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4 幼馴染はスキンシップが取りたい

 残りの荷物を紐解きつつ、茜と他愛もない話をする。

 大方先ほど届いたものは組み立て終わって、茜の部屋は部屋らしくなってきた。


 だけどそれは同時に、俺の部屋の隣が茜の部屋になったんだということを実感するようで、少し気恥ずかしい。


「そういえば、なんでお前俺の家住むんだ?」


「あぁーそれはね、今両親世界一周旅行中なんだよね」


「相変わらずアクティブだな……」


 昔夏休みに夫婦でエベレストに行っていたほどのアクティブさ。

 世界一周旅行も不思議じゃない。むしろイメージにドンピシャすぎる。


「それでしばらく帰ってこないから、しょうがないから歩夢の隣の家でも買おうかなぁって思ってたんだけど、そんなときに百合さんが声かけてくれたってわけ」


「じゃあなんで俺は知らされてなかったんだよ……」


「サプライズ? みたいな?」


「お前自身もよくわかってねぇのかよ……」


 まぁたぶん事前に知らされていたとしても、信じられなかったと思うけど。

 でも校門の前で待ち伏せするのはやめてほしい。視線が痛いから。あと心臓に悪い。ほんと悪い。


「で、高校はどうすんだよ。今高一の冬だろ? 中途半端じゃね?」


「それはね、歩夢の高校の近くにある、芸能人が通う高校に行く予定だよ」


「あぁーあそこか」


 実はそこは俺たちの高校では芸能人がいることで有名だったりする。

 でも迷惑にならないように訪問したりはもちろんしない。


 すげぇなぁというだけで、実に平和である。


「だから、帰りは私のお迎えよろしくね?」


「俺お迎えするの?」


「うん。一緒に帰りたいのかなって、歩夢が」


「倒置法で俺のこと強調しなくていいからな?」


 一緒に帰りたいというのは間違っていないけど。


「懐かしいなぁ。昔歩夢が、『茜ちゃんと毎日手を繋いで登校するんだ!』っていつも言ってたっけ」


「それ以上俺を辱めるのはやめてください死にたくなる。ってか死にたい……」


「手……繋ぐ?」


 いたづらに笑って、手を差し出してくる茜。

 からかわれてやがる。それに今繋いでどうするんだ。恥ずか死ぬわ。


 だから俺はその手に手を一瞬ポンと置いて、そのまま別の段ボールを開けていく。

 まぁ、いわゆる『お手』である。


「むぅ~」


 頬をぷくーっと膨らませた茜が俺の横に座った。

 肩は完全に触れていて……つまり距離が異様に近い。


「久しぶりに会ったんだよ?」


「そうだな。ってか茜、段ボール開けづらい」


「わ・た・し・は! 歩夢とスキンシップが取りたいのです!」


「ま。まだ四話目だぞ⁈ 四話目でスキンシップとか、これからどうなっちゃうんだよ……」


「四話目? よくわかんないけど、スキンシップが取りたい」


 真顔でそんなことを言うもんだから、少し笑いそうになる。

 ほんとにこいつは大人気モデルのあの明理川茜なのだろうか。


 俺はあの空白の四年間、大人気モデルとしての明理川茜しか見てこなかったから少しイメージと差ができていた。

 だけど、可愛いのに変わりはないけど。


「……俺の理性がだな」


「理性なんて捨てちまえ」


「……お前ほんと女子?」


 最近流行りのいわゆる肉食系女子という奴だろうか。

 

「……四年経ってようやくこうして近くにいれたんだから、いいでしょ?」


 目をうるうるとさせて、さらに俺に上目遣いをしてくる茜。

 全く……そんなことをされては何でも受け入れてしまうだろうが。


 俺は恥ずかしさを堪えて、小指を茜の小指に絡ませた。


「……これで許せ。徐々にだ徐々に」


 そう言うと、茜は頬をほんのり赤く染めて、「う、うん」と頷く。


 あぁやっぱりこいつは大人気モデルなんだな。

 ほんと、破壊力が半端じゃない。


 帰ってきた幼馴染は、やはり数倍可愛さを増してきたらしい。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 逆にてぇてぇでした
[一言] メタ要素はあんまり好きじゃないです
[一言] まずは小指から徐々に… でも茜ちゃんの雰囲気が、既にかなりの糖分を含んでいるんだが… ここから先、読んでて耐えられるか、俺…
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