第68話 飲食街の定食屋
オリビアの店を出て海岸通りをぶらぶらと散策し土産物屋や様々なショップを点々と巡っていた僕たちは途中である事に気がついた。それは僕たち、いや僕を除いた4人に街行く人々が熱い視線を向けていることだった。
老若男女問わず街行くほぼ全員が手を止め会話を止めすれ違えば振り返る。そして口々に4人それぞれの美しさや可愛いさを称賛した。特にルヴィスに対する称賛の声は多くその美貌に見惚れる男たちが後を断たなかった。
(オリビアさんが宣伝になるっていってた意味がわかった)
僕は先程オリビアが言っていた言葉を思い出していた。4種4様の美女が並んで歩く様はまるでランウェイを行くファッションモデル。こんな光景を見て振り向かないわけがない。僕が逆の立場だったら間違いなく振り向き見惚れていただろう。
お昼が近づいた頃、ムイが言う。
「アオイ兄ちゃん。ランチは何が食べたい?」
「僕は何でもいいよ。そうだこの間この先にあるイルメンティーノってお店で食べたよ。なんならまたそこにする?」
「えぇ⁉︎ アオイ兄ちゃんイルメンティーノに行ったことあんのかいな! ダメダメ! ウチは入られへんで」
「なんで?」
「なんでって。あんな超高級店ウチには無理や」
イルメンティーノがここパムラムでは指折りの名店である事は以前オリビアから聞いていた話しであったがムイが言うような超高級店だとは知らなかった。なぜならこれまでもそうだったがあの店での支払いは当然のようにアルスが済ませていたため実際にどれだけ支払っていたのか僕たちは知らなかったからだ。
「こんなことをいうのもなんだけどアルスがいない今あのお店はさすがに無理ね」
ルヴィスの発言に僕たちは全員うなづいた。
「ほな、とりあえずメインストリートの飲食街に行ってみよか」
街のメインストリートには観光客はもちろん地元民も食べに行く飲食街があるといい様々な食を楽しむ事ができるという。
「ここが飲食街や」
飲食街はメインストリートの一角に立つ鳥居のような門をくぐった先にあった。
「凄いね。色んなお店が並んでる」
「せやろ。あそこがパスタル屋であっちが定食屋。その先は野菜中心の料理を出す店。その向かいは肉料理の店。その他にも色んな店がある。みんなはどんなのが食べたい?」
ムイの質問に真っ先に手を上げたルヴィスが肉を食べたいと言うとクラニは何でも良いと答え、ジェナは野菜料理が食べたいと言った。
「アオイ兄ちゃんは?」
「僕は何でも良いよ」
「ほな肉と野菜、両方食べられる店がいいな。それやったら……うん。あそこがええな。みんなこっちや」
ムイに連れられやって来たその店はどこにでもありそうな定食屋だった。
「おっちゃん! こんちわ!」
「おお! ムイちゃん。いらっしゃい。ん? なんや今日は珍しくぎょーさん人連れてるやないけ」
「うん。みんなウチの仲間や」
「ほかほか。まーそないなとこ突っ立っててもしゃーないからな。とりあえず席についてんか」
僕たちが席に着くと店主の親父は人数分の水をテーブルの上にまとめて置いた。
「みんないらっしゃい。注文が決まったら声かけてや」
メニューを開き食べたいものを探す。
肉料理に野菜料理に麺、その他諸々。簡単に言えば何でもある。そんな中僕はある一品で目が止まった。
「僕はこれにしてみるよ」
そこにはなんと『お好み焼き』の文字が。はたして本当に僕の知るところのお好み焼きが出てくるのか。賭けではあったが僕はそれを注文してみることにした。




