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第45話 修羅場?

ウェディングドレス作りと素材集めの旅が本格始動する第二章の幕開けです!

「テシア様、申し訳ないのですが僕たちはこのシークルを直ぐにでも持ち帰らなければなりません。ですからここで失礼いたします」

「なんじゃ寂しいの。もう行ってしまうというのか」

「すみません。でもまた遊びに来ますので」

「絶対じゃぞ。必ずまたこの里へ遊びに参れ。約束じゃぞ?」

「はい。約束します」


 テシアに一礼し謁見の間を出ようとしたその時だった。ジェナが僕たちの足を止めた。


「あ、あの! 皆様! 私も連れて行っては頂けないでしょうか? テシア様にもお願い申し上げます。どうか。どうか私がアオイ様方に同行することをお許し下さい!」

「ジェナよお主何を言い出すかと思えば。無茶を言うでない」

「そうだよ姉さん! 俺は反対だね。もし姉さんが行くとしても俺はここに残る! それでも姉さんは行くというのかい?」

「ごめんね。ロイ。たとえロイと離れることになっても私はそれでも外の世界をもっと見てみたい! この肌で触れてみたいの! だからだから」

「姉さん……わかったよ。姉さんが外の世界へ出たいっていうそれは昔からの夢だったもんな」

「ロイ。わがままな姉さんで本当にごめんね」

「何言ってんだよ今更。それが姉さんだろ?」

「ロイ。ありがとう。今一度皆様に申し上げます。どうか私の同行をお許し下さい!」

「いいわよ。ね、アオイ」

「もちろん」

「アオイ殿! ルヴィス殿! うーむ」


 ジェナの突然の申し出とそれをあっさりと許可してしまった僕たちに困惑の色を隠せないテシアは目をつむるとしばらくの間黙り込んでしまった。


「ならばこうしよう。アルス殿、我ら同盟に基づきジェナを守ってくれるな?」

「テシア様、それは同盟に合意してくれたってことでいいんだよな?」

「うむ。そういうことじゃ」

「そんなら同盟に基づいて全力でジェナを守ると誓うぜ」

「テシア様! アルス様!」

「ジェナよ。お主に女王の命を下す。里のエルフ族の代表として外の世界をその目で見て、その肌で感じてくるのじゃ! よいな?」

「はい! その命しかと承りました」

「よかったですね。ジェナさん」

「はい! 皆様これかもどうぞよろしくお願い致します!」


 新たにジェナをパーティに迎え入れた僕たちはリルエマの待つベレンへ向けてフェネルテシアを後にした。


 そしてリルエマの家に着くと僕たちを1番に迎えてくれたのはリルエマではなく意外な人物だった。


「アルス様、皆様、ご無事で何より! お帰りなさいませ!」


 がたいの良い体から発せられるでっかい声に堅苦しい言い回し。そう、それはまさしくロックだった。


「ちゃんと働いてんなロック」

「ハッ! アルス様のご命令通り日々リルエマ様の護衛に務めさせて頂いております!」


 ロックの声は家の中にも聞こえたようでリルエマが外へ出て来た。


「ロックさ〜ん、どうかぁしたのぉ? 誰かぁ来たのぉ? うっわぁ〜みんなだぁ〜。みんながいるぅ。お帰りぃ。お茶ぁ入れるからぁ中にぃ入ってぇ。ロックさんもねぇ」

「いえ。私は外の警護がございますのでご遠慮いたします」

「大丈夫だよぉ。ここにいるぅみんなはぁけいごなんてぇいらないくらぃ強いからぁ」

「そう言われれば確かに。ではお言葉に甘えて失礼いたします」


 各々がテーブルを囲みリルエマがそれぞれの前にお茶を並べてまわるいつもの茶会の支度風景。だと思っていたのだが今回はひとつ大きく異なる点があった。それはまるでアシスタントかのようにリルエマの側につき支度を手伝うロックの姿である。


「リルエマ殿、クッキーの皿はどこへ置きましょう」

「クッキーはぁテーブルの真ん中でぇお願いしますぅ」

「承知」


 常に眉間にシワを寄せ口をへの字に曲げていたあのロックがニコニコと屈託のない笑顔を見せているその光景は違和感ありありだったがぎこちなくも一生懸命にリルエマを気遣う姿はとても微笑ましいものだった。


「リルエマさん……」


 僕はリルエマの目を凝視した。


「なぁにぃアオイぃ。そんなにぃ見つめられるとぉ。ちょっとぉ恥ずかしいなぁ」

「これを見て下さい!」


 僕はシークルを両手に持ち胸の前に掲げた。


 するとリルエマの目の色が金色に変わり席を飛び上がった。


「これっ! シークルじゃない! そっかここに戻って来たってことはそうよね! これを手に入れたから戻ってきたんだよね! 凄いじゃない! やるじゃない!」

「リ、リルエマ殿⁉︎ いかがなされたのですか⁉︎」

「あーロック、おめぇこっちのリルエマは見た事がねぇか」

「こっちの? と申しますと?」


 アルスはリルエマが時々何かの拍子に豹変することを説明した。


「リルエマ殿にそのような一面があったとは」

「まぁ変わるっつってもよ。目の色が金色になって口調と性格がちょっと変わるくらいなもんで中身がまるっきり変わっちまうようなことはねぇ」

「さようでございますか。ならば心配は無用ですな」

「ああ。なんも心配はいらねぇ」


 ロックは安堵の表情を見せるとティーカップのお茶をいっきに飲み干した。


「はぁ〜気持ちいい〜」


 僕からシークルを受け取ったリルエマはシークルに触れた瞬間うっとりとした。


「よーし! さっそくウェディングドレス作りに取りかかるわよ! ロックさん!」

「はい!」

「ごめんなさい。悪いんだけど後片付けお願いできます?」

「もちろんです! 後片付けはこのロックにお任せ下さい! リルエマ殿はそのうえでぃんぐ何とか作りに専念下さい!」

「ありがとうロックさん。あとはお願いしまーす」


 そういうとリルエマは隣の部屋に入っていった。

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