まで仕事を真面目にやってきたのに、一体俺の何が悪かったんだ?全ては俺を監視している奴らが悪い。そうだ、隣人に問い詰めてやる。犯人はすぐそこにいるじゃないか。」


東豪くんは自分の住んでいる一人暮らしのアパートの隣人に問い詰めることを決めました。


【5.隣人に暴力行為】


東豪くんは自分のアパートの部屋にいるときにも罵声を浴びていました。その罵声は隣のお部屋から聞こえてきていると感じていました。


東豪くんは隣のお部屋の住人が犯人の一人ではないかと考え、隣人を問い詰めようと思ったわけです。東豪くんは隣のお部屋のドアをノックしました。そうしたら住人が出てきました。


隣人「はい。何ですか?」


東豪くんは今までなんどもなんども罵声を浴びていたせいかその隣人に対して冷静ではいられなくなりました。怒りが頂点に達したのです。


東豪くん「てめえか。俺に罵声を浴びせていたのは。」


東豪くんは隣人に対していきなり殴りかかったのです。東豪くんの怒りは頂点に達していました。


東豪くん「よくも今までやってくれたな。しつこいんだよ。死ね!!」


東豪くんは隣人を20発程度殴り、気持ちが落ち着いてきました。


東豪くん「これに懲りたら二度とするんじゃねぇぞ!」


東豪くんはその場を後にし、自分の部屋に帰りました。隣人が警察に通報したらしくしばらくすると警察がやってきて東豪くんは暴行容疑で逮捕されました。


【6.精神病院の閉鎖病棟へ】


興奮が治らない東豪くんは逮捕をされましたが警察官に対しても大声を出したり暴れていました。これは何かがおかしいと警察官は思い上司と相談。その結果、警察署に連行するのではなく精神病院へ行き診察を受けさせようということになりました。

診察でも暴れてしまうため警察官が取り押さえます。


医師「これは緊急を要しますね。閉鎖病棟の隔離室へ連れて行ってください。」


東豪くんは鎮静剤を打たれ隔離室に入れられました。スーッと落ち着きを取り戻して行きました。やっと冷静になれました。


一体、東豪くんを襲った監視されているという感覚、「死ね」という罵声はなんだったのか、それによって冷静ではいられなくなった東豪くんは何に支配されていたのか。医師にも本当の原因はわかりませんが、おそらく統合失調症という病気のためだったのではないでしょうか。


東豪くんはしばらくは自由を失った生活をすることになり、今後のことは治療が終わった後に考えようと思っています。

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