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第56話 イルメンティーノ

「イルメンティーノ。オリビアが言ってたお店はここね」

「いらっしゃいませ〜。イルメンティーノへようこそ〜。5名さまですね。お席へご案内いたしま〜す」


 元気の良い女性店員さんは僕たちを海の見えるテラス席へ案内してくれた。


「海を見ながら食事ができるなんて幸せなことですね。いつか里のみんなにも見せてあげたいです」


 ジェナは海を眺めながら言った。


「さぁてと何食べよっかなぁ。あ、これ美味しそう。でもこれも良さそうだなぁ」

「メニューがたくさんあって迷ってしまいますね」

「本当ですね」


 アレでもないコレでもないとワイワイ楽しそうにメニューを選ぶ女子3人。


「アオイは決まった?」

「僕はこのオススメって書いてある漁師の気まぐれパスタルにするよ」

「お! 奇遇だなアオイ。俺もそれにすっぜ」

「実のところメニュー見ても良くわからなくてさ」

「だよな。俺もそうなんだよ」

「で、ルヴィスは決まったの?」

「うん。私は3種のチズーのクリームパスタルにする」

「お! なんだかクリーミーで濃厚そうな感じがして美味しそうだね」

「そうでしょ! アオイにもひと口あげるからね。みんな決まった?」


 ルヴィスの問いに全員がうなづいた。


「すみませ〜ん。オーダーお願いしま〜す」

「は〜い。ただいまお伺いしま〜す」


 女性店員さんは素早く僕たちのテーブルにやってくると注文を取る体制でペンを握った。


「お待たせいたしました〜。ご注文をどうぞ〜」

「えっと。3種のチズーのクリームパスタルが1つと、このオススメを2つ。クラニとジェナは?」

「私は厚切りベコルのトゥメトソースパスタルをお願いします」

「私はヤコウタケとジャイアントエビルの香味パスタルで」

「かしこまりました〜」


 海を眺めながら待つこと数分。頼んだ料理がテーブルに運ばれてきた。


 あ、やっぱりそうだよね。テーブルに並べられたパスタルは僕が想像していた通りパスタによく似た料理だった。


 僕とアルスが頼んだパスタルはその日取れた海の幸を使った海鮮もので日によってその具材が変わるという。ちなみに今日は白身魚にイカやエビ、ホタテに似たものがのっている。


 次にルヴィスが頼んだ3種のチズーのクリームパスタル。これはその名の通りモンツァレイラ、コータ、ツェィダーという3種類のチズーを使ったクリームパスタルだ。


 クラニの頼んだ厚切りベコルのトゥメトソースパスタルはトマトに似た野菜であるトゥメトを煮込んだソースにベコルというベーコンのような肉をトッピングしたシンプルなパスタルでジェナの頼んだヤコウタケとジャイアントエビルの香味パスタルは貴重な食材であるヤコウタケと伊勢海老によく似たジャイアントエビルの素揚げを丸々一匹使った贅沢な一品であった。


「あ、あの申し訳ございません。私だけこんな豪華なもの頼んでしまいまして。このメニューの中で唯一知っていたのがヤコウタケだったものですからこれを選んでしまいました」


 ヤコウタケはこの辺りでは手に入りにくい貴重な食材だがエルフの里ではそこら中で取れる身近な食材だったためジェナはそれを選んだのだった。


「ジェナ、そんな事気にしなくて良いと思うよ。ね? だから食べましょ! いっただきま〜す。ん〜おいひぃ! はいアオイ。約束のひと口。あ〜ん」


 ルヴィスからチズーパスタルをあ〜んしてもらうとそれを見たクラニが厚切りベコルとトゥメトソースのパスタルを小皿に取り分け僕の前に置いた。


「アオイさん。よかったら私のも味見してみて下さい」

「ありがとうございます。クラニさん。頂きます。良かったら僕のもどうぞ。ルヴィスも食べてね」


 すると2人の様子を伺っていたジェナが言う。


「なるほど。外では頼んだものを分け合って食べるのですね。でしたら……」


 ジェナもクラニ同様パスタルを小皿に取り分けると僕の前に置いた。


「アオイ様。どうぞ私のも召し上がって下さい」

「ジェナさん。ありがとうございます。頂きます。僕のもどうぞ」

「なぁ1つ聞いていいか? なんでアオイだけなんだ?」


 アルスが口を尖らせるのも仕方ない。なにせパスタルを小分けしてもらったのはなぜか僕だけだったからだ。


「あ、私としたことが。アルス様どうぞ」

「アルス様、私のもどうぞ召し上がって下さい」


 クラニとジェナは拗ねたアルスを見て慌てて小皿にパスタルを取り分けた。が、ルヴィスだけは何もしなかった。


「なんか催促しちまったみたいで何か悪ぃな。でもありがとな。遠慮なくいただくぜ。皆んな俺のも食べてくれよ」


 と言いながらルヴィスをチラ見するアルス。

 そんなアルスをルヴィスが一喝する。


「期待しても無駄よ。私はアオイにしかあげないんだから」

「くぅ〜相変わらず冷たいねぇ」


 ルヴィスの言葉に身をよじらせるアルスに対し僕もルヴィスもクラニもいつもの事と特に反応することはなかったがその様子に不慣れなジェナだけは不思議そうな顔をしていた。


 その後は何事もなかったかのように海を見ながら会話のはずむ楽しいランチタイムを過ごした。


「ごちそうさま。はぁ〜美味しかった」


 食事を終えた僕たちはルヴィスに続きごちそうさまを言うと店を出て港へ向かった。

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