第55話 オリビアのおすすめ
「うっわぁぁぁぁ。可愛い〜〜〜〜! さすがはリルエマさんだわ。さっそく発注かけなくちゃ」
もう僕の事など気にする事なく尾ビレをバタつかせ辺りに水を飛ばしまくるオリビア。
「あの、オリビアさん。冷たいです」
「あ。ごめんなさい。すぐに乾かしますからよかったらこれに着替え下さい」
オリビアは店に並ぶ服の中から僕に合いそうなものを選ぶと試着室に案内した。
「わぁとってもお似合いですよ」
「そ、そうですか? ありがとうございます。このサラッとした肌触りがとても良いですね。もちろんデザインもかっこいいです」
「そちらはデザイン、素材とも超ハイクオリティなリルエマブランドですから文句のつけようがありません」
超ハイクオリティって。言葉が少し変ではあるがオリビアの言いたいことのニュアンスは伝わってきた。
「リルエマさんて凄いんですね」
「凄いも何も。リルエマさんは雲の上の存在。凄いなんて一言で片付くような方ではありませんよ。私はたまたま縁あって仕事の依頼をさせてもらえてますが普通なら何年待ちになるかわかりませんし、そもそも仕事を受けてもらえるかすらわかりません」
「そ、そんなに⁉︎ 」
「ええ。そんなに、です。そう言えば舞い上がってしまいお聞きするのを忘れてましたがお客さんはリルエマさんとはどういう関係なのですか?」
リルエマが試作品を人に預けるなど前代未聞な話しだといいオリビアはどうしても僕たちとリルエマの関係性が気になってしまったのだという。
んー普通の客とは違う気がするし友達とも違う気がする。あたらめてリルエマとの関係性を聞かれどう答えていいか迷っているとアルスが代わりにその答えを出してくれた。
「俺たちは船に乗るためにここへ来たんだ。だからそのついでにここへ寄ってくれって頼まれたわけよ」
「えーと。申し訳ないのですがそれだけではリルエマさんとの関係性がちょっとわからないです」
「おおそうか。悪ぃ悪ぃ。えっとな。俺とリルエマは幼馴染なんだ。だからこういう頼まれごともたまにあんのさ」
「えぇ⁉︎ リルエマさんの幼馴染⁉︎」
「ああ。俺はリルエマの幼馴染のアルス・ラーグ・エルトナインだ」
バシャン! ドタン! オリビアはアルスの言葉に驚きバスタブから落ちてしまった。
「おい! 大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です。ですが今おっしゃったことは本当なのですか?」
「本当だぜ」
「では貴方様はエルトナイン王国の王子、アルス様なのですか?」
「おうよ」
「……」
オリビアはしばらくの間放心状態で固まってしまった。
「おーい。もしもーし。大丈夫か?」
「ハッ。これは大変失礼いたしました。まさかリルエマさんの幼馴染がアルス王子様だなんて驚きすぎて時が止まってしまいました」
「ハハ。ま、そういう事だからよ。オリビアっつったか? それはちゃんと渡したかんな。アオイ、リルエマの用はこれで済んだな?」
「うん」
「そんじゃ港に行こうぜ」
「その前に。何か食べたい。私お腹空いちゃった」
「私もです」
「私も少々お腹が空きました」
ルヴィスが口火を切るとクラニとジェナもそれに続いた。
「そう言われりゃそうだ。腹減ったな」
「もうお昼過ぎてるもんね」
「でしたらおすすめのお店がありますよ!」
オリビアが紹介してくれた店はパムラムでも指折りの名店だといいパスタルが美味しいお店だという。
マーメイルを出て海岸通りを海側に向かって歩いていくとその店はあった。




