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第48話 機転

 なるべく音を立てないようゆっくりと水面から顔を出すアルス。散々アルスの事を悪く言ったくせに僕も結局はアルスの隣りで同じように水面から顔を出していた。


「ここからは岩になれアオイ。いいな」

「了解」


 僕はアルスの言う通り息を潜め聞き耳を立てた。

 一方女風呂では僕たちがそんな事をしているなど知る由もなく楽しそうな会話が始まっていた。


「クラニ〜見て〜滝行〜」

「ルヴィスさんたら何してるんですか」

「楽しいよ。クラニもやってみなよ〜」

「私はいいです」

「騙されたと思って、ほらほらこっちきて」


 温泉の滝に打たれはしゃぐルヴィスに無理やり付き合わされ滝に打たれることになったクラニがうなだれる。


「ダダダダダって楽しくない? それにすっごく気持ちいいでしょ?」

「は、はい。気持ちいいです。気持ちいいですが私はできればあちらでゆっくりと肩まで浸かっていたいです」

「そっか。なら私も行く。あ、でももうちょっとだけ滝に打たれてからね。だからごめん。クラニ先に行ってて」


 プッ。ククク。


 クラニは普段見ることのないルヴィスのあまりに子どもっぽい姿に思わず吹いてしまった。


「どうしたのクラニ。なんで笑ったの?」

「いえ何でもないです。ですから私のことは気にせず心ゆくまで滝に打たれてきて下さい。私は向こうでゆっくりしてますから」

「そう。わかった。そうする!」


 クラニにそう言われたルヴィスは嬉しそうにまた滝に打たれに行きクラニは湯舟にゆったりと肩まで浸かった。


「あの。リルエマ様」

「なぁにぃ?」

「その……どうやったら」

「ん?」

「どうやったらそんな大きな胸になれるのですか?」

「え?」


 ジェナはリルエマの豊満な胸をまじまじと覗き込み言った。


「私の胸は見ての通りつるぺたです。リルエマさんとまではいかなくてももう少し大きくなってほしいのです」

「ん〜私のはぁ自然にぃこうなったからぁ特別ぅ何かしたってぇわけじゃないのよねぇ」

「そうなんですか……」


 するとリルエマはおもむろにジェナの胸を彼女の後ろから両手で覆うように触った。


「きゃっ。リ、リルエマ様何をなさるのですか⁉︎」

「いきなりぃ触ってぇごめんねぇ。私はぁジェナさんのぉこの胸ぇ好きだよぉ。細身でぇスラッとしてるぅジェナさんにぃとってもぉ合ってると思うものぉ」

「そ、そうですか?」

「そうだよぉ。世界にはぁ色んな人がいるからぁ私のぉ胸みたいなのがぁ好みって人もいるしぃ、ジェナさんみたいな胸が好みって人もいるんだからぁそんなにぃ気にすることぉないと思うよぉ?」

「そのようなもの、ですか?」

「案外ぃそういぅものよぉ」

「わかりました。ありがとうございますリルエマ様」


 ジェナは少し何かが吹っ切れたような顔を見せると胸が隠れるあたりまで湯舟に浸かった。


(それにしてもリルエマ様の胸、何度見ても凄いわ)


 そうジェナが頭の中で呟くのも無理はない。湯舟に浸かるリルエマの豊満な胸はまるでスイカが水に浮くかのような光景だったからだ。


 さて、女子が思い思いに温泉と会話を楽しむ中男湯はというと


「アオイ、聞こえたか? リルエマとジェナの会話」

「うん。聞こえた」

「何か胸がどうとかって言ってたよな?」

「うん。たぶん」

「くぅ〜ヤベーな。興奮すんなこれ」

「やっぱり僕はあっちで普通に温まってこようかな」

「なんだアオイ。ここまできて裏切るってのか。この薄情者!」

「しっ。そんな大きな声だしたらバレるよ?」

「おっといけね。そんじゃアオイ、あと少しでいいから付き合ってくれ。な? 頼むよ」

「わかった。あと少しだけだからね」


 なんだかんだで僕たちはあと少しあと少しと言いながらその場を離れることはなかった。


「そうだクラニ。何でロックさんがリルエマさんの家にいると思う?」


 滝を存分に満喫したルヴィスは湯舟に戻るとクラニの横に座った。


「うーん。何ででしょう?」

「それじゃ私直接聞いてくるね」


 ルヴィスはリルエマの横に座るとなぜリルエマの家にロックがいるのか尋ねた。


「それはぁアルスがぁロックさんにぃ私のぉ警護を命じたからぁなんだってぇ」


 リルエマとルヴィスの会話を聞いたアルスが言う。


「なんだロックのヤツもうネタばらししちまってたのかよ」

「アルス、聞いてもいい?」

「ん? 何だアオイ」

「リルエマさんて僕たちが来る前まではずっと1人で暮らしてたんだよね?」

「ああ。そうだぜ」

「だよね? それなのになんでわざわざロックさんを警護につける必要があるの?」

「アオイ、今から言うことは他言無用だぞ。いいな?」

「え? あ、うん」

「リルエマの警護ってのは建前だ。本当はな、ロックのヤツ、リルエマにほの字っぽいんだ」

「えぇ⁉︎ そうだったの⁉︎」

「バカ。声がでけぇ」

「ご、ごめん。つい驚いてしまって」

「ロックはあんな性格だろ? 自分でどうこうなんてできやしねぇ。だから自然にリルエマの側にいられる様命令としてリルエマを警護するよう言ってやったんだ」

「なるほど。だからか」


 アルスの話しから僕はこれまでのロックの様子に合点がいった。

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