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第64話 バジリスク

「この奥だったね」

「みんな準備ええな?」

「うん。いつでもいいわ」

「はい。私も大丈夫です」

「私も陰ながら応援しております!」

「ほなクラニ姉ちゃんはここで一旦お別れや。アオイ兄ちゃん、ルヴィス姉ちゃん。ジェナ姉ちゃん、行くで!」


 僕たちは背合わせで円になりゆっくりとバジリスクの巣へ入っていった。


「おーおー立派な石像になっとるな。この石像がアルス兄ちゃんやろ?」

「うん。これがアルス。にしてもバジリスクのやつ、やっぱり隠れてるみたいだね。あ! あの緑色の光りが集まってる水溜りみたいなアレ、魔ダマリだよね?」

「そうみたいやな。ん? みんな、あそこ見えるか? 天井の辺り」


 僕は目を凝らしてみたがただの洞窟の天井にしか見えなかったがルヴィスとジェナには何かが見えたようだった。


「ムイちゃん。もしかしてあの影」

「あの辺りの影がおかしいですね」

「そうなんや。魔ダマリの光りに照らされた天井であそこの影だけが不自然なんや」

「つまり、あそこにバジリスクが張り付いてるってわけね」

「そうや。擬態しても実際は消えているわけやあらへん。そこにいてるからには光りが当たれば当然影ができる。あそこは光りの当たり具合からして本来影はでけへん」


 僕たちはバジリスクの擬態する場所をその天井と断定し作戦を開始した。


「チャンスは一度や。もし失敗すればアオイ兄ちゃんは毒牙で噛み殺される。ウチらは石像になるか毒牙の餌食になるかのどっちかや。準備はええか?」


 僕はムイの真剣な眼差しに固唾を飲み深くうなづいた。


「おさらいや。まずアオイ兄ちゃんがバジリスクに背を向ける。きっとそれだけではヤツはあまり動かれへん。けどヤツの目はアオイ兄ちゃんに向く。せやからジェナ姉ちゃんがアオイ兄ちゃんの後ろからヤツに向けて矢を射る。さすがにヤツも怒って襲いかかってくるはずや。そしたらルヴィス姉ちゃんが火の魔法でヤツを驚かす。驚いたヤツは石化の呪いを放つ。ほんでウチがその閃光を鏡で跳ね返しヤツを石化させてチャンチャンや。ほな、アオイ兄ちゃん、頼んだで!」


 僕は意を決してバジリスクが擬態していると思われる天井に背中を向けた。すると微かだが天井の影が動いた様に見えた。


「ジェナ姉ちゃん!」

「はい!」


 ジェナが僕の後ろからバジリスクに向けて矢を放つとその矢を避けたバジリスクの体が天井を擦り砂煙煙と共にバジリスクがついにその姿を現した。


 シャアァァアアァァ! 洞窟内をバジリスクの威嚇音が鳴り響き地響きが起こった。そしてバジリスクは大きく口を開けたまま獰猛な毒牙を剥き出しにして僕めがけて一気に襲いかかってきた。


「ルヴィス姉ちゃん!」

「任せて! フェノム!」


 洞窟内がまるで昼間の外にいるかのように明るくなりその光りに一瞬視界を奪われたバジリスクが地面に落ちた。しかしバジリスクは怯むことなく頭を持ち上げると再び口を大きく開き威嚇音を響かせた。


「みんな目閉じ!」


 ムイが叫んだ次の瞬間バジリスクはその蛇眼から石化の呪いを発した。それはしっかりと閉じた瞼越しにもその閃光の明るさがわかるほどだった。


「みんな、もう目開けても大丈夫やで」


 僕は恐る恐る目を開けた。するとそこには石化の呪いを放った形のまま石化したバジリスクの姿があった。


「ムイちゃん! 僕たちやったんだね!」

「うん。ウチらやったったで!」

「凄い! 本当に石になっちゃった」


 ルヴィスは感心した様子でバジリスクをマジマジと見回した。


「クラニ姉ちゃーーん! ウチらやったでーー! 作戦成功やーー!」


 ムイの声を聞いたクラニが僕たちのところへ戻ってくるなり悲鳴をあげた。


「きゃーーーー! ジェナさん!」


 クラニの指差す方を向くとそこにはなんと石化したジェナの姿があった。


「ジェナさん! なんてこった」

「きっと目つむるんが遅れたんやな」


 ルヴィスは言葉を失いジェナの石像を撫で涙を浮かべた。


「みんなどないする? 薬は1人分しかあらへんで。ジェナ姉ちゃんかアルス兄ちゃんか。どのみち薬は調達するんやろうからどっちを先に戻すかっちゅう話しやな」


 僕たちはしばらくの間議論したが結果満場一致でジェナの石化を解くことにした。なぜならイゼラトスの弓を使いこなせるのはジェナしかいないからだ。


「悪いわねアルス。必ず元に戻すからもうちょっと待っててね」

「ごめん、アルス」

「ごめんなさい。アルス様」


 僕たちはアルスに謝るとジェナのところへ行き石化の呪いを解く薬をかけた。


「……はぁ。皆様申し訳ございません! 私とした事が目をむつるのが遅れてしまいあろうことか石にされてしまいました。アルス様申し訳ございません!」


 石化から解けたジェナは全員に頭を下げるとアルスの足元に額をつけ謝罪した。


「大丈夫よジェナ。アルスなら『そんな事気にすんな。俺はまだまだ待てるぜ!』って言ってくれるわよ。ね? だからもう気にしない」

「は、はい。ありがとうございます」


 バジリスクの石化に成功した僕たちはあらためてこの洞窟に来た目的を果たすべくアルスを除く全員で魔ダマリを囲んだ。

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